跨線橋点検入札で談合 JR東海など6社に独禁法違反の排除措置命令

公正取引委員会のロゴマーク=山田豊撮影 拡大
公正取引委員会のロゴマーク=山田豊撮影

 跨線橋(こせんきょう)の点検業務を巡る入札で談合したとして、公正取引委員会は19日、JR東海(名古屋市)など6社の独占禁止法違反(不当な取引制限)を認定し、再発防止を求める排除措置命令を出した。JR東海を除く5社には計1億225万円の課徴金納付も命じた。

 鉄道の線路に架かる跨線橋の点検業務は地方公共団体などが発注。JR東海は業務自体を受注していないものの、談合の「交通整理役」を担ったとされ、公取委は「受注希望を取りまとめるなど、談合の成立に不可欠な役割を果たしていた」と指摘した。JRグループの主要旅客会社に対する独禁法の命令は初めて。

 公取委によると、JR東海など6社は遅くとも2021年2月19日から24年10月21日までの間、44の地方公共団体などが発注した点検業務について、指名競争入札のスケジュールなどを事前に把握し、各社の部長級や課長級の幹部らの間で情報を交換。受注する社や応札価格を調整した。

 JR東海は施設部管理課が中心となって点検予定の跨線橋名や路線名を列挙した「リスト」を5社に配布し、跨線橋の欄に自社のイニシャルを記入してもらう方法などで各社の受注希望を把握。競合時には当事者間で調整を行わせ、各社の希望を反映したリストを作成していた。また、東海、北陸地方などのJR東海管轄路線を抱える地方公共団体などに対し、5社が線路内の仕事を熟知しているなどと伝え、この中から発注先を選ぶよう求めた。

 談合が始まった時期は不明だが、JR東海では、国土交通省から点検が円滑に進むように協力を要請された14年ごろから、入札不調などで点検の進捗(しんちょく)に遅れが生じれば「リニア中央新幹線工事にも悪影響する」といった懸念が浮上。子会社だけに任せるには点検場所が多過ぎるため他社にも協力を求め、談合へとエスカレートしたとみられる。

 命令を受けてJR東海は本社で記者会見し、「点検は夜間の限られた時間に当社の線路上で行われるもので、安全の確保や他の保守業務とのスケジュール調整などを行う必要があった」などと説明。そのうえで独禁法違反を「重く受け止め、深くおわびする」とし、同法順守のため法務部内にコンプライアンス室を新設すると明らかにした。

 一方、課徴金納付命令を受けた5社は、JR東海が100%出資するジェイアール東海コンサルタンツ(名古屋市)▽大日コンサルタント(岐阜市)▽トーニチコンサルタント(東京都)▽日本交通技術(同)▽丸栄調査設計(三重県)。

 談合の認定期間に5社で計111件、総額13億4078万円の点検業務を請け負い、ジェイアール東海コンサルタンツが39件と最も多かった。1件当たりの受注額は最高が約4400万円、最低が約330万円で、落札率は95%を超えていたとされ、24年10月の公取委の立ち入り検査後は落札率が下がったり、5社以外の事業者が新規参入したりするようになったという。

 跨線橋の点検は歩行者らの安全に向け、高所作業車や橋りょう点検車などを活用し目視や触診といった方法で劣化状況などを把握するのが目的。自動車用の跨線橋については、12年に中央自動車道の笹子トンネル(山梨県)で天井板が崩落し9人が死亡した事故がきっかけとなり、5年に1回の点検が義務化された。

 公取委の小室尚彦・審査管理官は「跨線橋点検業務の入札談合事件は全国初。公共インフラ整備事業として税金が投入されており、競争を避けて高値で受注することは納税者の利益を損なう」と指摘。国交省関係者は「点検業務を確実に行うためだとしても談合をする理由にはならない」と話した。【山田豊】

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