主観
アナザージオウIIが「全てのライダーの力を受け継ぐ時の王者」のポジションに割り込んだ瞬間、ジオウのみならず「魔王が受け継いだ全てのライダー」がアナザーのそれになるので本来の歴代ライダー全員が虚構に貶められるのクソ極悪だしマジ許せねぇ! ってなるので控えめに言って最高
いやまさか、いやしかし…………マジで言ってる? あの頭トリガーハッピーとこんなところで接点出来るとかあり得る? ていうかあいつ、まっとうな人生送れたの? こう言っちゃアレだけど鯖癌経験者とか犯罪者予備軍って呼ばれても否定できない連中だぞ? 同じ鯖癌経験者が言うんだから間違いない。俺はクソゲーの光差す道を歩いてきたので既に闇落ちルートは回避済みだがな。
「うわー、これ中々酷い引っ掛けだな……」
「え?」
「玲さん、これ多分バカスカ撃ってるとボス前で弾切れになる」
「えっ」
いやなんか怪しいなとは思ってたんだ。このゲーム、カテゴリ的にはレールシューティングなのに弾丸に保持上限なんてものがある時点で胡散臭さ半端なかったが、蹴りやパンチで倒せるという事はつまり「弾切れした場合の戦闘がシステムとして組み込まれている」って事だろう。
つまりなんだ? ゾンビシューティングだと油断して弾を使い過ぎればボス前で徒手空拳なんて事になる。気づいてから考えてみればさっきから露骨に弾丸パックアイテムが少なくなってるじゃねーか!!
クソッ、これで確信したぞ絶対これヤシロバードの会社だろ! 性格の捻れが反映されたような銃のクセといい、弾丸管理が重要といい、鯖癌における銃特化プレイの典型だこれ!!
「でも、増えてますよ!?」
「狙うのは脚だ!」
よくよく考えたら違和感はあったんだ。このデモプレイできるステージは退却戦、プレイヤーは走る装甲車の荷台から追いかけてくるスクラッドを倒すシチュエーションのはず。なのに何で倒したスクラッドが視界内に残ってるんだ? 慣性にしたって残り過ぎだ、というわけで近くに来たスクラッドの頭を踏み抜いて経過観察したところ、こいつら死んでいても脚が無事だとブースターか何かでついてきていることが判明した。
逆に脚さえ壊してしまえば、撃破されていなくても顔面から地面にキスして高速でフェードアウトしていくのでスコアを突き詰めるならともかく、確実にクリアするなら弾丸をケチって雑魚を掃除できるに越したことはない。
つ、ま、り、は、だ。
ショットガンやら一発特化のランチャーやら華々しい武器種が多いこのゲームにおいて、それらを選ぶことは長期的に見るとディスアドバンテージでしかない。最適解は弾消費の少ない銃タイプでちまちま足を狙って節約する……………というのが、大人しめの攻略法その一。でもそんなやり方じゃつまらない、鯖癌スタイルやってみようか。鯖癌スタイル、そうそれは素材そのままの味を活かすこと!!
「玲さん、頭から刃物が生えてるスクラッドが現れたら教えて欲しい!」
「あ、そこに……」
「サンキュ!!」
これまで出現したスクラッドは全部で四種類、共通して不恰好の人型ではあるがそれぞれに特徴がある。パーツを使うことで三点バーストに強化可能な小鬼みたいなスクラッド、ショットガンに強化可能なトーテムポールのように頭が積み上がったスクラッド、体力が多く強化パーツを落とさない代わりに強化した銃器の出力を上げるデブスクラッド、そして最後に……銃剣パーツを落とすブレードヘッドのスクラッド。そしてぇ……もう試したから知ってるんだぜぇ……?
