ツバメの羽から見える懐かしき原風景
MHWたのしい(更新が遅い理由を説明するあまりに簡潔な文章)
チャアクにね、人生をね、吸われてるんですよ…………
スクラップ・ガンマン!
それはスワローズネストが開発した新感覚ハック&ショットアクションである!!
ガラクタから無尽蔵に現れるアンデッドなスクラップ、略してスクラッドのクソ脳天にクソ弾丸を叩き込むシンプルなゲーム!!
専用のARコントローラー、ゴーグル、グローブ、プレート、ベルト、ブーツを装着してARで形成される敵をぶっ飛ばすのは他大体のARゲームと変わりはない! だが、スクラップ・ガンマンには他のゲームには無いシステムがある!!
それこそがグローブ……もとい、ゲーム内設定的には「スカベンジャーグローブ」を利用して敵の残骸を剥ぎ取り、様々な用途に利用する「リビルドシステム」!! 要するに………
「倒して、剥ぎ取って、強化しろ、と」
「そうなりますね! そして………なんだか、デモンストレーションみたいになっちゃいましたね」
まぁ、結構説明を聞いたりしている内に時間が経ってしまったからなぁ……
「うぅう……」
「ま、まぁまぁ……」
いつの間にかスワローズネストのブースにも大量の入場者達が詰めかけており……当然、彼らの視線は今まさにプレイを開始しようとしている俺達へと向けられている訳だ。
俺はカボチャのヘルメット越しとはいえ全世界にプレイシーンを生中継された過去があるので吹っ切れているが……
「大丈夫?」
「だ、だいじょぶ、です……頑張り、ましょう」
玲さんがヤバい、ガチガチに身体が固まっている。うーん、先にこっちに行った方が玲さんも気負わずに遊べたかもなぁ……1ピザ留学ポイント、反省せねば。
「そんな緊張しなくても……ま、別にハイスコアを競う事は義務じゃない。気楽に楽しんでいこうよ」
「……………」
「え? 何か変なこと言った?」
何故かぽかんとした顔で見られているが……しばらくして、玲さんの身体から不必要な硬直が抜け落ちた。ゴーグルをつけているので目の方はよく見えないが、僅かに吊り上がった口の端から笑っている事はわかった。
「あ、いえ! そうではなく………そうですね、一緒に楽しみましょう…っ!」
「うん、その意気だ」
そうは言ってもゲームはゲーム、最低でもステージクリアまでは行ってやる。
「それではスクラップ・ガンマン先行デモプレイ! 一面【空母撤退戦】を始めます!!」
スタッフの女性がそう声を張り上げた瞬間、俺と玲さんのいるARスペースの各所機材が一斉に起動する。
「おお……」
オブジェクトブロックが装甲車の荷台に、周囲は金属瓦礫と炎吹き荒れる空母の戦場に、床は高速で走行する装甲車の轍が刻まれる空母の甲板に。
ゴーグル越しに見える景色は、メガフロート・サイトという現実の背景を黒煙に染まる海上へと塗り替わって。
「これは中々……お、早速!」
スクラッド、見た目は子供がガラクタで雑に作った人形みたいなエネミーだ。だが要所要所がやたら凶悪なデザインをしており、これがARじゃなかったら半径5メートル圏内に入られた時点で逃げ出したくなる。
だが、これはゲームな訳で。
「マジかよリコイルあんの!?」
クソ、ヘッショ外した! さらに追加で一発、二発……非ヘッドショットだと確定三発!? 待てこれ硬すぎじゃ……あ、そういうことか。
「残骸漁れってことか!!」
銃型コントローラーを持たない左掌を撃破したスクラッドへと翳し、空気を握りしめて引っ張るようなアクションを取る。するとスクラッドの残骸から何らかのパーツが毟り取られるように手元へと吸い寄せられ、ご丁寧に銃の強化に使えとナビゲートの矢印が表示される。
「とりあえず銃身強化!」
『Three Burst!!』
「うおお誰ェ!?」
ビビったぁ……が、言いたい事は理解できた、三点バーストとはジャストタイミング。
タタタン! と小気味のいい音を立てて放たれた弾丸が近くまで来ていたスクラッドをワントリガーで撃破、続けて横から影を薄くして接近していたスクラッドに……
「くっ、これヘッショ狙った方が弾の節約になるんじゃ……」
まさかの罠であったか……いや、だが序盤のラッシュなら当たりさえすればいい三点バーストの方が時間的には効率化できるはず!
