女子高生の浪人選択
こんにちは!東北大学サイエンスエンジェル(SA)のみぎさんです。
こちらの記事は、大学受験後に浪人を選択するか悩んでいる女子高生に対して向けた記事となっております。
筆者は高校3年生の頃、第一志望の大学が不合格になった経験があります。第一志望の大学受験で失敗したとき、真っ先に考えたのは浪人するか否かでした。浪人の選択には不安要素が多々あります。その中には女子ならではの不安もあります。しかし、それらの問題を考える時間は、合格発表から第二志望校入学金納入までのたった数週間でした。この数週間で人生の大きな決断を迫られるのです。
今回、実際に浪人経験のある女子大生へ、浪人選択時の心境と現在の心境についてアンケートを取りました。また、浪人を選択しなかった方の意見も載せています。浪人選択に悩んでいる皆様はご一読いただき、選択の材料としていただけると幸いです。
浪人選択・未選択の理由
今回東北大学の理系女子大学院生(他大学の学部卒業者を含む)にアンケートを取り、30名から回答がありました。
今回のアンケートでは全体の3分の1が浪人を経験していました。東北大学全体ではまた割合が変わってきますが、特に理系では女性でも浪人経験がある方が一定数います。私が入学前に想定していたよりも浪人経験のある女性は多い印象です。
浪人経験のある方が浪人を選択した理由を、また浪人経験のない方の中で、浪人を検討したが選択しなかった方の理由を一部紹介します。
浪人選択(10名)
・東北大学に入りたかった(8名)
・実家から通える距離で、やりたいことができる大学がここしか無かった
・もう一年基礎からやり直すことでもっと上の大学に行けると思った
・どの大学にも合格しなかったから
・自分の意志で進路選択をさせてもらえなかった
浪人未選択(4名)
・少しでも早く研究したかったため
・これ以上受験勉強を続けるのが辛いと感じたため
・金銭的な問題
・社会に出るのが1年遅れる
・浪人したからといって行きたいところに行けるわけではない
浪人を選択しなかった理由として、浪人を経験した10人のうち8人が「第一志望校に入りたかったから」を挙げていました。他大学に合格していたとしても第一志望校への強い思いから浪人を選択した方は、大学入学後もその強い思いを持ち続け、精力的に活動している印象です。
一方で、浪人を選択しなかった理由は心的なものから現実的なものまで多岐にわたっていました。心理的な面において、1年間受験勉強をし続ける精神力の維持や、合格が保障されない状況での決断は、相当の覚悟がなければできないものだと思います。その覚悟をしてでも浪人をする価値を自分の中で見出せるかが、心的な面における選択の基準なのではないでしょうか。
現実的な面については次の見出しでお話しします。なお、浪人を選択しなかった理由の一つである「大学編入・大学院入学」についてはこちらの記事(横浜さん)で詳しく紹介しています!
浪人選択の不安要素と現在の心境
浪人を選択した方も未選択の方と同様に不安要素を抱えていました。
浪人を経験した方が最も不安に感じていたのは世間体でした。現実として、大学入学者の内、多くは現役合格者です。また世間では「浪人を選択しないことが当たり前」と考える人は少なくありません。そうしたまわりの目を不安に感じるのは当然のことです。さらに、やはり浪人の割合は一般に男性より女性の方が少ないので、女性はより強く世間体を不安に感じるのではないかと思います。世間を変えることは無論できないですので、世間体が気になっていた8名は世間体が悪くなるのを覚悟して浪人を選択したのだと思います。このような強い意志や覚悟が浪人選択において必要であると言えるでしょう。
また金銭面を不安に感じる方も多く見られました。一概には言えませんが、浪人をすると1年間で100万円程度の大金が必要になります。しかし、お金が手元に無くても浪人の選択肢がないわけではありません。筆者の把握している限りにはなりますが、大学入学後については、浪人経験の有無にかかわらず奨学金の貸与は可能ですし、浪人中であっても国の教育ローンに申請すれば比較的低金利でお金を借用することができます。しかし、教育ローンは最終的に返済義務があります。また、保護者の名義なしに借用することはできません。つまり、金銭面の問題にはご家族とのコミュニケーションが不可欠となってきます。浪人選択は学生個人の人生だけでなくご家族の人生にも関わる問題であることを念頭に置き、自分とご家族のベクトルが一致していることを確認した上で浪人を選択することをお勧めします。
女性特有の問題である「婚期」について不安を感じていた方も一定数いました。私自身、浪人選択を検討しているときに「浪人すると婚期が遅れるから浪人しない方がいい」と言われたことがありました。この不安に対して、SAの先輩であるあずささんからコメントを頂きました。あずささんは浪人経験がありご結婚もなされていますので、婚期について不安に感じる方はぜひコメントを読んで参考にしていただきたいです!
