挟撃ダブルバレッツ
なんで更新がこんなに遅れたのか、竜玉が出ないとかベヒーモスにボコられ続けたとか色々あるけど一番の理由は二回書き直して充電切れで一回文章が消えたからです
では問題、異形化したとはいえ素材として最新鋭の戦闘機が複数用いられている巨人の装甲をブチ抜くにはどうすればいいでしょうか?
答えは「ヤシロバード絶対許さねぇ」でした!
「ちょ、硬過ぎだろ……!!」
「ランチャーバレットも、駄目です……!!」
最大火力でもダメ、つまり正攻法で倒させる気がないと。水鉄砲にラー油詰めて奴の鼻に注入してやろうか、いやリアルのあいつに関しては名前すら知らないけど。
「情報共有! とりあえず前面……いや、装甲の部分は貫けない。多分別ギミックで倒すタイプだ」
「え、えと、戦闘機の武装だった部位を破壊すると、強化できます……っ」
成る程? 選択肢は二つに絞られたな。
「玲さん、棺桶の上で踊るのとミンチ覚悟で地べたを這うの、どっちがいい?」
ちょっとクサい言い回しで問いかける。正直ちょっと顔が赤いが、ゲームなんだからノッてかないとな。それにシャンフロガチ廃人勢たる玲さんならきっと───
「あ…………ふふっ、楽郎君が先にカードを引いていいですよ?」
「……今のちょっとかっこいいな」
「へうっ、そ、そこで素に戻るのは、ずるいですっ!」
であればお言葉に甘えよう。
躊躇うことなく装甲車の荷台から未だに装甲を続ける空母甲板の上に着地。いい加減脱出しろやと思わなくもないが、どうやら設定的には逃げ切る寸前で囲まれるので泣く泣く空母上をグルグル回っている感じらしい。
「ま、だろうとは思ったけど……」
グシャッ! と耳元のスピーカーから重い音が響き、視界が一瞬だが赤一色に塗り潰される。まぁそりゃ結構な速度で走ってる車から飛び降りたら人の身体で雪だるま作りする事になる。だが読みは当たっていた、鯖癌における最も入手と消費が簡単なそれはオンラインが封鎖されるその瞬間まで変わることはなかった。
「命はかなぐり捨てるもの……!!」
残機は残り一つ、十分!!
先程まで俺と玲さんは同じものを見ていたのだろう、だが恐らくだが……荷台の上と地面の上でステージの判定が違うと見た。
なに実際は手を伸ばせば触れられるはずの位置にある玲さんの乗るオブジェクトブロックが遙か遠くにあるように見えるのだから。
ご丁寧にゲームの世界観をギリ壊さない程度の慎ましさで「ここにオブジェクトブロックがあるから気をつけてね!」とラインが引かれている……が、そっちに用はない。
「荷台の上からじゃ絶対に背中が見えない……怪しさを感じずにはいられないよなぁ?」
「そう、ですね」
「……玲さん、視界的には数十メートル離れてるから」
「あっっ、ごめんなさい!」
無線機って事にしとくかぁ。
とりあえず現実側のオブジェクトに躓かないよう気をつけつつも、拡張された現実世界に映る巨大戦闘機怪獣の背後へと回り込むようにエリア内を駆け抜ける。
「ふっふっふっ……シャツでも羽織れよ、弱点が丸出しだぜ……!!」
バードストライク、という事故がある。簡単にいえば推進器に鳥が突っ込んで起きる事故を指すわけだが、重要なのはジェット機における推進器というものはそれだけデリケートな機械であるということだ。そして、奴の背中には取り込んだ戦闘機のものであろう推進器がびっしりと生えている………ボーナスタイムだ。
「よっしゃ挟み撃ちだ!!」
「…………」
あ、律儀にさっきの言葉を守ってるのね………まぁいい、ファイア! ファイア! ファイア!!
弱点へと連続で発砲、ここで倒せばデモプレイはゲームクリアなのだからこの際弾の節約なんてものは一切考えない。一発二発で壊れるものじゃないというなら、百発でも二百発でも叩き込めばいいだけのことだ!!
「最初から二人プレイ固定の時点で読めてんだよ……!」
プレイヤーが二人いるのなら、わざわざ固まって戦う必要はない。挟み撃ちするためにどちらかが残機を減らす前提なのは物申したいところだが、実際ゲームの流れとしてはよくできてるのがちょっと悔しい……く、ていうか硬いなやっぱ! 雑魚敵がいないから銃の強化も特殊弾頭も使えない、ボス戦突入前にそこら辺を揃えるのが正解だったか……だが!