「お前のパーツだけは射出せずに振り回してもダメージ判定が出るってなぁ……!!」
右手に銃剣! 左手にスカベンジャーグローブで引き寄せ、そのままの状態で保持したブレードヘッドのパーツ! くくく、弾丸を節約する最も簡単な方法なんて一つしかないだろう。
「弾を使わずに倒せばいいっ!!」
荷台に取り付いた小鬼スクラッドを踏み潰し、飛びかかってきたトーテムポール野郎の眉間に左手で保持したブレードを突き刺してから右の銃剣で団子ヘッドを首から切り離す。
近づいてきたデブを蹴り飛ばし、左のブレードを射出。眉間に突き刺さったことで大きく仰け反って隙を晒したデブスクラッドの足を三点バーストで破壊、高速で転がりさっていったデブをよそに三度見つけたブレードヘッドを撃破して剣を補充! ただ………
「ぐ………きっつ……」
やっぱりVRと同じようにはいかないか、段々と息が上がってきた。なんでリアルのスタミナは秒で回復しないんだ、バグってんじゃないのか。というか物量が某バスター程じゃないけど中々クソだぞ……いつまで戦うんだ、そろそろボス来てもいいんじゃないか?そんなことを考えていたら、ゴーグルに内蔵されたスピーカーから運転手なんだろうNPCの声が響く。
「え、なんて?」
「曲がる、って……!?」
「ちょおっ!?」
ガタン! と荷台……もとい、荷台に見えるようホログラムを展開したAR用オブジェクトが激しく揺れる。実際はそこまで激しいものではなかったのかもしれないが、虚を突かれた俺の身体は溜まり始めた疲労もあってかあっさりと体勢を崩して…………
「楽郎君っ!!」
「ちょ、お、ぬっ、はっ!!」
あ、やばい、いや、負けん、落ち、耐え…………耐えぇる!!
「あ、」
ダメだこれ落ちて………
「っ!!!」
「ナ、ナイスキャッチ………っとぉ!!」
「ほぁえっ?」
転げ落ちる直前、伸ばされた玲さんの手が俺の手首を掴んで引っ張り上げる。お陰で背中から床に落ちることこそなかったが、こちらへと振り向いたせいでガラ空きになった斎賀さんの背中にスクラッドの一匹が飛び掛かる。
咄嗟に玲さんを引き寄せるようにして俺が前へと踏み出し、突き出した銃剣でスクラッドを串刺しにして発砲。木っ端微塵に砕けたスクラッドからパーツを奪ってスラッグ弾に変換、デブの腹に大穴を開ける。
「ありがとう玲さん! 助かった!」
「はひぃ」
「ちょ、玲さん!?」
いきなり膝から崩れ落ちた玲さんに視線を奪われ、デブの突っ張りが直撃した俺の視界が赤く染まる。うおお瀕死! 確定二発……いや、肩に食らってこれなら乱数一発じゃねーのこれ!?
「玲さん、どうした!? 体調不良なら泊めてもらう?」
「いえっ! いえいえいえ! 絶好調です問題無しです!!」
何故か冷却ファンを全力で回す全時代のPCが頭を過ぎったが、その言葉に嘘はなかったらしい。俺が近接格闘でスクラッドを倒していたのを見ていたのか、俺よりもずっと洗練された動きでスクラッドを殲滅し始めたのを眺めつつも、これは負けていられないと俺も動き出す。
かくして、瀕死のところに物量で押し込まれて俺が一乙したものの、ほぼ万全と言っていい状態でボス戦へと突入した。
スピーカーからNPCの悲鳴が喧しいが、要約すると空母に着艦していた戦闘機を複数取り込んだ超巨大スクラッドが立ち塞がっているので何とかしないと死にます、ということらしい。
「これは上手い事ARゴーグルを活用してんな……」
ボスエネミー「ガージェット・ファイア」は十メートルやそこらで済むようなサイズではない、複数の戦闘機を喰ったと言われるだけあってそのサイズは驚く程に巨大だ。
マジでARで再現しようとすれば、どう考えてもメガフロート・サイトの天井よりも高くなるようなエネミーだ。試しにゴーグルをズラして見たが、どうやらプレイヤー以外には足から膝までホログラムで形成されたものしか見えないらしい。
「玲さん、ここまで来たらクリアしようぜ」
「はいっ!」
さーて、何を仕込んだか見せてもらおうじゃねーかヤシロバード!!!
不用意に玲ちゃんの肩を掴んで抱き寄せる「ような」動きをして前に出た楽郎と
その「ような」動きを真に受けて勝手にガチ動揺して違うと気付いてガチ落胆してそれを気取られまいとガチ空元気した玲ちゃん
うーんこの