- OpenAIのスタッフが、ChatGPTをより効果的に使うための6つのヒントをシェアした。
- 筆者はそれぞれのヒントを実際に試し、使い勝手が本当に向上するのかを検証した。
- これらのヒントによって、私はChatGPTをより計画的に目的意識をもって使えるようになった。
筆者が、ChatGPTをより効果的に活用するためのヒントを試してみたところ、チャットボットがより賢くなったように感じられた。
それらのヒントは、OpenAIのポストトレーニング部門のリサーチリードであるクリスティーナ・キム(Christina Kim)と、モデル挙動を担当するプロダクトマネージャーのローレンティア・ロマニュク(Laurentia Romaniuk)が、2025年12月3日公開の「The OpenAI Podcast」でシェアしていたものだ。
1. 難しい質問を投げかける
キムによると、ChatGPTには「難しい質問」を投げかけるべきだという。そうすることでChatGPTが「どれだけ考えるか」を自ら判断できるようになるからだ。プロンプトが難しくなるほど、思考もより深まる。
過去のチャット履歴をスクロールして見返してみると、私はこれまでその逆の使い方をしていたことに気が付いた。もっとも、それには正当な理由がある。私の仕事は、複雑な概念を一般向けにかみ砕いて伝えることであり、そのため、ChatGPTは主に、表現のわかりやすさの確認や、背景の調査に使ってきたからだ。
12月初旬、私は「身体性知能(embodied intelligence)」についての記事を読んでおり、ChatGPTに「身体性知能とは何か?」という簡単な質問を投げかけた。すると、「ロボットなどの物理的なエージェントに組み込まれたAIシステムのこと」という簡潔で明快な答えが返ってきた。
この概念の仕組みを理解したくなり、私はより難しい質問を投げかけた。
「ロボットはどのようにして視覚、音声、触覚、フィードバックをリアルタイムで統合するのか」
すると、モデルはギアを切り替えたかのように、マルチモーダルセンサーフュージョン、特殊なエンコーダー、クロスモーダルアライメントといった、これまで見たこともない用語を用い、まるでロボティクスの研究室で聞くような説明をした。
この回答は博士課程レベルかどうか尋ねると、ChatGPTは「はい。おおむね修士から博士前期レベルです」と答えた。
2. 「誰のように振舞うか」を指示する
ロマニュクは、自身の兄のエピソードについて語った。彼は生化学の博士号を取得しており、ChatGPT Proの応答が学部生レベルだと不満を漏らしていた。そこでロマニュクは、まず専門分野を明示するよう兄にアドバイスした。さらに、兄がモデルを「最先端研究者」として振舞うよう指示すると、状況は一変した。モデルは、ちょうど2週間前に彼の研究室で達成されたブレークスルーに匹敵する高度な洞察を提示したという。
私はこれまでモデルに人格を割り当てたことがなかったので、まずは軽い質問で試してみることにした。それは、コーヒーの好みについてだ。私はラテよりカプチーノを好み、その理由として、味にパンチが効いていて、ミルク感が控えめなことを挙げている。
この好みについて、ワインを研究するソムリエのように、コーヒーを研究するバリスタになって説明するようChatGPTに指示した。
すると、ChatGPTはまるで専門家が特別講義をするように、カプチーノとラテの違いを、テクスチャー、味のバランス、口当たりに分けて解説した。カプチーノは上部が軽く、下部が濃厚で、泡がエスプレッソの風味を際立たせ、味を引き締める。一方ラテはより滑らかで均一な味わいであり、ミルクがエスプレッソに溶け込みやわらかな風味となっている。
これにより、私は単に「おいしい」という以上の根拠をもって、自分のコーヒーの好みを説明できるようになった。
3. チャットボットの記憶機能をチェック
ロマニュクによると、記憶機能がChatGPTの強みのひとつだという。これにより、モデルはユーザーが本当に求めているものを推測したり、関心を持ちそうな情報を先回りして提示したりすることができる。
こうしたコントロール能力を維持する方法は、モデルの記憶内容をチェックすることだという。残したくない情報は削除するか、設定で記憶機能のオン・オフを使い分け、自分が選んだ情報だけを提示させるようにすればよい。
私は以前からこの作業を行っている。自分が共有する情報の多くは後々役に立つため、記憶機能はオフにしていない。ただし、意味のないチャットや消しても差し支えないチャットは削除し、モデルを混乱させたり、私について学んだ内容が曖昧になってしまわないようにしている。
その成果は出ている。ChatGPTは今や、私がAIスタートアップの創業者に取材する記者であり、仕事後にはフィットネス競技のためにトレーニングしていることを理解している。つまり、私がモデルの挙動について質問するのと同じくらい、Hyroxのトレーニング計画について尋ねる可能性もあることを踏まえて回答してくれる。
4. ChatGPTにプロンプト改善の助けを求める
キムによれば、より良いプロンプトを考えるために、ChatGPTに助けを求めることもできるという。
私は取材のために、半導体製造を支える高エネルギー光源を生み出すフリー電子レーザーについて理解する必要があった。何を尋ねるべきか知っているふりをする代わりに、ChatGPTに「自分はどんな質問をすべきか」と尋ねてみた。
すると、ChatGPTは「効果的な質問」のセットを提示した。それらは基礎的なものから研究レベルまで分類されており、この技術をどのように考えるべきかを正確に示してくれた。技術的な背景があまりない私にとって、これは非常に役立った。ChatGPTは、賢い質問の仕方を教えてくれたのだ。
5. パーソナリティモードの切り替え
ロマニュクは、ChatGPTのパーソナリティモードを「常に」切り替えて、それぞれどう反応するのか確かめている。これは、彼女の仕事の一環であり、モデルの振る舞いを形作るために行っている。
ロマニュクのお気に入りは「オタク(nerd)」モードで、「極めて探索的な応答スタイル」で振る舞うという。
私はユーモアのある皮肉屋が好きなので、ChatGPTを「シニカルモード」にして、「身体性知能」について説明するよう指示した。すると、その回答は仕事には役立たなかったものの、私を笑わせてくれた。
「身体性知能とは、あたかも誰もがロボティクス博士号を持っているかのように、専門知識のない人でも気軽に口にするテクノロジー用語のひとつだ」
「AI界隈の人々はこれに夢中になっている」
6. タスクを定期的に繰り返し、「プレッシャーテスト」をする
ロマニュクは、モデルの「プレッシャーテスト」をすることが好きだという。これは、時間の経過とともにモデルがどのように変化しているかを確認するため、限界まで試すテストのことをいう。
今はうまくいかないことでも、3カ月後にはうまくいくかもしれない。「とにかく続けること、試行を重ねること、挑戦し続けることが大切だ」とロマニュクは述べた。
私は韓国語学習を通じて、モデルを「プレッシャーテスト」してきた。定期的に、モデルの言語解析能力を引き出すようなプロンプトを投げかけているのだ。そうして数カ月にわたり、ChatGPTに文法を教えてもらったり、ワークシートから語彙を抽出したり、見慣れない文の構造を説明してもらったりしてきた。
初期のバージョンでは、誤った単語を取り出したり、書き言葉の形式を混同したりすることが多かったが、今では、テキストを正確に解析し、丁寧語と敬語を区別し、文法を初心者にも分かりやすいステップで説明できるようになった。
これらのヒントを実践したことで、私はChatGPTをより計画的に目的意識をもって使えるようになったと思う。ヒントによって効果の大きさはさまざまだったが、これらは確実にモデルが持つ能力をさらに引き出すきっかけとなった。