夏バテ防止、まず食事から
水分補給にも気配り
夏バテの主な症状としては食欲がない、疲れやすい、だるいなどがある。暑さの急激な変化に体がついていかず、胃の働きが弱まり、食欲も低下する。
また大量の汗をかくと、水分と一緒にビタミンやミネラルなどが体の外に流れ出ていく。なかでも豚肉やウナギなどに含まれるビタミンB1はご飯やパンなどの炭水化物が消化されてできる糖分をエネルギーに変えるのに必要。これが不足すると体がだるくなったり、疲れやすくなったりする原因ともなる。
暑いと食欲が落ち、そうめんやそばなどあっさりした食べ物ばかり口にしがちだ。肉や魚、野菜などが欠けると、エネルギー源となるたんぱく質のほか、ビタミンB1など疲労回復に必要な栄養が不足し、だるさの原因ともなる。管理栄養士で女子栄養大学短期大学部の佐藤智英准教授は「夏は普段より栄養のバランスを意識してほしい」と話す。
夏の食事は量より質を重視し、少なめでも1日3食の食事はご飯やパンといった主食だけでなく、肉や魚、大豆などのたんぱく質を取りたい。副菜は野菜や海藻などを合わせることでバランスがよくなる。めん類のときでも、しそやキュウリなどの野菜と一緒に食べる。ビタミンCが豊富な夏野菜も食べたい。トマトには、体を冷やしたり、ストレスに対する抵抗力を高めたりする効果がある。
暑さで料理が面倒なとき、簡単にできて冷たく食べられるのが豚肉の冷しゃぶと蒸し鶏だ。冷しゃぶは豚肉を湯がいて大根やキュウリ、豆腐などとポン酢で食べる。蒸し鶏は胸肉を耐熱ガラスに入れ、塩、こしょう、酒を加える。しょうがとネギを入れて10分ほど電子レンジで加熱し、細くちぎる。これを冷蔵庫に入れて冷やしておけば、そうめんやサラダと食べられる。「食欲がないときはトウガラシやカレー粉などの香辛料のほか、梅や酢など酸味を使うと食欲をそそる」(佐藤准教授)
水分補給も重要だ。脱水症状を防ぐため、こまめに水分を取ることを心がけたい。その際は水やお茶などを数回に分けて少しずつ取るといい。冷たいものを一気に飲むと、胃腸の機能を弱くして食欲不振や消化不良を招くこともある。水分の取りすぎや、糖分が多い清涼飲料などを飲み過ぎると空腹感が薄まるので注意が必要。またビールなどアルコール飲料は、利尿作用から飲んだ以上の水分が体内から出て行くので気をつける。
食事以外に夏バテの原因となりやすいのが冷房だ。涼しい室内と暑い屋外の温度差が大きいと体がついていかず、体温を調節する機能がうまく働かなくなる恐れがある。疲労がたまったり、だるくなったりしやすく、食欲も落ちてしまう。東京臨海病院の松本孝夫副院長は「冷房が利いた室内に長時間いる場合は、冷えにも注意が必要」と指摘する。肩や首、足など露出している部分が冷えやすいときは、上着を1枚はおることを勧める。体が冷えて胃腸の働きが低下した場合は、温かいスープなどが効果的だ。
暑いからといって冷房を強くして室内にずっといると、汗をかかなくなり、代謝の衰えが心配になる。夏バテを防ぐには適度な運動も必要だ。運動不足では汗をかいて体温を調節する機能が弱くなる。炎天下を避けて朝夕の涼しい時間帯に散歩するといい。疲労回復にはしっかりと睡眠を取ることだが、寝るときに冷房で体を冷やし過ぎるとかえって疲労感が残ることもある。松本副院長は「規則正しい生活リズムを心がけ、バランスの取れた食事や十分な睡眠を取ってほしい」と話す。
[日経プラスワン2010年7月24日付]