従来の半数90人で操る最新鋭護衛艦に記者が乗艦 まるでロボアニメの360度モニター

360度の全周スクリーンが特徴的なもがみ型護衛艦の戦闘指揮所(CIC)=4月23日、海自横須賀基地(竹之内秀介撮影)
360度の全周スクリーンが特徴的なもがみ型護衛艦の戦闘指揮所(CIC)=4月23日、海自横須賀基地(竹之内秀介撮影)

政府がオーストラリア海軍への輸出を目指す海上自衛隊最新鋭の「もがみ」型護衛艦(FFM)が4月23日、神奈川県横須賀市の横須賀基地で報道公開された。保秘が徹底された「戦闘指揮所(CIC)」に入れる貴重な機会となる。人員不足に苦しむ海自が省人化の打開策として建造しただけあって、艦内には新技術を駆使したあらゆる工夫が施されていた。

乗艦したのは令和4年就役の2番艦「くまの」。基準排水量3900トン、全長132・5メートルと従来艦に比べやや小さく、乗員数約90人とほぼ半数で済むのが最大の特徴だ。

艦中央部にある薄暗いCICに入ると、ロボットアニメに出てくるような360度をぐるりと取り囲む全周表示装置が目を引いた。まるで自分が船になった視点で周囲の景色が見える。従来艦が艦橋の左右と後方に計3人配置する見張りを、CICで代用できる。艦艇は3交代制なので、計9人分の人員削減効果だ。

「0・8ML(マイル)MYOUZINMARU」

装置に船舶自動識別装置(AIS)の情報が赤く表示される。漁船らしき「ミョウジンマル」の姿があったが、10分後に1・4マイル(約2キロ)先へ移動した。「AISは自ら発信できるので怪しい情報もある」と乗員が教えてくれた。不審船を艦影で判断しなければならない緊張感が伝わる。

CICにはモニター3台で1セットの操作卓が14席あり、中央に隊司令、艦長、哨戒長の席。全周表示装置に沿うように対空戦闘、目標識別、電波探知、対潜戦闘などの要員が配置される。

通常は艦橋にあるはずの操舵(そうだ)席まであり、艦橋が機能喪失した場合、CICで映像を見ながら操艦できる。艦橋に上がると従来艦より随分狭い。通常8人の配置が航海士官ら4人で済むためだ。

従来艦同様に他国艦船の警戒監視や海外派遣などをこなす一方、機雷戦に対応するなど従来ない機能も持つ。水中に仕掛けられた機雷を処分する水中無人機も装備。20フィートコンテナを積める区画もあり、輸送任務にも対応できる。

護衛艦「くまの」に搭載されている水中無人機。機雷を探知する役割を担う=海自横須賀基地(竹之内秀介撮影)
護衛艦「くまの」に搭載されている水中無人機。機雷を探知する役割を担う=海自横須賀基地(竹之内秀介撮影)

多様な機能を常時30人の少人数でこなす代わりに、1人あたりの仕事は増える。艦載ヘリコプターの航空整備士が係留時に甲板作業員を兼ねる事例もあるという。だが、艦内を案内してくれた副長兼船務長の浜崎晃礼(あきみち)2等海佐(42)は胸を張る。

「1人の仕事量は少なからず増大しているが、職種を超えて背中を預け合っている。精強性は維持できている」(市岡豊大)

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