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俺たち、鉄砲玉野郎Aチーム!

あつがなつすぎる

ディストピアの風が吹きかけたような気がしたがそんな事はなかったぜ。コストが少し重いもののアンドロイド・クルー達はすこぶる優秀だった。

とはいえアプデしたとてギャラトラはギャラトラ、基本的にやることに変わりはない。彷徨って、立ち寄って、また旅立つ……それがギャラトラの基本だ。


「着陸できそうな惑星は無し、ガス惑星オンリーかよこの恒星系、しかも役に立たないガス……」


ハズレ恒星系だ、恒星からの熱エネルギーで発電したらさっさと去るに限る……ん?


「ソナー、反応は?」


『いいえ艦長、反応はありません』


「目視、あの惑星に何かあるか探せ」


『了解しました』


「………通信手、あの惑星に向けて第三種暗号通信を飛ばせ。内容は「当方無所属」だ」


『了解しました』


朧げな記憶なので自身はないが確か大量の宇宙船が一斉にステルスを使用した場合、何分かに一度ステルスシステム同士が干渉を起こして「揺らぐ」と聞いたことがある。

ガス惑星が今一瞬、奇妙な動きをしたように見えたので肉眼確認とそれなりの設備があればプレイヤーなら一発で解読できる暗号通信を送ってみたが……果たして答えは、目の前で解け始めるステルスシステムだった。


「うお、マジか………」


『熱源反応多数、計測の結果八十隻のトラベライズリアクター反応を検知』


『第三種暗号通信を傍受、解読………「当方は至高のA大船団である、協力の意思あらばナビゲートに従い三番艦「グレートウォール」へ来られたし」との事です』


至高のA……グレートウォール……ああ、そういう事。邪悪な存在によって邪悪を見抜く力を備えさせられたってなんかダークヒーロー系の導入っぽいが、実際は邪悪な存在(ディープスローター)によって邪悪(下ネタ)を見抜く力を備えさせられただけなので哀しさしか感じない。


にしても大船団と来ましたか、複数のプレイヤーが集まっているようだが透過モニターが補足する情報を見れば、明らかに過半数の宇宙船に同じ名前が表示されている。つまり大船団を運営しているのは実質ただ一人……重課金プレイヤーだ。


「さーて、重課金プレイヤーが無課金集めて何してるのやら……」


復帰早々死亡率の高い大規模戦闘に首突っ込むのは気が引け……る、わけがない。復帰早々派手なイベントがあるなら首を突っ込まずしてどうしてくれようかってな。


「第三楽皇丸、ナビゲートに従って着艦せよ」


『了解しました』









まさかあれだけ知ってる風で近づいてきたのにマジで何も知らないプレイヤーだとは思われなかったらしく、「で、これなんの集まり?」と聞いたら割とガチで驚かれた。なので改めて説明を聞いたことで大体の事情は理解した。


今回の大規模戦闘に関わるプレイヤーは二人。片方はこの宙域で命知らずの傭兵隊を募っていた愛板(まないた)氏。そしてもう一人がこれから戦う事になる敵艦隊「双丘の大艦隊」の頂点Gカップムネ肉氏……名前の時点で不倶戴天な関係性としか思えないのだが、実際の敵対理由は利権関係のゴタゴタであるらしい。

まぁそこら辺に関しては傭兵達の知ったことではない、そんな大局的な視点で動けたら命知らずの傭兵なんてやってないからな。ともあれ決戦に向けて軍備を整えていた愛板氏は諜報活動の結果、双丘の大艦隊が他プレイヤー(重課金)と同盟を結んで連合軍の構えを取っている事に気づいた。つまり向こうさんは利権を分割してでも愛板氏を抹殺しようとしてるわけだ。もしくは用済みになったら連合の同胞ごと屠るつもりか……


だが決戦までもう時間がない、というか具体的に言うと今晩なので今更連合を組むこともできない。なので愛板氏は方針を変えた。重課金同士の連合軍を作るのではなく、雑魚……もとい無課金ユーザーを集めて傭兵隊を作る事にしたのだ。


