アメリカがトランプ級『戦艦』デファイアントの建造計画承認を発表、排水量3万5千トンのミサイル戦艦
12月22日(米国東部時間)、アメリカのトランプ大統領は新たな海軍の「ゴールデンフリート(黄金艦隊)」構想の一環として2隻の新たな『戦艦』の建造計画を承認したことを明らかにしました。ただし旧来的な意味での大砲と装甲を持つ戦艦ではなく、ミサイル主体の超大型水上戦闘艦です。なんと排水量3万~4万トンを予定していると発表されており、大きさだけなら本当に戦艦級です。
President Trump Announces New Battleship | U.S. Navy
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この『戦艦』はトランプ級と呼称されていますが1番艦「デファイアント」と命名されており、級名と1番艦の名称が異なっています。英語のデファイアント(Defiant)とは「挑戦的な」という意味で、これまでもアメリカやイギリスで幾つかの兵器の名称に使われてきました。艦種記号はミサイル戦艦を意味する「BBG」になります。
USS Defiant (BBG 1)
トランプ級『戦艦』の船体サイズ(出典:GOLDEN FLEET)
- 全長:840~880フィート(約256~268メートル)
- 全幅:105~115フィート(約32~35メートル)
- 喫水:24~30フィート(約7.32~9.14メートル)
- 排水量:3万5千トン以上
- 速力:30ノット以上
- 乗組員数:650~850人
- クラス規模:20~25隻
- 機関:ガスタービン&ディーゼル
- ヘリコプター格納庫と飛行甲板(V-22オスプレイとFVL)
※FVL:将来型垂直離着陸機
トランプ級『戦艦』の兵装(出典:GOLDEN FLEET)
- 主砲:レールガン(電磁砲)×1基(32MJ級)
- 副砲:Mk45 62口径5インチ砲×2基(並列配置)
- 大出力レーザー砲×2基(300kW級または600kW級)
- VLS:特大サイズ×12セル(CPS極超音速滑空ミサイル)
- VLS:Mk41×128セル(SM-6やトマホークなど)
- CIWS:対ミサイル用(60kW級ODINレーザー砲)×4基
- CIWS:対ミサイル用(RAM)×4基
- 機関砲:対水上艇用(Mk38 30mm機関砲)×4基
- 対ドローン装置:Counter UxS Systems×2基
- 電子戦装置:SEWIP Block III×4面
- AESAレーダー(SPY-6多機能レーダー、RMA37個)×4面
- イルミネーター(迎撃ミサイル誘導用レーダー)×3基
※レールガン:電磁砲
※HVP:超高速弾
※CPS:通常型即時攻撃
※VLS:垂直発射システム
※CIWS:近接防御兵器
※ODIN:レーザー砲の機種名(60kW級と推定)
※RAM:ローリング・エアフレーム・ミサイル
※SEWIP:水上艦電子戦装置改良計画
※AESA:アクティブ電子走査アレイ式
※RMA:レーダー・モジュラー・アセンブリ
※C4I:指揮・統制・通信・コンピュータ・情報
※SLCM-N(海洋発射核巡航ミサイル)も搭載予定、開発中。
※海軍の説明図にはMk41VLSのセル数が「28個」とあるが、実際には「128個」が正しいので注意。また「C41」は「C4I」の誤字。
※スペック数値を試案したのは海軍海洋システムコマンド(Naval Sea Systems Command、略称NAVSEA)。
レールガンはアメリカ海軍は開発中止していた筈ですが、開発再開する模様です。CPSは中距離弾道ミサイル級の極超音速滑空ミサイルで、陸軍のLRHWダークイーグル(射程3500km)とほとんどの部品が共通化されておりほぼ同型の兵器です。トランプ級『戦艦』は主兵装がこのCPS極超音速滑空ミサイルになります。それでいてイージス艦と同等の防空能力も兼ね備えていますが、船体規模が大きいにもかかわらずSPY-6レーダーのRMAは37個とアーレイバーク級フライトⅢと同等であり、もっとRMA数を多くする(レーダーパネル面積を大きくする)設計に変更される可能性がありそうです。VLSのセル数も変更されるかもしれません。
旧来的な意味での大砲と装甲を持つ戦艦という艦種が建造されなくなって以降に、航空母艦や強襲揚陸艦を除いた最大の水上戦闘艦はソ連のキーロフ級重原子力ミサイル巡洋艦(満載排水量約2万6千トン)でした。新たに建造されるトランプ級『戦艦』は排水量3万5千トン以上を予定しているので、これを遥かに上回っています。
なおアメリカ海軍協会(USNI)の報道では「一時は5万トン案や1万5千~2万トン案も検討されていたが、最終的に3万5千トン案に落ち着いた」とされています。建造コストは100~150億ドル(約1兆5000億円から2兆2500億円)が予想されているとあり、1隻あたりでこの金額となるとジェラルド・R・フォード級航空母艦(1番艦の建造費約130億ドル)に匹敵します。ただしこの見積もりには最近の原材料費の高騰などの物価高の影響もあるでしょう。(出典:アメリカ海軍協会)
トランプ大統領「このたび、海軍が2隻の全く新しい『戦艦』の建造を開始する計画を承認したことを発表できることを、大変光栄に思います… これまでに類を見ない艦となるでしょう。」
トランプ大統領「完成すれば、これらの3万~4万トン艦はアメリカ海軍艦隊の旗艦となるでしょう。このような艦はかつて存在したことがありません。」
トランプ大統領の「ゴールデンフリート」構想は、少数の大きな水上戦闘艦と多数の小さな水上戦闘艦を組み合わせるものとされています。ただしそれでも大きな水上戦闘艦がたった2隻だけでは満足に機能しないので、今後さらに追加される予定です。「トランプ級」は10隻を調達する予定で、最終的にこのクラスの『戦艦』は合計20~25隻の調達を目指すとしています。トランプ級ミサイル戦艦1番艦「デファイアント」は2030年代初頭に建造を開始する予定です。