いじめで不登校、誰が調査? 原則は学校、第三者機関置く自治体も
児童や生徒が深刻ないじめによって不登校になった場合に事実関係を調べる「重大事態調査」について、文部科学省のガイドラインは「状況を最も把握」する学校が調査するよう示している。一方、学校に不信感を抱く被害者家族には、公平性を懸念する声もある。
横浜市立小学校の特別支援学級に在籍している男子児童は、低学年だった2024年1月頃~6月、学級内でいじめの被害にあった。学校が市教育委員会に提出した報告書などによると、他の児童から複数回にわたりズボンを下ろされて陰部を触られ、家族が担任に被害を伝えた後も、上級生から刃物を首に向けられた。学校への家族の働きかけもあり、今年3月に「いじめ重大事態」に認定された。
家族によると、事件は教員や支援員が不在の時間に起きた。電話や連絡帳で当時の担任に不在の時間を少なくするよう配慮を求めたが改善されなかったという。
男子児童は事件後、「重度ストレス障害」と診断され、不登校になった。眠れない日々が続き、トラウマから子どもが集まる場所を怖がるようになった。家族は「支援級が、ケアが必要な子の安全な場ではなくなってしまった」と話す。
横浜市の「市いじめ防止基本方針」(5月改定)は、文科省のガイドラインに基づき、いじめ重大事態の「不登校事案」の調査は原則、校長や学年主任らによる「いじめ防止対策委員会」に、弁護士などの第三者が1人以上加わって行うとしている。
一方、「自殺事案」の場合は、市教委が第三者委員会を設けて調査する。対応が分かれるのは、教員やスクールカウンセラーらが調査に関わることで事案の過程を把握し、「学校への復帰や学びの継続支援」を迅速に行うためだという。
被害者家族「学校の責任検証されないのでは」
ただ、男子児童の家族は、「学校の対応の責任を明らかにしてほしい」との思いから、今年8月、第三者委による調査を求める要望書を市教委に提出した。いじめの事実が認められたとしても、「加害児童が悪かった、という結果のみで終わってしまい、学校の責任が十分に検証されないのではないか」と不安を感じている。
しかし、市教委は家族に「中立性、公平性の点で不安な点は、第三者委員との面談の際に相談してほしい」と文書で回答し、学校主体で調査する方針を変えていない。
市の担当者は、取材に「個別の事案に言及することは難しい」としつつ、被害者側が調査方法に不信感を抱いている場合、外部弁護士が事実確認などの中心的な役割を担うことや、第三者の専門家を複数加えるといった対応をとるという。
被害者が調査結果に満足できない場合は、市教委の第三者委で再調査するなどの「第2段階」も設けている。ただ、再調査を利用した事例はまだないという。