戦闘機や無人機を製造する中国の国有企業が多数の小型無人機を収容できる大型無人機の初飛行に成功したと報じられた。このドローン空母開発の狙いはどこにあるのか。隣国が着々と軍事力を高める中、どう備えるべきなのか。

 中国国営通信新華社は11日、国有企業である中国航空工業集団が、大型無人機「九天」の初飛行に成功したと報じた。この九天が機体内に100機の小型無人機を収容できるとされ、ドローン空母と呼ばれているのだ。

 九天は全長16・35メートル、翼幅25メートル、最大離陸重量約16トン、航続距離は約7千キロで、最長12時間の飛行が可能とされる。100機の小型無人機に代えて、空対空や空対地、空対艦のミサイルも搭載できるという。

 小型無人機は航続距離20~30キロ程度と短い。しかし、無人機九天が7千キロを飛行した後に、100機の小型無人機を空中で放出すれば、敵地の奥深くまで攻撃を仕掛けることが可能になる。

 ウクライナ紛争でも、似たような戦法があった。2025年5月、ウクライナは多数のドローンをロシア国内の複数の空軍基地に陸路でひそかに搬入し、放出するという奇襲作戦をかけた。ウクライナ側は、今回の作戦で戦略爆撃機41機を標的とし、少なくとも13機を破壊したと主張している。

 筆者はドローンの特徴が無人かつコストパフォーマンスがいい点にあると考えている。ともに、継戦能力をかなり高める。九天に対しては、通常の防空能力があれば阻止できると思われるが、これが海上または、海中になると、かなりやっかいだろう。

 つまり無人の小型船舶や無人の小型潜水艦で領海内に潜入し、大量の小型無人ドローンをばらまかれたら、日本のように海岸線が長く、海沿いに重要施設のある国ではかなり脅威となる恐れがある。

 日本は海に囲まれていることが自然の防波堤になっていたが、新しい技術でそうした楽観的な態度ではいられなくなった。厳しい時代であるが、新しい技術を前向きに吸収し、それに対応するしかない。

 軍事技術はそれこそ最先端のもので、民生用も軍事用にデュアルユースなので、国産で技術開発するにはいい分野だ。これまで、日本は軍事転用を恐れてやってこなかった分野だが、逆に言えば、伸びしろは大きい。高市政権は、それがよく分かっているので、ここでピンチをチャンスに変えなければいけない。

(たかはし・よういち=嘉悦大教授)

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