衆院議員定数削減法案の議論は来年に持ち越される。前のめりだった日本維新の会と、野党の背景には何があるのか。また、定数削減は実現するのか。
今年10月20日の自民・維新連立政権合意において、「衆院定数465人の1割を目標に削減するため臨時国会で法案を提出し成立を目指す」とされた。
与党内で喧々囂々(けんけんごうごう)の議論の末、12月5日、定数削減の法案の国会提出までこぎ着けた。その内容には、施行から1年以内に与野党で協議し、結論が出ない場合には、小選挙区25・比例20の計45議席を自動的に削除という「時限爆弾」が仕組まれている。
比例頼みの少数政党が不利になるので、小選挙区の削減を盛り込んだが、具体的にどの選挙区をどのように削減するかには言及されておらず、火種は残っている。
しかし、国会会期終わりの12月16日、自民・維新党首会談が開かれ、維新の吉村洋文代表は「難しい法案をまとめてもらい感謝」とし、高市早苗首相は「法案提出できたのは大きな一歩」と応じた。ともに関西人なので気脈を通じているようだ。衆院議員の定数削減は、延長戦に入った。
議員を45人削減しても、削減できる経費はおよそ30億円なので「意味がない」という反対論もあるが、政治姿勢なので、そうした算術には意味がない。
この議論のもとは、2012年11月、民主党政権の最後の首相として野田佳彦氏が当時の自民党の安倍晋三総裁との党首討論で「どちらが政権を取っても、定数削減をやると約束できるか」と迫ったことだ。その際、野田氏が45議席削減と言ったことが発端だ。
民主党はマニフェスト(政権公約)で「衆議院の比例代表定数80削減」を掲げていた。野田氏の呼び掛けに安倍氏が「やりましょう」と応じて、衆院の解散が決まった。しかし、定数削減は1票の格差を是正する小幅の調整にとどまっていた。
高市政権は、維新との連立を奇貨として安倍政権の宿題をやるつもりだが、肝心の野田氏が賛成しない。
うがった見方をすれば、野田氏は多数議席を持っていたから定数削減に賛成したみたいだ。いまや、「えいやで決める性質でない」と定数削減に消極的だ。
こんな状況では、いつまでも決められない。議員定数削減は男たちのぐだぐだした議論に付き合っていられないと、高市首相が、どこかで解散して国民の信を問う絶好の政治課題になったのではないか。
(たかはし・よういち=嘉悦大教授)