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高みより絶景、ふと見下ろせば杜撰な階段

スぺリオルオマージュ・フロストボディ。

ウェザエモンが駆る戦術機馬【騏驎】に匹敵する巨体とそれに見合うタフネス、肉質が恐ろしく柔らかいという弱点を持つがそれを補うように優れたAIと氷結系の魔法が使えるという家畜に何を求めてるんだと言いたくなる第二殻層と第三殻層を立ち塞ぐボスモンスター……通称インテリお肉だ。


聞いた話ではプレイヤー達の役割分担を理解してある程度はヘイトを無視して後衛を狙ったり、ヘイトが外れたと思わせて後ろ足の蹴りでタンクを急襲したり……セオリーに対してメタを張るタイプのボスキャラだ、案の定ボス性能としては嫌われに嫌われている。



だが霜降り君に不幸があるとすればただ一つ。



「作戦:無し! 思い思いにぶん殴れや!!」


「……了解、です」


「上等! ヘマすんなよサバイバアル!!」


このパーティに役割分担なんてものはない、少なくともお前との戦闘においては四人対戦の三人による袋叩きの構図になる。

誰を狙おうが残り二人がDPSを稼ぐし、それぞれが単独で火力を出す手段を持っているわけで。


「肉質が柔すぎて逆に斬りづれぇくらいだ!!」


「……ヘイト、こちらに来まし……」


「いや違う俺だ!!」


だがやはりこのフェイントが厄介だ、二人と違って俺の場合は不意打ちでも一撃が致命傷になりかねないのでヘイト管理には気を払っている。

頭のない巨大牛肉だが、その分身体の動きというか筋肉の動きというか……なんだろう、霜降り肉の震え方でなんとなく向いてる方向が分かるようになっているのだ。だからこそ身体はレイ氏の方に向きつつも意識は俺へと向いていることに気付いた俺はその身体から冷気が放たれたのに対して行動をとることが出来た。


氷属性の魔法というとゲーム知識の中に幾つかバリエーションがあるが、今回は地面を凍結させて氷を生やすタイプだ。ならば対処法は凍結される場所から退避するか、生えてくる鋭利な氷の射程よりも高く飛ぶ!!


「揺れない船なぞ何隻でも跳べるわ!!」


地面から生えた氷柱(つらら)の上にスキルの力で全方位を足場とする状態で着地(・・)、そしてそのまま時間経過で消えつつある柱の羅列を跳びながら駆けて霜降り肉へと接近。


「居合の練習に付き合えサンドバッグ……!!」


空中を足場に晴天流、抜刀。神速の居合「断風」の系譜に連なる風が霜降り肉に深く傷を刻む……だが、その断面は瞬く間にくっついて再生する。


「オイコラ「勇魚」ァ! これ本当に効いてるんだろうな!?」


『当然ですとも!このスペリオルオマージュ・フロストボディは強力な再生力を備えていますが、逆に言えば生物的活動に使うエネルギーを流用していますので』


つまり再生力が切れる=死ぬってことか、なら話は早い。万物万象に適用される真理「死ぬまで殴れば死ぬ」に例外はないということだ!!


再生されたとはいえ俺の攻撃がそれなりのダメージを叩き出したのは事実、霜降り肉のヘイトが俺へと完全に固定される。だがそうなれば俺以上の単発火力を持つ二人がフリーになるわけで。


「おう最大火力(アタックホルダー)! 位置とタイミングを合わせなっ!!」


「………っ!」


片や孤島をも潜り抜けた歴戦の猛者、片やこの世界最強のアタッカー。自身で行使できるあらゆる強化を纏った大剣と方天戟が霜降り肉の後脚へ同時に叩きつけられ、四足歩行の首なし牛は強制的に「お座り」の姿勢を取らされる。

おっといいんですかね? 構図的に俺が真正面、決めるにはもってこいだ。


「トドメだ」


晴天流……「轟風(とどろかぜ)」。

刃から放たれる轟々と吠える風が霜降り肉の肉を押し除け、胸部を誇るような姿勢ゆえに露わになった肋骨部分を縦一文字に剛剣の抜き放ちが叩き斬り上げる。


「決まっ……あれ決まってねぇ!?」


「カカカ、STRが足りてねぇんだよSTRがよぉ! これぞ本物(・・)ってなぁ……「覇断制界」!!」


何そのカッコいい技!? 方天戟から漆黒の炎を思わせるエフェクトが噴出し、勢いよく跳躍したサバイバアルが黒炎の一撃を叩きつけ───


「……【アポカリプス】」


あっ。


「あっ」


背後から背骨を叩き折る大剣の一撃が霜降り肉の命をゼロにまで削りきったのが俺の位置からも分かった。力なく消えゆく霜降り肉へとサバイバアルの方天戟がこう……暖簾に全力でパンチしたみたいな感じで通過して……


