それはまるで摩耗すれども確かに地へ威を届ける隕石のように
ニビル二枚出たので今日から天性の勝ち組名乗っていいですか?
ツチノコ一枚も見つけてないからダメ?
シングルで3枚買ったから人造勝ち組なので祝福の更新です
アンドロイドに混じって人間のNPCが混じっているが、いちいち区別して倒す倒さないの取捨選択ができるはずもなく。もう少なくない数の人間が血だまりに沈んだわけで………そしてそれらに手をかけた俺たちはと言えば。
「お、レベル上がってる」
「近距離格闘一択だろ」
「いや待て待て、早計だぞ」
「……せめてこう、もう少し宇宙船運営にリソースを割こうとは思わないのか?」
「アプデ後からプレイヤーが生きてる限りはゲームオーバにならなくなったからよう、そりゃオメェ……」
「「敵船に全戦力で乗り込んで奪い取ればいいじゃん?」」
「…………ねぇガゼルにライノ、この戦いが終わった後も俺たち友達だよね?」
「そうなるかどうかはあれだよ、誠意を見せてくれよ」
「二人とももう五回くらい命救ってるよね!?」
「極限状況下における恩のなすりつけなら俺達もできるからノーカンだぞ」
「つーかその理論なら俺が一番誠意を受け取るべきじゃねェのかよ?」
「ナビゲートにも誠意が欲しいのだけれど?」
「「「あざーっす!」」」
「誰が曖昧な誠意をよこせと」
まぁ、好き好んで敵戦艦に乗り込むような連中がPvPにせよPvEにせよ何かと戦うことに対して忌避感があるはずもなく。更に言えばこの場にいる潜入チームは全員無双ゲーなども嗜んでいたのでどんな顔して突っ込んでこようがそれは単なるエネミーであり、スコアであり、経験値でしかないのだ。強いて言うなら強奪できる武器が人間用なので俺たちも使えてラッキーってことか。
「………宇宙海賊だろこれ」
「おいフォックス、みんなが言わなかったことをついに……」
「俺はいいと思うけどな宇宙海賊」
『私もいいと思う』
「あ、お疲れ様っす愛板氏。戦況どうっすか」
『正直言って若干不利にまで戻されてしまったが、大局的に見れば私の方が有利だね。六角御殿も含めて二隻落とされたのは痛いがこちらも六角御殿の奪取を含めて二隻落としている、そしてグレートウォールの再装填は最終日には終わるが向こうの再装填はこの戦争中には終わらないからね』
なるほど、序盤ブッパにもちゃんと目論見があったわけか。初っ端からテラトン級一隻がほぼ置物に等しい金属の塊になるというデメリットを受け入れてでも、戦争中に二度の戦略兵器を使えるメリットを取ったということなんだろう。そしてそれは一隻置物になったとしても他のテラトン級で穴を埋められる火力を持つ愛板氏だからこそできる芸当だ。
さらに言えば六角御殿の脱落は双方にとってマイナス1としてカウントされる。むしろ元々自分のものではないテラトン級に被害が行ったので愛板氏の保有するテラトン級は一隻しか墜ちていないとも言える。それ故に六日目現在、拮抗という奇跡的な現状を作り出すことができているのだ。
それとは逆に、潜入班である俺たちの進捗は良いとは言えない……というか悪い、としか言えない有様だった。
「また変わってるぅ…………」
「くっそ………敵の方も迷ってるのが救いといえば救いか……」
そう、女王玉座に侵入してからディアホーンの撃破を目指していた俺たちだったが、途中からディアホーン側からのアプローチが撃退から遅延へと変わったせいで俺達は一度使うごとに全く別の場所につながる転移ポータルに手を焼いていたのだ。
愛板氏曰く、転移ポータルにそのような妨害機能は搭載されてないはず……との事だったが、であるならば可能性は一つしかないだろう。人力シャッフルだ、恐らく俺たちを中枢に近づけないためにディアホーン本人が手動で転移先をいちいち変更している。それは愛板氏からの攻撃に対してほとんど機械的な反撃しかしなくなった女王玉座の動きからほぼ確定と判断されたが、だからと言って雇用主が雇われのプレイヤーごと女王玉座を撃沈させるわけにもいかない。
