AI

2025.12.22 08:15

ChatGPTで書いた論文はバレる。医学論文2700万件の解析で判明

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言葉の出現頻度の時間的変化を示すグラフを見ても、以前から他の言葉と同等の頻度で使われてきたことがわかる。だが、2020年を境に爆発的に頻度が高くなる。その影響で従来の言葉の頻度がわずかに減少する傾向も見られる。

時間ごとの言葉の出現頻度の変化。赤い線がAI用語、灰色の線は従来の医学用語。
時間ごとの言葉の出現頻度の変化。赤い線がAI用語、灰色の線は従来の医学用語。

だがよく見ると、ChatGPTが公開される前から、それらの言葉の頻度がわずかに高くなっていることがわかる。松井医長はそれを、「LLMの登場がまったく新しい言語パターンを生み出したのではなく、既存の傾向を加速・増幅させた可能性を示唆しています」と解説している。

いずれにせよ、現在の医学論文の語彙はAI用語に引っ張られる形になっているのは確かだ。こうした言葉の変化は、時代や技術の進歩に従って変化するものだが、松井医長が心配するのは、安易にAIに頼ることによる表現の変化だ。英語論文の執筆は、英語を母国語としない日本人には負担が大きい。そのため生成AIを活用することで執筆効率が高まり質的改善も期待できる。だが、AIが出力した文章は「そのままでは最終成果物とはなりえません」と医長。「生成された文章を批判的に見直し、適切に軌道修正する能力を養うこと」が医学教育において重要だと提言している。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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2025.11.25 11:00

金融機関と工芸産地の交点に——KOGEI COMMONSがつなぐ「ものづくりの未来」

三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、MUFG)は2023年度、「文化の保全と伝承」を軸に据えた社会貢献活動として「MUFG工芸プロジェクト」を立ち上げ、若手作家の支援などを通じて、工芸の価値を国内外へと発信してきた。

そして25年、その活動は新たなステージへと踏み出した。
福井県でオープンファクトリーイベント「RENEW(リニュー)」を主催する一般社団法人SOE、およびMUFGと三菱UFJ銀行が設立・運営支援を行う一般社団法人関西イノベーションセンターと手を携え、全国の工芸産地やつくり手、消費者をつなぐプラットフォーム「KOGEI COMMONS」を始動。同年10月に開催された初のイベントでは、全国11の団体が集結し、産地同士が互いの課題や知見を交換し学び合う場を創出した。


日本各地の工芸産地では、ものづくりを起点とした活性化を目指す取り組みが広がっている。しかし、販路開拓や情報発信、後継者不足など、どの地域も単独では解決が難しい課題を抱えているのが現実だ。今求められているのは、産地や業界の垣根を越え、知恵と経験を分かち合い、互いに支え合うための新しい仕組みである。

その新たな解のひとつが「KOGEI COMMONS」だ。

同プロジェクトは、工芸・ものづくりに関わるあらゆるステークホルダーが、地域や産業の枠を超えて連携し、それぞれの技術や知識を交わらせながら、日本のものづくりの未来をともに育むことを目的としている。言い換えれば、工芸・ものづくりを軸に、地域と文化の未来を再設計するための、社会的エコシステムの構築を目指す取り組みだ。

産地を開き、未来を紡ぐ

一般社団法人SOEは、工芸産業の分野で「オープンファクトリーイベントを成功させた団体」として全国的に知られている。SOEが手がける「RENEW」は、毎年秋に開催される大規模なオープンファクトリーイベントであり、越前漆器や越前和紙、越前打刃物、越前箪笥、越前焼といった伝統工芸に加え、眼鏡や繊維など7つの地場産業が集まる福井県鯖江市・越前市・越前町を舞台に、工房や企業の生産現場が一斉に開放される。25年の開催では、3日間で延べ5万5千人が来場地域全体が活気に包まれるほどの盛況ぶりを見せた。

一般社団法人SOE副理事 新山直広
一般社団法人SOE副理事 新山直広

SOE副理事の新山直広(以下、新山)は、15年に「RENEW」を立ち上げた経緯を次のように語る。

「当時、地域の事業者や職人たちの間には、地場産業の未来を悲観する空気が漂っていました。しかし、一般の人にものづくりの現場を見てもらえれば、その価値はきっと伝わると信じていました。それを実現する手段として始めたのが『RENEW』です」

「RENEW」は、ものづくりの過程を“見せる”ことで、産業や地域文化と人々を結びつけてきた。そして、工芸の未来を支える活動を展開してきたMUFGが、その理念に共鳴したのは自然な流れだった。

「『RENEW』は地場産業に携わる人々が交わり、学び合いながら、自らの手で未来をつくっていこうという姿勢で取り組まれているイベントです。そこは、私たちMUFGが掲げる『伝統と革新』というテーマと非常に親和性が高かったのです」

