トランプ氏のグリーンランド特使任命に欧州各国が一斉に反発 「絶対に許容できない」

グリーンランドの中心都市ヌークで記者会見する、デンマークのフレデリクセン首相(中央)=今年4月(ロイター=共同)
グリーンランドの中心都市ヌークで記者会見する、デンマークのフレデリクセン首相(中央)=今年4月(ロイター=共同)

【ロンドン=黒瀬悦成】トランプ米大統領が21日、南部ルイジアナ州のランドリー知事をデンマーク自治領グリーンランド担当特使に任命すると発表し、グリーンランド領有の意向を改めて示したことに対し、欧州から一斉に非難の声が上がった。ロシアの脅威や中国の北極海への進出をにらんだ欧州の安全保障を巡る米欧の亀裂が一層深まるのは必至だ。

デンマークのフレデリクセン首相は22日、フェイスブックへの投稿で「グリーンランドはグリーンランド人のものだ」と強調。トランプ氏に対しては「何者も国境を政治力や軍事力によって変えてはならない」とくぎを刺した。

ラスムセン外相も地元テレビの番組で、トランプ氏による特使の任命に「気分を害している」と述べ、駐デンマーク米大使を呼んで説明を求めると表明。ランドリー氏がSNS上で「グリーンランドを米国の一部にする」と主張したことについては、「絶対に許容できない」と訴えた。

デンマークの反発に欧州諸国も呼応し、欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長はX(旧ツイッター)への投稿で「領土の保全と主権は国際法の基本原則だ」とトランプ米政権を牽制(けんせい)。「デンマークとグリーンランドの人々を全面的に支持する」と表明した。

ドイツ外務省は「グリーンランドの将来はグリーンランド人の手に委ねられている」と指摘。ノルウェーのアイデ外相は、グリーンランドが「デンマークの不可欠な一部だ」とする声明を出した。

デンマークと米国は北大西洋条約機構(NATO)の同盟国で、グリーンランドには米軍基地もある。米国に加え、中国とロシアが北極圏の鉱物資源や北極海航路の権益に強い関心を示す中、グリーンランドは北極圏の戦略拠点としての重要性を増している。

デンマークは、グリーンランド領有へ軍事力の行使も辞さない構えを示すトランプ氏に警戒を強める一方、10月には北極圏の防衛強化のため米国製F35戦闘機16機の追加購入を表明。「デンマークはグリーンランド防衛への努力が不十分だ」とする米政権からの批判を和らげる取り組みを進めていた。

これに対し、米政権は22日、デンマークの国営会社が開発中の2件を含む、米東海岸沖での5件の大型洋上風力発電計画の認可を一時的に取り消し、デンマーク政府に圧力をかけた。

さらに、トランプ氏は22日、欧州諸国の反発をよそに「米国は安全保障上の理由でグリーンランドが必要だ」と改めて主張。デンマークが領土保全に向けて米政権といかなる調整を図ったとしても、配慮しない考えを鮮明にした。

トランプ氏、グリーンランド領有に改めて意欲

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