脚本・森下佳子の大河べらぼうこぼれ話【5】 - 大河ドラマ「べらぼう」見どころ - 大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」 - NHK

大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」

横浜流星主演!痛快エンターテインメント #大河べらぼう

共有

脚本・森下佳子の大河べらぼうこぼれ話【5】

NHK公式【べらぼう】脚本を務めた森下佳子さんが、最終回を前に各話のこぼれ話を振り返ります。#大河べらぼう


べらぼう第48回「蔦重栄華乃夢噺」放送は12/14(日)。15分拡大版です。


 

皆様。お忙しい日々の中、『べらぼう』をご覧いただき、まこと、ありがた山にございます。もう少しで蔦重ともお別れ、ということで、思い出として、各話のこぼれ話など書き記すことになりました。本編を思い出すお供に、オンデマンド配信や年末に放映される予定の総集編のお供に、チョロリとお楽しみいただければと存じます。ただし内容はネタバレもございますので、踏みたくないお方はお避けくださいませ。かつ、これはあくまでも一台本書きのつぶやき、おばちゃんの戯言です。そこは割り切ってお読みいただけると助かります。森下佳子

 

第17回 乱れ咲き往来の桜

新章の幕開け。心の師を失い、蔦重の独り立ちが始まる回です。蔦重の妹分、誰袖も桜と共に登場です。蔦重の事業がどんどん花開いていき仲間が増えていく華やかな時期、誰袖がらみの出来事も桜の季節が多く、この潮目を変える佐野も佐野の桜で有名な人。なので、桜を要所要所で入れ込んでいきたい「コレは桜の章なんです!」とお願いを出しました。でも、ま、結局、桜って散っちゃう、散るからこそに美しいとまで言われちゃう儚い花なんですけどね……。さて、この回で扱った「往来物」。手習などで使われる本ですが、蔦屋の名の入った往来物が地方でも所蔵されていた例があるということで、流通事情をからめて、このような話に仕立てました。ちなみに、ちょうどこの回を書いている時に、「唐丸の矢立、大事にとってあるって裏設定にしてありますよ」と監督さんから。……めちゃくちゃありがたいけど、それもっと早く教えてほしかったわ!知ってたら、ここまでもちょいちょい見て思い出すとかも出来たのに!!って、ホンヤなら、そもそもそんな目配り自分でしとけよって話なんですけどね……。そうそう、この回も「桜、先に撮りたいからここだけ先に書いてくれ」と言われました……。

📺NHKオンデマンドで(17)配信中!※別タブで開きます

 

第18回 歌麿よ、見徳(みるがとく)は一炊夢(いっすいのゆめ)

歌麿爆誕!の回です。のちには当代一、世界にまで名の知れた絵師となる歌麿ですが、蔦重と組む前のこの頃は画風が安定しない個性に欠ける絵師だったそうです。のっけに組んでいた中で親しくしていたのはどうも不良御家人のきらいのある志水燕十など、とのことで、このような仕立ての話としました。「歌麿の境遇はなんでこんななんですか?」というご質問も時々受けるので、この場をお借りしお答えしたいと思います。すべては「写楽は阿波のお抱え能役者・斎藤十郎兵衛という人ということで学会的には決着がついているけれど、実は歌麿という人はその素性も年齢も明らかでない」という先生のお言葉が始まり。かつ「他の絵師にはない女性への理解を私は感じる」とも。その上で私なりに歌麿の残っている絵を並べて推測し作り出したのが『べらぼう』の喜多川歌麿像です。この回の義兄弟、人別を用意するというエピは、駿河屋の名乗っている姓が「喜多川」というところから発想しました。この回、結構な年月を経て歌麿は蔦重と再会するわけですが、「離れていた歌麿がどんな気持ちでどんな様子で蔦重の前に現れるのか」はかなり議論を重ねました。でも、重ねた挙句、「でもさー、こっちで書き込んじゃうとかえって余計ってことない?」「あーお任せしちゃった方がねー」って最後は全会一致で歌麿の中の方に丸投げした覚えが……。まぁ、結果を見ると、大正解だったと思うんですが。そうそう、この回、まぁさんのオロチ回でもありました。こちらの方は特に議論もなく、私的には「ホントにやるのかな。やっていいのかな」という感じでズルズル進んで行った代物。とりあえず書いてはみたものの、心配になり確認してみたら、「シリアスなテーマもちゃんと含んでの物なので大丈夫です!もう監督、表現を練り込みに入ってます!」とのことで、本編のような映像となりました。このシーン、VFXなので皆さん見えないオロチ相手に芝居してるんですよね。いやはや、役者さんってホントすごいですよね。

