所作は顔程にモノを言う
残念ながら老舗メーカーのパーティゲームにはそそられるものはなかった。いや、クソゲーマー視点の話だ、ネガキャンじゃないぞむしろ誇れ。
次は……あー、ネフホロ2か。へぇ、結構情報を出すんだな……
『夏目ちゃんはネフホロってやったことある?』
『んー、プライベートでもあんまり格ゲー以外はやらないのよね……好き嫌いじゃなくて、単純に食指が動かない感じ?』
『実は私も未経験。でも友達にも何人かやってる人達がいるんだけど、凄い推してくるの』
俺は推してない、つまりルストだろう。奴は基本的には普通だが前触れなく妖怪ネフホロ激推し女に変身するので困ったものだ。ちなみに俺に対しては妖怪ネフホロ脅迫女になる、いや買うけどさぁ。
◇
【旅狼】
ルスト:ネフホロ2は!!!!!良いぞ!!!!!!
サンラク:うわ出た妖怪ネフホロ激推し女
モルド:ウチのルストがすいません……
鉛筆騎士王:正直ちょっと買いたい気持ちもあるからダイマは成功してるよね
秋津茜:お小遣い次第です!!
ルスト:むしろ私が払う
京極:ルストさん、ステイ
◇
『さて今回は最新映像……の前に?』
『ここで明かされる衝撃の事実! 実は今回の司会進行は二人ではなく、三人なんだなこれが! それでは中継先から呼んでみましょう! エイトちゃーん!!』
エイト……あ、笹……笹、笹……原? 笹原エイトさん! ふふふ、アイドルに関してはかろうじて顔と名前が残っている程度の興味だが流石に二度も関わりがあれば苗字だって覚えられるさ。顔隠しとしての関わりだから今会ったところで向こうは何のこっちゃだろうがな……
◇
【おいそこの面白フェイス】
鉛筆騎士王:ちなみにエイトちゃんは大学の二個下の後輩です
サンラク:二年も生き地獄を……!?
【旅狼】
鉛筆騎士王:よくぞほざいた変人二十面相、後で泣くほどヨシヨシしてやろう
サンラク:お前に人の心はないのか
鉛筆騎士王:有情と慈愛の塊ですけど〜?
サンラク:無情と地雷の塊?
鉛筆騎士王:靴を舐めさせてあげよう
ルスト:……? 同じところにいるの?
サイガ-0:ほあちゃあ!!?!?
モルド:!?
◇
「も、戻りましたー……」
「玲さん、ほあちゃあって……つーかその、」
「…………」
「あ、うん……」
『……天音さん?』
『………あ、いやナンデモナイヨー!!』
◇
鉛筆騎士王:不審者増えてるゥ!?
サンラク:いや俺も素でビビってる、なんだあのお面
鉛筆騎士王:あー、確かアイドル・☆・クラウンって女児向けアニメの主人公のお面。ゲームブースが出てたっけかな
サンラク:なんでお面なんか……
鉛筆騎士王:あ、サンラク君って吸血鬼に連なる一族とかの出身? 実は鏡って今の自分の姿が映る素晴らしいアイテムなんだけど……
サンラク:太陽も流水もニンニクも弱点じゃないから究極存在じゃん
鉛筆騎士王:心臓に杭刺したら死ぬじゃん
サンラク:誰でも死ぬわ
◇
『今日はですねぇ……なんと! 最新鋭ARと最新作VRの夢のタッグが実現! 皆様、上をご覧ください!!』
ホログラムで映し出された笹原氏の言葉に従って上を見てみれば、なにやら薄い板のようなものが会場全体を覆っている。天井? いや違う、これは……床だ。
『こちら、只今ネフィリムホロウ2の先行プレイが行われているブースで実際にプレイされている光景なのです! VR空間内で起きている光景をARで投影、逆に現実世界での映像を基にVR空間内にこの会場が形成されている……まさに相互再現!!』
コンピュータ上の世界と現実の複合……MRってやつか。成る程大体分かった、つまり大迫力のロボバトルを現実の上空でぶちかまそうって訳だ。
「成る程これは……」
賢い。これができるという事実はさまざまなゲーム界隈に激震をもたらすだろう。だがそれの見本として使用されるゲームに齎されるアドバンテージが凄まじい事は言うまでもない。
ルストの奴も幸運続きだなぁ、元々操作感以外は良作ゲームだったネフホロだ。続編を作るにあたって猿に設計でもさせなければ約束された神ゲーだ。
抽選か何かで選ばれたのだろう、多くの視線が集まるこのメガフロート・サイトでネフィリムと共に駆ける者は全部で八人。スクワッド戦……いや違う、まさかバトロワか? マジかよ、凄いぞネフホロ技術革新じゃねーか!!