そう語るのは、MUFG経営企画部 ブランド戦略グループ 上席調査役の前川史佳(以下、前川)だ。

「『KOGEI COMMONS』は、『RENEW』を通じて出会った産地の人々の熱量や、変化を恐れない姿勢に触れたことをきっかけに生まれました。プロジェクトの目的は、産地を一時的に支援することではありません。各地域が自立し、自分たちの産業と文化の魅力を継続的に発信できるよう、そのための仕組みと環境を整えることを目指しています」(前川)

三菱UFJフィナンシャル・グループ 経営企画部 ブランド戦略グループ 上席調査役 前川史佳
三菱UFJフィナンシャル・グループ 経営企画部 ブランド戦略グループ 上席調査役 前川史佳

全国の産地が響き合う、交流の手ごたえ

初のイベントは、25年10月10日~12日の3日間、「RENEW」と同時に開催された。会場となった福井県鯖江市にあるうるしの里会館には全国から11ものオープンファクトリー団体が集まり、各地の取り組みの展示、マーケット、ワークショップ、トークイベントを実施。会場の至るところで、参加団体同士の交流により、つながりが生まれる瞬間を目の当たりにすることができた。

新山は「接客の合間に、隣り合った参加団体同士で情報交換が自然に行われていたのが印象的でした。いくつかの団体では、地域や業種の垣根を越え、つくり手同士が新たに繋がる動きも生まれたようです」と手応えを語る。同じく前川も「会場全体に、参加団体や来場者の熱気があふれていました。各地の団体が自分たちの産地を、誇りをもって紹介する姿から、工芸が地域の人々を前へと動かすエネルギーのようなものを感じました。この活動が、各産地が自らの力で魅力を発信していくきっかけになればと考えています」と話す。

左から、プラットヨネザワ COO 小田航平氏、「CRASSO」事務局 田部智章氏
左から、プラットヨネザワ COO 小田航平氏、「CRASSO」事務局 田部智章氏

参加した団体からも、「KOGEI COMMONS」に対するポジティブな声が挙がる。

山形県米沢市で「360°よねざわオープンファクトリー」を運営する実行委員会メンバーのひとり、プラットヨネザワ COOの小田航平氏は「全国の工芸産地で活動するオープンファクトリー団体と交流したことで、活動を継続させるための工夫や課題などについて改めて考える機会を得ることができました。また、地方では大企業との接点が少ないため、全国に拠点や店舗をもつMUFGのような企業が、伝統と革新の両立を掲げ地域の活動が前進する力になってくれるのは非常に心強いです」と話した。

香川県のオープンファクトリーイベント「CRASSO」(クラッソ)を運営する事務局の田部智章氏もこう話す。

「『KOGEI COMMONS』を通じて、子どもたちに地元の産業を知ってもらう大切さを改めて実感しました。こうした取り組みが各地で続いていくことで、地域の産業文化に新しい循環が生まれることを期待しています」

KOGEI COMMONSが描く未来図

「KOGEI COMMONS」の真価は、イベントが終わった後に現れる。

「イベントは目的ではなく、あくまできっかけに過ぎません。大切なのは、そこで生まれた学び合いをどう持続させるかにあると考えています」(新山)

今後は、鯖江以外の地域への展開も視野に入れており、全国各地に「共有地(Commons)」の輪を広げていく考えだ。

前川もまた、「オープンファクトリーという形態にこだわらない」と言う。

「鯖江モデルをそのままコピーすれば成功するということではないと思うので、それぞれの地域が自分たちらしさを磨ける場にしたい。そうして日本全体、そして世界へと波及する動きをつくっていければと思っています。工芸は、日本のものづくりの根幹です。守るだけでなく、次の形を創り出す必要があります。しかし、1社や1地域だけでは多様な課題を解決することはできません。『KOGEI COMMONS』によって、企業・団体・行政が有機的につながるエコシステムを築き、持続可能な共創の循環を実現していきたいと考えています」(前川)

MUFGは、変化の速い時代にすべてのステークホルダーが課題を乗り越え、持続可能な未来を叶えるチカラになることを表す「世界が進むチカラになる。」というパーパスを掲げる。この思いにSOEの“地域をひらくチカラ”が交わって生まれた「KOGEI COMMONS」は、金融と文化、地域と産業をつなぐ新たな循環モデルを描き出した。

「文化と産業の好循環が生まれれば、日本全体が元気になる」と前川が語れば、「大事なのは、その先をどう育てるか」と新山が付け加える。

金融機関が文化を支え、文化が地域を動かす――その循環の起点として「KOGEI COMMONS」は、いま静かに、しかし確かな熱をもって日本の“ものづくりの未来”を耕し始めている。

