〈東京共助〉
12月中旬の夜。冷たい風が吹き込む中、東京・池袋の公園で開かれた食品配布会に、ヘルメットをかぶった高齢の男性がいた。話しかけると、「自転車でやってきた」と言った。
中村幹男さん(81)。この日は午前7時に板橋区の自宅を出て、豊島、新宿両区の食品配布会3カ所を巡ってきたという。
自転車に電動アシストはなく、頼りになるのは自分の足の力だけ。疲れたら歩いたり、休んだりして少しずつ進む。帰宅は午後8時ごろになるそうだ。
◆年金支給日の直前は所持金が200円だった
食品の配布会は、知人から1年ほど前に教えてもらった。今では週5日、都内各地の配布会や「炊き出し」を自転車で巡る。
私が「すごい体力ですね」と驚くと、こう言葉が返ってきた。
「当たり前のことだよ。行かないともらえないんだから」
収入は月10万円の年金のみ。この日は支給日直前で、所持金は200円しかない。
◆区支給の入浴券で週1回ほど銭湯へ 夏はほとんど行かず…
4日後、自宅を訪ねた。閑静な住宅街にある木造2階建てアパートで、古びていたが部屋は整頓されていた。つつましくも丁寧な暮らしぶりが見て取れた。中村さんが淡々と話す。
「ぼろアパートだからね。でも家賃は上がってないからさ」
風呂はなく、板橋区が70歳以上の高齢者に年間25枚支給する入浴券で、週1回ほど銭湯へ行く。100円の支払いで、1回入浴できる。夏はほとんど行かず、タオルで体を拭く。
エアコンはあるが夏の猛暑も冬の寒さも、使ったことがない。隙間風はカーテンでふさぎ、寒いときは毛布を3枚重ねて眠る。
貯金はほとんどない。5万円の家賃や光熱水費などを支払うと、2万円ほどしか残らない。生活保護の利用を促すと、...
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Саша 12月21日0時25分
令和7年10月時点の厚労省の資料によると東京都の75歳以上の独居老人の場合、最低生活費は生活扶助基準額71900円と住宅扶助基準額53700円の合計125600円となっている。住宅扶助は実際の家賃の金額しか支給されないが、記事の81歳の男性は年金が最低生活費以下なので申請すれば最低生活費と年金の差額を受給する資格があると思われる。
「ギリギリでも、今のところは暮らせるからさ」と生活保護を利用することを考えていないそうだが、桐生市のような違法な手段で生活保護の申請をためらわせるようなことをする自治体の存在と、国民年金の満額に満たないわずかな額の年金で満足な食事もできずに耐えている高齢者の映像を流すだけで年金と最低生活費の差額を生活保護受給できると紹介しないワイドショーの責任は重いと感じる。
最も責任があるのは、最高裁で安倍政権下の生活保護基準引き下げが違法と判断されたのに速やかに全対象者に補償をしないくせに、継戦能力がないのに軍事費ばかり増やしている政府だが。
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