「あれ、色被り」
「色、被り?」
「ん? あー、ほらあの赤のペイント、三体くらいいるじゃん? それの事」
「あ……本当、ですね」
それなりにネフホロで対人戦に潜っていながらあのカラーリングを知らなかったらそいつはモグリだろう。あの真紅の羽毛はただ一人に贈られた栄光の赤だ。
まぁ、世界観的にも初代の世界のさらに先らしいし(ルスト談)、過疎っていたからこそルストただ一人の為のカラーなんてものが実装されたんだろう(ルスト談)
2ではそのカラーリングが全プレイヤー用になっていても不思議ではない……とのことだ(ルスト談)
あいつネフホロの事になるとテンション爆上がりして早口になるからな……でもあの熱意は嫌いじゃない。
だが絶対王者の専用カラーリングがデモプレイの時点で使われてるってのは物悲しさを感じずにはいられないな……まぁ奴を王座から引きずり降ろしたのはウチのカニちゃんだけどな。
『それでは大迫力のネフィリム・バトルロワイヤルをお楽しみください! レディー……ゴーッ!!』
笹原氏がゲーム開始の合図を出したその瞬間だった。
真紅のペイントが施されたネフィリムの内の一騎が初っ端から最大出力のブーストをかけて戦場のど真ん中へと飛び出した。
そいつは参加した他七機のネフィリムを射程圏内に収めると……左腕とまるまる一体化した巨大スナイパーライフルを発砲。明らかに本来の用途とは違う初手凸砂という蛮行に対応出来なかった真紅の一騎へと実弾弾頭が着弾。一撃で頭部を粉砕されたネフィリムが力なく墜ちていく中、ファーストブラッドを掻っ攫った真紅へと四機のネフィリムが殺到する。残り二機は遠距離からの漁夫の利狙いか。
「おお、なんだあの機動」
「古武術?」
合気道みたいな受け流し方で己へと迫るネフィリム同士を激突させた真紅に遠距離からの狙撃が迫る。だがそれを左腕のスナイパーライフルで受け止めると、半壊した銃口を激突で動きを止めたもう一機の真紅へと突きつけ……発砲。
左腕が内側から爆ぜ、かろうじて指向性を維持した爆風で哀れな真紅の胴体が抉れる。そいつは晒した隙を見逃してもらえなかった、周囲にいた他のネフィリムによって串刺しにされた事で大破脱落……残り七機。
「お、やっぱ生きてた」
「首のない状態で……!」
ネフホロではネフィリムとプレイヤーが一体化する関係上、頭部を破壊されるとシャレ抜きで視界がブラックアウトする。その場合はレーダーだけで判断して動かさないといけないのが前作だったが……今回はそこらへん緩和されているのだろうか? それとも最初に頭を吹っ飛ばされた奴がネフホロプレイヤーなのか。迷いない動きで観戦へと飛び込んだ首なし真紅がお返しとばかりに己の頭を吹っ飛ばした仇に飛びかかる。
「いや、多分それは……」
最悪手だ。
左腕が消失した事で軽量化された隻腕の真紅がマネキンのような素体とはいえ分類的にはロボゲーであるはずのネフィリムホロウとは思えない挙動で首無しの背後へと回り込む。
無傷の右手に装備されているのは、ギャリギャリと唸りを上げるビームチェーンソー……!!
機体ごと回転するような動きで首無しの四肢をも斬り落とした隻腕の真紅が胴体だけになった首無し真紅を蹴り飛ばす。
その行き先は距離を離してスナイパーライフルを構えていた重量級、実際は途中で大破判定により脱落消失するのだろうが反射的に重量級は首無しの残骸を狙って撃ってしまった。
その僅かな隙を隻腕の真紅は見逃さなかった。混戦から辛うじて抜け出してきたネフィリムの一機に近づき、その腕を捻り上げてコンコンと指でそいつの腕……ライフルを軽く叩く。いや待てまさか、
「嘘だろオイ……」
「え、当たっ……!?」
◇
鉛筆騎士王:あれマジ? 目視で他人の照準合わせたの?
サンラク:挙動で誰か分かったわ
◇
───真紅の頂点は、ただ二人に与えられた栄光だ。
一体誰なんだ………(なおモルドのアシスト無しでコレ)
皆さん感想欄でも結構気にされてるようですがポテトちゃんにハズレくじ引かせたカツオ野郎ですが。
彼は今生放送してます。タイトルは……
『逃げずに全部答えます! 魚臣慧のガチ一問一答!!』
めがしんでる