話題の「Melt Mouse」を試す。Magic Mouseの常識を変える3in1デバイスが登場へ
Magic Mouseは、Mac向けのポインティングデバイスとしてはとても優秀です。ですが、発売以降ほとんど進化していないこともあり、他社の最新マウスには機能面で劣る部分も多く、また充電もひっくり返した状態でなければできないということに不満を感じているユーザーもいるはずです。
そんなMagic Mouseの体験を拡張するような新たなデバイス「Melt Mouse」をDiver-Xが開発しています。
マウス、トラックパッド、そしてテンキーを一体化した新しい入力デバイスで、ひとつのデバイスで“触って操作する”体験を再構築しようとする意欲作。ガジェット界隈では大きな注目を集めています。
筆者はDiver-X社を訪れ、同社CTOの浅野啓氏に開発の背景を聞くとともに、試作機を実際に体験してきました。
Diver-Xの挑戦はマウスの「再発明」。Magic Mouseを進化させたような便利ガジェットに
「Melt Mouse」を開発しているDiver-Xは、VRハプティックフィードバックグローブ「ContactGlove」などをはじめとしたXR技術の開発に注力してきた会社です。
そんなDiver-Xですが、同社が培ってきた独自のハプティックフィードバック技術と多目的設計手法を、消費者になじみやすいフォームファクターにもたらし、日々の生産性を向上させるという目的で、新たなブランド「Melt Interface」を立ち上げました。その第1弾製品が今回の「Melt Mouse」です。
Melt Mouseのトップ面には、物理ボタンではなく、一枚のガラス板が使われていて、その下に圧力を感知するセンサーが搭載されています。このセンサーによってユーザーがマウスの左右をクリックしたり、指を上下させるスクロール操作を行ったことを感知し、指先に微細な振動を伝えることでクリック感やスクロール感を再現します。Magic Mouseの操作感をイメージするとわかりやすいと思います。
実際に試したところ、指先に確かな反応が返ってきて、物理ボタンと遜色ない操作感を得られました。カチカチとクリック音がしないため、静かな環境でも使いやすい印象です。
この振動は内部に搭載されたリニア共振アクチュエータ(LRA)が作り出していて、クリックの重さやノッチ感は専用アプリ「Melt Studio」で自由に調整可能です。アプリごとに設定を切り替えることもでき、PhotoshopやBlenderなど作業内容に応じて操作性を最適化できます。
マウスなのにトラックパッドやテンキーとしての役割もこなせる3in1仕様も魅力
Melt Mouseのトップ面は、タップ操作でトラックパッドモードに、長押しでテンキーモードに切り替えることができます。トラックパッドモードではピンチズームや2本指スクロールなどのジェスチャーに対応し、テンキーモードではLEDが点灯してキー配列が浮かび上がります。
テンキーモードではショートカットやマクロを割り当てられるため、Adobe製品などでツール切り替えやコマンド実行にも活用できます。複数のソフトを行き来するクリエイターにとって、ワークフローの中核になり得る操作デバイスと言えるでしょう。
素材やデザインにも徹底的にこだわりました。本体は単一のアルミニウムブロックから削り出して成形されており、上面には緩やかな曲面を持つ強化ガラスパネルを採用。指紋や皮脂が付きにくいマイクロテクスチャ仕上げが施されています。全体の質感は非常に高く、Magic Mouseと並べても見劣りしません。
底面には「MagSole」と呼ばれる着脱式の磁気ベースを搭載し、摩擦の強さや高さを変えられるほか、カラーバリエーションも複数用意されています。将来的には左右の高さが異なるエルゴノミクス(人間工学)形状のMagSoleも提供予定とのことです。
Melt Mouseは、Bluetooth LEおよびUSB-C接続の両対応で、最大3台までマルチペアリングが可能です。ペアリング機器は裏面にあるボタンで切り替えることができます。
ハプティクスやLEDを搭載しているため、バッテリー駆動時間は2週間〜1か月ほどとワイヤレスマウスとしては短めです。そこでDiver-Xは有線接続でも快適に使えるよう設計を工夫。本体正面からケーブルを差し込んで、充電しながらマウスを使い続けることができるほか、USB-Cポートをマウス正面中央に配置し、ケーブルに引っ張られる感覚を抑える構造を採用しました。
「Melt Mouse」は、多機能なだけではなく、入力デバイスのあり方そのものを見直した製品です。物理クリックを廃し、指先の感覚を制御するハプティクス技術、タッチ操作で姿を変えるインターフェース、そして質感にこだわったデザイン。いずれも、既存のマウスとは一線を画しています。
価格はやや高めですが、デスク上のデバイスを一つに集約したいユーザーや、直感的な操作環境を求めるクリエイターにとって、有力な選択肢になるかもしれません。Magic Mouseの対抗馬というよりも、マウスの新しい進化形として注目したい製品です。
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