浪人選択時に婚期のことは全く考えませんでした。女子の浪人も珍しくはありませんし希望大学に入りたい気持ちの方が強く、落ちたら2浪してやろうとまで考えていました。それ以上に、博士進学したことの方が婚期に影響するかと心配でしたが笑、幸い私は博士1年の終わりに結婚しました。実際浪人した友人・先輩(さらには博士の友人や先輩にも!)に現在結婚されている方が多いことも事実です。義両親もその周囲も浪人したことについて理解があり、希望大学に入るために努力したことを認めてくださいました。浪人に不安なことはたくさんあると思いますが、結婚はその人次第でもありますし、多少の浪人年数が将来の結婚や時期には影響しないと個人的には考えます。
長くなってしまうので他の項目については割愛します。もし気になっている不安要素があれば、こちらのフォームまで気軽に相談してください😀
不安要素についてお話ししてきましたが、では実際に大学入学後その不安は解消されたのでしょうか。特に最大の不安要素であった「世間体」とも関連が深い「対人関係」についての現在の心境を一部紹介いたします。
・(浪人したことについて)全く気になりません。むしろ年上であったりするため怖いもの無しになりました笑
・親に対してすまなかったという気持ちは残るが、その分いろいろ経験しようと思った。
・思ったより周りに浪人した人が多かったので、気が楽だった。
・東北大は浪人している人も多いので、あまり気になりませんでした。一年頑張って東北大に来ることができ、浪人してよかったと心から思っています【一部修正】
・周りにそれなりに浪人している人がいるから、あまり気にならなくなった。
・親に申し訳ない気持ちがある。対人関係について、浪人いじりはあるが私は気にならない
今回のアンケートでは、対人関係において浪人経験を引け目に感じている方は誰もいませんでした。
また、浪人経験者と関わったことのある現役合格者20名に浪人経験者と関わりにくいかについて伺った結果が以下の通りです。
ほとんどの現役合格者が関わりにくいと思わないと回答しました。また、関わりにくいと回答した方の理由は「敬語を使った方がいいのか悩みました」や「同じ年齢なのに、浪人して学年が下というだけで敬語を使われるのが嫌だった」という言葉遣いに関するもので、「浪人経験」そのものについての問題ではありませんでした。学内の話ですので、世間という視点ではまた異なる意見があるかもしれませんが、少なくとも、東北大学入学を検討している方はまわりの目をあまり気にしすぎなくてもいいと思います!