ぶっちゃけ俺が愛板氏で潜入に鉛筆とかカッツォを送り込んだのなら躊躇いなく撃沈させると思うが、資本主義の頂上付近におられる愛板氏的に信用の裏切りは以ての外とのことらしい……………ああ、つまりそう言うことなんだ。
「足引っ張りまくりで申し訳ない……」
『いや、女王玉座の機能を半減させていると言う点では十分に役割を果たしている……気にすることはないよ』
そうは言っても…………いや、もう取り繕うのはやめよう。正直言って愛板氏に貢献するとかしないとかじゃなくて、このクソゲー迷宮にたった一人の涙ぐましい人力シャッフルで彷徨わされているという事実に我々一同、結構頭がポカポカしてるし脳みその潤滑油が切れて全体的にギスギスしてきているのだ。しゃあねぇ、発破をかけてやろう、この俺……何故か清く正しく生きているのに鉄砲玉になることの多いガゼル様がな。
「リーダー、提案があります」
「……聞こう」
「このままでは最終日までさまよって終わりになります、ここで一丁賭けに出るべきかと」
「具体的にどうすンだよ」
「だって進むにしても戻るにしてもシャッフルだよ? 多分向こうの速度が追いついてないときは元の場所にも取れたりするけど……警備員の詰め所に繋がった時とか地獄だったじゃん?」
「だからもう思考と停滞を捨てる」
「…………?」
つまり、こういうことさ。
◆
「突撃ぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」
「行き止まりだ!」
「黙れ! 戻れ! 進め!」
「敵多数!」
「黙れ! 進め! 進め!!」
「おいゴラァ! ガゼルテメェ二度と俺のこと脳筋って呼ばせねェからな!!」
「黙れ! 進め! 進め! 進めぇぇっ!!」
思考力を捨てろ! 本能だけを行動のよすがにしろ! 一流の鉄砲玉は深く考えない! 突撃ぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!
人力シャッフルがなんだ! それってつまり対応速度は人並みって事だろう、だったらそれ以上の速度で駆け抜けてシャッフルされる前に本丸に辿り着く! 急がば回れ? 急いで回るんだよ最短最速で行けば回り道でも俺がワールドレコード!!
「最小の手間で最大の活路を開け! 弾幕張られても一人潰せば一人分の道が出来る!!」
「後ろ四人が死ぬじゃねーかその活路!!」
「……だが、打開するにはこれくらいしないと、な!」
先頭の俺がセキュリティ達の中に飛び込んで撹乱、直後に追いついたライノが力技で突撃。崩れたところを後詰で刈って突き進む、あくまでも全滅狙いではなく強行突破なので無視しきれないダメージも増えていくが……それを無視して突き進む! 転移踏んだ! 外れ! 突撃! 突撃! 転移踏んだ!! 突撃ィ!!!
「弾が無くなりそう! 誰か持ってない!?」
「屍から奪え!」
「規格合わないんだよこれぇっ! くっそ銃よこせ!!」
「ねぇ! そろそろ私落ちそう、なんだけど……っ!」
「……気合いで、進めっ!!」
「すまんフォックス! 気合いじゃなくて知恵貸してくれ! パズルロックだ!!」
「……こんな時に、いや待てパズルロックだと?」
僅かな沈黙、ライノの纏う装甲にビシビシと弾丸が当たる音だけが響き……直後、全員の脳裏に雷の如く活路から差す光が見えた。
「フォーックス! 速攻で開けーっ!!!」
「来た来た来た来た!!」
「……プレッシャーをかけるな! 急かすな! 手元が狂う!!」
見えたぞ本丸、覚悟しやがれ討ち入りだコラァ!!
人力シャッフル
所謂船内の模様替えを利用した小技、ただし思っているよりも便利なものではなく模様替えのためには転送前、転送後のエリアにプレイヤー及びNPCが存在している場合は模様替えできないのでディアホーンは現在プレイヤーがいる区画の次の次を調べてちまちま区画をいじっていた……数日間、ずっと
なにもキ印ゲージが溜まっているのはガゼル達だけではない