「玲さんどんな感じ!!」
「ちょっと、数が……」
「あいよ助太刀!」
タッグプレイなんだから助け合いは必須ってな! 振り向いて玲さんが対処しきれなかったスクラッドを撃破しつつ、背中合わせに俺が対処していた方にも視線を巡らせる。
「出たよお約束のデブエネミー!」
「う、固い……!」
パスパス撃ってるだけじゃ倒せる気がしねぇ、そして奴にばかり気を取られていては他の雑魚に近づかれる。思ったよりシビアだぞこれ、こういう時は……
「マグネリパルサー、だっけ?」
スクラッドから剥ぎ取ったパーツを弾丸のようにぶっ放すアクション、ダメージはないが雑魚エネミーなら確定で怯む。そしてそれとは別に奪ったパーツを銃の強化ではなく弾丸として一撃で放つ……
「スラッグヴァレット!」
ひゅーっ! 一撃でデブに風穴が出来た! 成る程、デブはこれで対処しつつ……ってところか。
見えてきたぞ攻略チャート、さてはこれ特化した方がいいな?
「玲さんデブ専と雑魚専どっちがいい!?」
「デっ………あ、はい! 雑魚を、掃討します!」
リアルで掃討なんて言葉を聞くとは思わなかった、だが頼もしいのは確かだ。
『Shot Gun!!』
「やっぱこれだね!」
いきなりコントローラーが変形してロングバレルになったのは若干ビビったが、古来ディスプレイでゲームをやっていたというレトロエイジからショットガンを手に入れたプレイヤーは最強であると相場が決まっているのだ。
ショットガンは基本的に散弾で、通常形態時よりも速くスラッグ弾を装填できる………気がする。というかそれくらいの強みがなきゃダメでしょショットガンだぞ。
「……………」
「ど、どうかしまし……たかっ?」
「いや、ちょっと既視感を……危ねっ」
飛びかかってきた雑魚スクラッドを至近距離散弾でぶっ飛ばし、飛び散る残骸に掌を突きつけてパーツを毟り取る。装填、構え、ファイア。首から上が吹っ飛んだデブスクラッドを尻目に、もう一度この手に淡く焼きつく既視感に思考を巡らせる。
なんだ、ARなんてロクにやったことないはずだが……なんでこんなしっくりくるんだ? 心当たりがあるとすればVRゲームのいずれかに似た感触のゲームがあったんだろうが………スワローズネストはAR一本の企業だ、VRなんて心当たりはないはずなんだが。
「ショットガン……衛生兵? コスバス? シャンフロ……違う」
この、絶妙に使いづれぇリココン……狙ってるのに若干癖がある弾道…………いや、まさか…………
「楽郎、君……ボス、です! 楽郎君?」
バード、鳥、スワロー、燕、後継ぎ、社長……………
え、マジ?
スクラップ・ガンマンに登場する全銃器のモーションは津羽目社長自らが自身の「経験」を基に設定されており、妙に親身なユートピア社のお偉いさんの協力によって某歴史に負の名前を刻んだとあるゲームの銃器の感触に限りなく近いものになっている。
これは寝ても覚めても某サーバーで銃器を収集し、消費し続けてきたプレイヤーであるからこそできる芸当である。
ちなみにマスケット銃はコントローラの伸縮限界の問題から泣く泣くカットされた模様。付属パーツということで特典版作らない? と異様に食い下がる社長に社員は首をかしげるばかり。