2025年10月10日(金)〜12日(日)までの3日間開催された「KOGEI COMMONS Empowered by MUFG」
2025年10月10日(金)〜12日(日)までの3日間開催された「KOGEI COMMONS Empowered by MUFG」
出展ブースでは、オープンファクトリーを主催(運営)する団体やものづくり事業者が、各地の工芸品や雑貨を販売。来場者は商品を通じて産地の技術や素材に触れ、地域のものづくりの奥深さを実感していた。
出展ブースでは、オープンファクトリーを主催(運営)する団体やものづくり事業者が、各地の工芸品や雑貨を販売。来場者は商品を通じて産地の技術や素材に触れ、地域のものづくりの奥深さを実感していた。
地域のものづくりに関する展示では、製作工程や産地の背景を紹介。パネルやプロダクトを通して、各産地の歴史や文化、そしてオープンファクトリーのさまざまな取り組みを知ることができた。
地域のものづくりに関する展示では、製作工程や産地の背景を紹介。パネルやプロダクトを通して、各産地の歴史や文化、そしてオープンファクトリーのさまざまな取り組みを知ることができた。
各産地の技術や素材を生かしたワークショップも実施。織物体験やこけしづくりなど多彩なプログラムが用意され、子どもから大人まで幅広い世代が工芸の魅力に触れる機会となった。
各産地の技術や素材を生かしたワークショップも実施。織物体験やこけしづくりなど多彩なプログラムが用意され、子どもから大人まで幅広い世代が工芸の魅力に触れる機会となった。

まえがわ・ふみか◎三菱UFJフィナンシャル・グループ経営企画部ブランド戦略グループ上席調査役。自社のパーパス策定・浸透やブランド価値の強化に携わり、「文化の保全と伝承」を目的としたMUFG工芸プロジェクトなどを推進。 

にいやま・なおひろ◎一般社団法人SOE副理事。大阪府出身。大学卒業後に福井県鯖江市に移住。2015年、RENEWをスタート。デザイン+ものづくりカンパニー、TSUGI(ツギ)の代表も務め、地域のものづくり振興やデザイン領域で活躍。

Promoted by MUFG / text by Motoki Honma / photographs by Daichi Saito / edited by Aya Ohtou(CRAING)

AI

2023.01.23 10:30

ChatGPTが存在する世界でどのように文章作成術を教えればよいのか

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OpenAI(オープンエーアイ)の言語紐づけアルゴリズムの最新バージョンに対する反応はさまざまだ。米国における高校英語の終わり。いや、そんなことはない。学校での使用を禁止しよう。教師が使うようにしよう。いや、止めておこう。電卓を使うのと同じになる。裁判を起こすべきかもしれない。なぜなら、すべてはクリエイターの作品の大規模な盗用と無許可の使用に基づいているからだ。就職には有利かもしれないが、デートには不利だ。そして、OpenAIが有料版のChatGPT(チャットジーピーティー)をリリースする際には、またさまざまな反応が予想される。

また、ソフトウェアで作成された文章を検出する技術を開発する企業もあり、技術的な反撃も行われている。

しかし、肝心なのは、ChatGPTやその他の文章作成アルゴリズムがなくなるわけではないということだ。黙示録ではないが、何でもないわけでもない。何よりも、学校で作文を教える教師にとって、これは、慎重かつ思慮深い考察をするチャンスだ。

これまで作文の指導は、アルゴリズムに従うように生徒を指導することがあまりに多かった。エッセイは5つの段落で構成される。最初の段落はメインアイデアに関する文章で始め、3つの段落でアイデアをサポートし、結論で締めくくる。各段落には、アイデアを述べ、それを裏づける詳細を示す3〜5行の文章を記入する。あるいは、冒頭のテーゼステートメントを書き換えることで、テストに出題されるエッセイに答える。

これはフォーマット、テンプレート、アルゴリズムと呼ばれるものたちだ。学校では、文章を構成すること、順序立てて文章を作ること、文章を演技的な「輪っか跳びのダンス」として扱うことを生徒に教えてきた。つまり学校では、文章を判断するアルゴリズムを満たすように作文を組み立てるよう生徒に教えてきたのだ。そして、このアルゴリズムは、人間でもソフトウェアでも、ほとんど違いがない。

今、私たちはこの種の文章が、文字どおり何を書いているのか理解できないソフトウェアの一部によって、見事とはいえないまでも、そこそこうまく仕上げることができることをはっきりと理解する。もしこのような文章が、頭の中に何1つ考えていない機械によって書けるのであれば、私たちが生徒に求めてきたことは何だったのだろう。

エッセイの基本的な構成要素は文章であると生徒にいってきた教師もいる。しかし、ソフトウェアはかなり注文どおりに文章を作ることができる。私はキャリアを通じて、小論文の基本的な構成要素は文章ではなく、アイデアであると主張してきた。
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翻訳=上西雄太

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