「諸君、仮に敗北したとしても諸君らになんらかの補填を行う事は保障しよう。そして勝利したならば、敗北以上の報酬を約束する!」


「具体的には?」


「一番活躍した者にはテラトン級宇宙戦艦を進呈しよう!!」


「「「「「うおおおおおおおっ!!!!!」」」」」


その言葉に傭兵達が大歓声を上げる、俺だって思わず声が出た……何せ無課金プレイヤーの船が基本メガトン級で、三万円くらいで作れるのがギガトン級、テラトン級宇宙戦艦ともなれば十万円オーバーの重課金宇宙船だ。勝って活躍すればそれがタダで手に入るかもしれないとなれば、誰だってやる気を出すだろう。


「君達の目的は連合を形成する四人のプレイヤーの首だ!!」


バン! と愛板氏が叩いたモニターに四人のプレイヤーの情報が表示される。


・リクモガミホテル「サイジョウ」


・真珠の円匣「海鶏」


・ホーネッツネスト「ディアホーン」


・双丘の大艦隊「Gカップムネ肉」


錚々たる面々だ、俺でも覚えてるネームがあるくらいだからな……


「彼らについて色々と(・・・)聞いているだろうが構わん! 私が保証する、恒星に叩き込むなりデブリにするなり好きに調理したまえ!!」


ギラギラとヤバイ目で免罪符を無料配布する愛板氏に盛り上がる傭兵達だが、中にはヒソヒソと話す者達もいた。具体的には俺のすぐ隣。


「ビッグネーム過ぎんだろ……」


「グランドスプリームの創始者一族にアコヤフーズの社長って……」


「アタシ、ハチミツの六角が作ってるハニーキャンディ大好きだから戦うの気が引ける……」


「なんかデータ読み取られて出禁とかにならない?」


「国内最大手の家電メーカーのトップを裏切る勇気があるなら向こうにつけばいいじゃん?」


「サウダージの非常電源付き冷蔵庫のおかげで命拾ったことあるので足向けて寝れないんですぅー」


つまり、まぁ、そういうことなのだ。ただのゲームと割り切るにはちょっと見え隠れする金と権力がデカすぎるっつーね。

とはいえいざ決戦の時になれば皆働くだろう、既に至高のA大船団総旗艦「愛の地平線」にコントロールを預けた傭兵達の船は決戦のフィールド「モスコミュール宙域」へと向かっているのだからもう後には引けない。


「ギガトン級宇宙船を保有する者達には申し訳ないが艦隊戦に参加してもらう。恐らく良くて半壊で済むかどうかだろうが……修理費は全額負担するので覚悟を決めてもらいたい」


ギガトン級宇宙戦艦は実質三万円だ。缶ジュース感覚で用意できる重課金プレイヤーと違って、軽課金プレイヤーからすれば失えばあまりに手痛いし愛着だって無課金プレイヤーと比べれば大きかろう。覚悟は決めているようだが、ギガトン級船主達は皆悲壮な顔をしている。自分で担保にしたんだから仮に撃沈しても自業自得だとは思うがね。


「そしてメガトン級以下の諸君らは……いや、この際包み隠さずに言おう。鉄砲玉だ」


放たれた銃弾が銃の許に帰ってくることはない、敵船に乗り込み直接プレイヤーを狙う俺達の命は使い捨てとほぼイコールだ。


「希望があれば宇宙輸送機を用立てるが、まず確実に諸君らの大半は帰ってくることはないと考えている……それでも我が艦隊に協力してくれること、感謝する」


大手家電メーカーの社長……もとい重課金プレイヤーに頭を下げられたことで鉄砲玉の傭兵達は慌てているが、俺は別の場所に思考が向いていた。


「輸送機………ね、」


時に諸君、宇宙の嵐(ユニバース・ストーム)を知っているか?


決して代理戦争ではないんですよ?

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― 新着の感想 ―
[一言] バストサイズにゲーム内における利権、或いは現実の…… なんか、殴りたくても殴れないリアルの関係を発散する場になってそうな気がする……
[気になる点] このゲームって海外のオンラインゲームで宇宙戦争が起きたらリアルマネーが動くほどの社会現象を起こすあのゲームが元ネタなのかな?
[一言] ケンガン...?ケンガンだったw
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