「あの、あ、えと……ごめんな、さい?」


「よう本物、その輝きはイミテーションか何かか?」


「うるっせぇよ! それならどう考えてもお前も同類だろうが金メッキ兄弟!!」


ほら、俺は金メッキの下にダイヤモンドを隠してるタイプだから……とはいえフルアタ袋叩き戦法は流石というか、恐ろしいくらいにあっさりとボスを撃破出来てしまった。

そしてもう一つ……


「レベルアップしたわ」


レベル148、ついにあと2レベルで上限か……エクゾーディナリーとの戦いで上がらなかったが、あと一歩のところまでは来ていたようだ。

レベルアップ分のボーナスに加えてエクゾーディナリーモンスターを遭遇、撃破した分のステータスポイントも入っていたようで、合計20ポイントは配分考えるの面倒なので適当に振って……メインはこっちだ、さぁどうなったスキル!!


「…………んん?」


いいね、意識して使ってたおかげで晴天流のスキルツリーが一気に進んだ。そして恐らくこれで………あれ、これって……つまりコレが今こうなって多分コレのあるなしで次の………ああ、成る程。


「ふぐうっ!!」


「!?」


「おいどうした!?」


いきなり膝をついて蹲った俺に、レイ氏とサバイバアルが何事かと声をかける。お、おのれ天地 律ゥ……! こんな、こんなトラップを仕掛けるとはなんたる卑劣、なんたる外道か……っ!!


「成る程、成る程……「昇華(スタンバイ)」とはやってくれるぜ……」


「なんだそりゃ?」


「エルフの里とかでレベル上限を開放できるよな?」


「あ? おう、まぁそうだな」


いきなりな話題に怪訝な顔をするサバイバアル(と、常に獰猛な顔の兜のせいで中身は見えないが多分同じ顔をしてるレイ氏)であったが、俺は構わず話を続ける。こればっかりはプレイヤー共通であるしこの二人もそのうち無関係ではなくなる。


「多分150以降のレベルキャップ解放もあるっぽいぞ」


「……本当、ですか?」


「使いまくってたスキルが強化、進化せずに尻に「昇華(スタンバイ)」って言葉がくっついた」


「あ? ……あっ、マジかそういうことか」


例を挙げるなら真界観測眼(クォンタムゲイズ)真界観測眼(クォンタムゲイズ)昇華(スタンバイ)になった。

レイ氏はいまいちピンと来てないようだが、プレイスタイルの性質上スキルの強化を重視するサバイバアルは気づいたらしい。


このゲームはレベルアップと同時にスキルに変化が起きる、そしてレベルアップ前のスキルの質によって次のスキルが決まるわけだ。

であるならばこの「昇華」とは恐らく現時点での上限レベル150ラインにおける最上級の証、と見て間違いない。つまりレベル150までに手持ちのスキルを「昇華」段階にまで上げなければレベルダウンビルドに頼らざるを得なくなる……それも、レベル99までとは比較にならない量の経験値を要求する三桁レベルで、だ。


「サンラクお前……」


「レベル148、あと2レベル上がるまでに手持ちのスキルを昇華させる……できると思う?」


「……難しい、ですね」


「択を絞って上げてくしかねぇだろ、要求経験値もあるしそれなりの数は上げられそうだがよ」


まぁ、そうだな。そうなんだが……ここでトラップが判明した。そう、連結スキルだ。

連結スキルは通常のスキル二つ以上を混ぜて一つのスキルにしたものだ、レベルが上がっても効果が向上したりしない代わりに単体で優秀な効果を持つ。

だが当然、連結中は基になったスキルのレベルが上がることはない。即ち連結スキルは素材としたスキルも含めて「昇華」できないのだ───!!!


「くっ……」


やり口が汚い、汚いぞ天地 律! スキルが強化されないのはなんだかなぁと思ってたが、こんな終盤で明らかにするとか、プレイヤーの苦悶を見てワインでも傾けてるのかテメーッ!!