「3点バーストだって戦える……!」
3点バーストなめんなよ。一度に三発撃てるんだぞ、三倍だぞ三倍。セミオートフルオートにしない辺りに「粋」を感じるがゲームでは数値が全てなのでやはりゴミなのだ……あれ? 擁護してる筈が引導を渡してる。
まぁそもそもスペックがゴミなのを擁護しようとしてんだから致し方ないのか……お、推進器取れた。
「あれこれ………」
左手で、掴むジェスチャーして、引っ張って………ほーん? これ手元に引き寄せられるんだぁ………っしゃ死ねオラァ!!
「いいねぇ特殊ギミック!!」
ガコォン!! と良い音を立ててガージェット・スクラッドの背中が爆発する。成る程これは確かに二人必要だ、前方でこいつの注意を集めるやつがいないとこのギミックは作動しないわけだ。
わかってしまえばこちらのもの、三点バーストでべちべち削りながら千切っては投げ千切っては投げ……そして、その時はやってきた。
「お」
「あ……」
巨大スクラッドが悲鳴の如き軋みを上げて身体を激しく歪める。金属で構築された巨体が無理な捻りとこれまでの損傷によって致命的な破壊音を上げ、そして崩れ始める。
「はぁー……………疲れた」
何気に推進器を破壊した時の瓦礫にダメージ判定があるのがあんちくしょう、って感じだったがクリアしてみれば中々いい汗を………ん?
「……………ぁあ?」
膝から崩れ落ちて? あぁ、体勢的に青天向いて倒れる訳で……ははーん、さてはダメージ判定あるなこの野郎?
「いやもしかしたらクリアしてるからスコアには関係ない可能性もぐはー」
視界真っ赤かよ、あの野郎次会ったら膝カックンだ。
……
…………
………………
クリア評価A、はいそうですね俺が残機全部使い切ったからリザルトに響いたんですねすいませんね。
「おめでとうございます! クリアした方は今回のデモプレイ特典として引けるクジ引きを三回引く事が出来ます!!」
「だってさ玲さん」
「わ、一等はアミューズメントパークの一年無料パス…だそうです」
アミューズメントパークの無料パス……つ、使わねぇ、絶対一年のうち十回行くかも怪しいぞそれ。いや、まぁ取らぬ狸の皮算用でしかないか。
「お先にどうぞ」
「え、あ、はいっ」
この最先端が集まるメガフロート・サイトにてまさかの箱の中から紙を引く超アナログくじですか、逆に目新しいなオイ。ゴソゴソと三枚のくじを引いた玲さんがスタッフの女性にそれを手渡し……
「え、嘘っ」
「えっ」
「えっ?」
「え、あー、えーと……お、おめでとうございます! 一等! 三等! 四等でーす!!」
無言で俺と玲さんの視線が交差する。リアル乱数勝者に若干険のある視線を向けていたのか、玲さんがそっと目をそらす。好乱数引き過ぎだろ……怖いわこの人……見ろよ、スタッフの人も若干引いてるぞ。
スクラップ・ガンマンが実装されるアミューズメントパークの一年間無料パスにスクラップ・ガンマン対応の銃型コントローラー、スワローズネスト社のマスコットであるらしいデブツバメの人形を受け取った玲さんは周囲からの視線に、居心地悪そうに顔を人形へと埋めていた。
「リアルラック凄いですね……あ、でも今並んでるお客様方、ご安心ください! 一等はまだ四口残ってますし、二等以下も多めに用意してますからねーっ!」
でも確率は下がってますよね? 仕方ねぇな、ここは俺が一番下の七等でジャックポットをお見せしよう……!!
「これだ!!」
「これは……!!!」
乱数とは宗教だ、そして乱数の神に幾度となく唾吐いた俺ならばきっと引ける。俺が、俺こそがクソ乱数の貴公子───!!
「あ、あの、楽浪君………」
「(´-`)」
「えと、あの、その……」
「^^;」
「あう………」
二等の景品である半透過フェイスモニターを搭載した表情反映型フルフェイスヘルメットを被った俺の表情を絵文字に変換したフェイスモニターから感情を読み取れないのか、デブツバメを抱きかかえた玲さんとなんとも言えない雰囲気で歩いていると……
『ハローワールド! ハロージャパン! 特設ステージから愛を込めて!』
「へ?」
「ಠДಠ」
ちょっと待たれやコラ、この声は………
【悲報】恋愛パート終了【さらばラブコメの「ラブ」の方】