日本の「移民大国化」が止まらない…最新データが示す"永住型の労働移民は世界3位"という衝撃の現実
■永住型の労働移民は世界3位 このように日本の移民受け入れの特徴は「永住型」「一時滞在型」を問わず、就労が軸となっていることが浮かび上がってくる。これを踏まえて、「就労」という観点からもう一度、日本の移民受け入れの特徴を整理してみたい。 日本は「永住型」「一時滞在型」併せて年間約36万人の労働移民を受け入れており、これは先進国中、第7位の規模となる(図表1)。第1位は米国であるものの、その数は年間約91万人であり、日本との差は永住型移民の時の約9〜10倍から、3倍弱へと縮小する。つまり、日本と米国の移民受け入れ規模の差はさほどのものではなくなる。 また、受け入れ形態に着目すると、日本は労働移民のうち約25%を永住型で受け入れているが、これは上位11カ国中で見ると英国、カナダに次いで3番目に高い値であり、また日本に次いで永住型の占める割合の大きなオーストラリアと比較しても、約10%ポイントの差がついている。つまり、日本は労働移民を永住型で多く受け入れる傾向を示す。 こうした事実は、日本の移民受け入れが、技能実習生やアルバイト目的の留学生、そして日系ブラジル人といった本来、労働者の受け入れを目的としない制度によっていびつな形で行われてきたという「サイドドア/バックドア理論」(梶田1994)や、日本は外国人労働者を人としてではなく、単なる労働力として使い捨てにしてきたという指摘に反するものと言える。 ■諸外国の移民政策の方が厳しい 一方、他の先進国では、外国人労働者は基本的に季節労働者など期限付き(使い捨て)労働力であり、また留学生も高い学費を徴収する「金づる」(Waters 2021)としての位置づけにとどまり、永住まで視野に入れた受け入れは例外的である。 では、「移民の定住化を阻止する日本」「移民政策をとらない日本」といったイメージはどこから生じているのであろうか。それは先ほど見たように、他の先進国における家族移民の多さに、反対に言えば日本におけるその少なさに起因していると考えられる。 このことが日本における「移民政策の不在」や、「外国人労働力を使い捨てにしている」といったイメージに対応する。つまり、日本以外の国では家族移民が多く、それが全体として永住型移民を多く見せている。一方、労働移民に限定した場合には、こうした特徴はなくなり、むしろ日本では永住型移民の占める割合が高くなるのである。 家族移民とは、国際結婚や両親や子どもの呼び寄せといった家族的つながりをベースとした移民のことである。よって、その受け入れは必然的に「永住型」になる。配偶者や子どもが期限付きでしか受け入れられないとしたら、それは基本的人権に反するからだ。 そのため、家族移民は労働移民のように国家が政策によって裁量的に受け入れの可否を決められない「非裁量的」なものとされる。したがって、家族移民の多寡をもって、ある国の移民政策が開放的かどうかを判断することはできない。