「……進もう、まだ時間はあるし先も長い」


「お、おう」


次は第三殻層「戯盤」……鉄塊振り回してウンババやってた次世代原始人類の前に立ち塞がる、享楽と娯楽の鉄壁だ。


Q.どんな顔して見てるの?

A.三徹の死んだ顔でエナドリ啜りながら








現在のサンラクステータス(スキルのみ抜粋)


スキル

・リミットオーバー・アクセル→リミットオーバー・アクセル・昇華(スタンバイ)

真界観測眼(クォンタムゲイズ)真界観測眼(クォンタムゲイズ)昇華(スタンバイ)

百秀の神腕(サウィルダーナハ)百秀の神腕(サウィルダーナハ)昇華(スタンバイ)

宿命の狼兆(ウルフェイト・サイン)宿命の狼兆(ウルフェイト・サイン)昇華(スタンバイ)

爆心膝撃(グラウゼロ・スマイト)

・ガーディアンハート

死線上足踏(デッドホライゾン)死線上足踏(デッドホライゾン)昇華(スタンバイ)

・クリティカル・レイズ

万武賦当(ばんぶふとう)万武賦当(ばんぶふとう)昇華(スタンバイ)

・ダイナスピリッツ

星幽界導線(アストラルライン)星幽界導線(アストラルライン)昇華(スタンバイ)

・フェイタルゲイン

・パラベラム・ルーティーン

・プロテクト・スマッシュ→盾士の憤撃(レイジングシールド)

──【致命武技】──

・致命秘奥【ウツロウミカガミ】改備(あらためぞなえ)

・致命秘奥【タチキリワカチ】改備(あらためぞなえ)

──【晴天流】──

・晴天流「疾風(はやかぜ)」→晴天流「斬風(きりかぜ)

・晴天流「旋風(つむじかぜ)」→晴天流「廻風(まわしかぜ)

・晴天流「轟風(とどろかぜ)」→晴天流「爆風(はぜりかぜ)

・晴天流「雷鳴(らいめい)

・晴天流「迫雷(はくらい)

・晴天流「貫雷(かんらい)」NEW!

・晴天流「荒波(あらなみ)」→晴天流「波濤(はとう)

・晴天流「防波(さきなみ)」→晴天流「波旬(はじゅん)

・晴天流「引波(ひきなみ)

・晴天流「暮叫(ぼきょう)

・晴天流「蒼然(そうぜん)」NEW!

・晴天流「浮雲(うきぐも)

・晴天流「螺雲(ねじりぐも)」NEW!

──【仇討の流儀】──

仇討の観察眼リヴェンズ・アナラアイズ

仇討の宣誓(リヴェンズ・コール)

仇討の引導撃リヴェンズ・フェイタリティ

──【同調連結(ハイコネクション)】──

・二連結同調「双天唯流ふたつそらいちのことわり」(百閃の剣(ヘカトン・スラッシュ)+鋭結点睛(えいけつてんせい))

・二連結同調「天国への階段(ステアウェイ・ヘヴン)」(重律踏覇(エクシードグラビティ)+無重律の恩寵(スペースチャージ))

・二連結同調「風火二輪(フレアテンペスト)」(鞍馬天秘伝+ヘルメスブート)

・三連結同調「爆心奔流(ニトロ・フロー)」 (ブラッドバーン・バースト+リミット・マキシマイズ+全霊喚起)

・二連結同調「降誕拳圧カウントダウンバースト」(睡神の拳撃(ヒュプノック・アウト)+タスラム・フィスト)

・二連結同調「無明先斬(むみょうさきり)」(ダーティ・ソード+スラッシュ・イグニッション)

・三連結同調「千剣の盟(サウザンドボンド)」(阿修羅神楽+戦極武頼+剣舞【無尽紡】)

・二連結同調「旅終わるまで(ネヴァーエンド)」(不倒不屈+アトラス・タフネス)


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― 新着の感想 ―
ウンババ
運営的にはレベルダウンで遅延してもろて、一定数の150ランカーが溜まってきたら1周年記念にランクキャップ解放が妥当だろうな 新大陸解放アプデまでは99レベルまでだったわけだし。普通に目玉要素だよ
 こーゆー罠ってのは結構、有る。 『Lv制&武器スキルあり』のゲームの場合だと、モノごっつうぅ手間が掛かるのだった。(涙)  低Lvモンス相手だとスキルが上がらない、高Lvモンスだと当らない。  結果…
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