結局浪人を選択してよかったのか
不安要素がありながらも浪人を決断した方々は、結局その決断に後悔していないのかについて尋ねました。
多くの方が浪人選択を後悔していないと回答しました。また以下理由を一部紹介します。
後悔している
・大学を休学したかったが、浪人したことを考えると親に申し訳なくてできなかったため
後悔していない
・1年間勉強だけに力を注ぐと言うのはなかなかできる体験ではありません(中略)自分を見つめ直す1年でもありました。 あの1年があったから今の自分があると言ってもいいと思っています。
・浪人した分いろいろな経験をしようと積極的に行動できたと思うから
・1年遅れていたからタイミングが合って繋がりができた教員や友人もいるから
・妥協したらどこかモヤモヤした気持ちを抱えたまま過ごすことになったと思うから
・東北大という自分にとってレベルの高い環境にいることで、刺激になるし向上心をもって過ごせているから
・受験1年目で実力が足りなかったのは自分のせいなので、仕方なかったと思っている。また、浪人しないで私立の大学に進学するよりは出費が抑えられたと思う。この大学に入ったからこそできた様々な経験があると思うので、今は後悔していない。
・浪人期間で自分が本当に進みたい分野を見極めることができたし、必要な時間だったと感じるから
どちらともいえない
浪人しながらアルバイトをしていて体を壊してしまい、認知機能なども大幅に落ちてしまったので、そういう苦しみを抱かずに済んだのだろうか、という気持ちはあります。 浪人して行った学科で良い学びが得られたため、その選択自体は後悔していません。しかし大学在学中に配属の関係で1年休学したところ、就職先に考えていたところが年齢制限で受けられなくなったので「あの時浪人してなければ」と考えたことはありました。
浪人選択を後悔していない方の傾向として、浪人後の大学生活が有意義であるということが読み取れます。浪人を選択した場合は、その後の大学生活を1日1日大切に過ごすことを心がけると浪人の経験がより輝くのかなと思います。また、「浪人選択を後悔している方」と「どちらともいえない方」に共通している休学ですが、高校生の時はあまり意識しない問題だと思います。大学生の中には、在学期間の中で一時的に休学する方が一定数います。休学の理由は、留学、心身の問題、金銭的問題、さらには自分の進路や人生を見つめ直すため、など様々ですが、浪人を経験した上でさらに休学するとその分就職時期がより遅れてしまう可能性があります。休学の有無は高校生の時点では不明だと思いますが、休学の可能性があることを把握しておく必要はあると思います。
最後に
いかがでしたでしょうか。浪人選択は前向きな気持ちと後向きな気持ちのせめぎ合いです。ただ、「お金がないから」「家族に反対されたから」「女性だから」といった理由で自らの大切な人生の選択をしないで頂きたく、今回この記事を執筆致しました。自分の人生は自分のものです。自分以外のせいにしても何も得るものはありません。将来の自分が後悔しない、胸を張れる選択をしてほしいと強く願っています。
一方で、この記事は浪人を推奨するものではありません。前述したように浪人選択には不安要素が多々あり、人によってその不安要素の大きさも異なります。懸念事項を列挙し、自分の状況を踏まえ、将来を鑑みて、自分だけの最善の選択をしていただきたいです。この記事が皆様の進路選択の一端となれば幸いです。
記事についてのご質問、ご意見等がございましたらこちらのフォームまでお願い致します。
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編集後記
一般入試が終わりましたね!無事に終えてほっとした気持ち、手ごたえがなく不安な気持ち、合格発表が待ち遠しい気持ちなど、いろいろな感情が入り乱れていることと思います。しかし、まずは今日まで頑張った自分を労ってくださいね💓読者の皆さんに幸あれ!(みぎさん)
東北大学サイエンス・エンジェル
次世代の研究者を目指す中高校生に「こんな女性研究者もいるんだ!」「科学って楽しい!」という思いを伝えるため、2006年に結成。年度毎に学内で公募され、総長に任命された 東北大学の自然科学系10部局に所属する女子大学院生が、中学・高校での出張セミナーや科学イベントで科学の魅力と研究のおもしろさを伝えている。2021年度より、自然科学に加え人文・社会科学も含めた科学分野としての活動がスタート!メンバーは宇宙・自然・ロボット・環境・ヒトや動物の身体のしくみなど、それぞれの専門分野で日々研究中。



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