📺NHKオンデマンドで(18)配信中!※別タブで開きます

 

第19回 鱗(うろこ)の置き土産

鱗の旦那が店を畳む回であり、蔦重が春町先生を獲得する回です。実はこの回、諸事情あって納本してからもう一度直すということに。ちょうど、須原屋さんからのご提案などもあり、それも一気に反映しちまえってことで、改訂を開始。で、当初の目的とされた改訂については割合スムーズに進んだのですが、直しついでに個人的にやたら気になり始めた部分がありました。それは蔦重との関わりを〆る鱗の旦那のセリフ!元々の台本ではストレートな言葉で表現していたのですが、「ここ、ひょっとしたら地口にした方が良いのではなかろうか。鱗の旦那だし」って思い始めちゃったんですよね。でも、地口にしたくてもピタッとハマるものが果たしてあるかどうか。ギリギリまで探し回った挙句、やっと見つけたのが本編のあの地口です。これ思いついた江戸の人センスいいですよねぇ。そして、センスがいいといえば、春町先生獲得に関わる黄表紙『無題記』。未来の江戸の風俗をおもしろおかしく想像して描いたもので、この発想は当時相当斬新だったのではないかと感じました。これと前作『辞闘戦新根』の地口が化物になる趣向と合わせて、「誰もやってないことをやりたがる」という春町先生のキャラが固まりました。

📺NHKオンデマンドで(19)配信中!※別タブで開きます

 

第20回 寝惚(ぼ)けて候

南畝先生登場!蔦重が狂歌に出会う回。蔦重が風雲児となったのはこの後にくる狂歌ブームを起こすのに一役買ったから、と、言われています。とても大事な出会いです。にも関わらず、私、狂歌というものをよく分かっていなくて、この回は先生方に苦言を呈されることに……。先生方曰く「狂歌の会の面白さというのはあなたが書いてきたこういう野放図な感じではないんです。きちんとした和歌の会と同じように、形式を守り手順を踏み真面目に歌を評価をする。ただしその歌はとびきりふざけている。そこがおかしいんです!」とのこと。今で言えば、「絶対に笑ってはいけない××」みたいなこと?その笑いの質、難しいよ、難しいよぉおお!と泣きを入れながら、チャレンジしたのが「うなぎに寄せる恋」の一連です。智恵内子の「アナウンサーですか!?」と突っ込みたくなる美声にも助けられ、なかなか味わい深い仕上がりとなりましたので、ぜひ、本編でご確認を!ちなみに、ここの蔦重と次郎兵衛義兄さんは芝居というより、素で笑いを堪えている状況だったそう。その辺もお楽しみくださいな。そうそう「あなうなぎ」の歌は南畝先生の名作と言われる狂歌です。身を裂き焼かれるようなやたらめったら激しい恋、それを焼いた鰻を見て思い出す?それともはたまたそれは鰻自体の恋なのか。超絶技巧レベルのかけ言葉で詠みあげる。もう、くだらなくてサイコーです。天才!

📺NHKオンデマンドで(20)配信中!※別タブで開きます

 

☟脚本・森下佳子の大河べらぼうこぼれ話【4】(第13回~第16回)はこちら

☞【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」関連番組 見逃し配信はNHK ONEで】

大河ドラマ「べらぼう」見どころ

大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」
配信ページへ