3年間で1.8億円! 贈収賄事件で揺れる医療機器業界が医師に資金提供するワケ

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警視庁本部を出る松原全宏容疑者=東京都千代田区で2025年11月19日、新宮巳美撮影
警視庁本部を出る松原全宏容疑者=東京都千代田区で2025年11月19日、新宮巳美撮影

 東京大学医学部付属病院の整形外科准教授が、医療機器の選定権限を背景に日本エム・ディ・エム(JMDM)社の元営業所長から約70万円を受領したとして、警視庁に収賄容疑で逮捕された。

 近年、医療機器メーカーと医師の贈収賄事件は増加傾向にあり、今回の事件もその一連の流れの中で明るみに出たものである。今年7月には、長野県の佐久市立国保浅間総合病院の整形外科医2人が、JMDM社製品を優先使用する見返りに営業担当者らから約58万円を受領したとして起訴された。この事件の捜査過程で、東大病院における不正疑惑が新たに浮上し、今回の逮捕につながった。

医療機器選定に構造的問題

 この二つの事件に加え、2023年6月には奈良県の大和高田市立病院に勤務する眼科医が、白内障手術でスター・ジャパン製レンズを優先的に選定する見返りとして約80万円を受領した疑いで書類送検された。

 さらに同年9月には、国立がん研究センター東病院の内科医が収賄容疑で逮捕された。胆道ステントを販売するゼオンメディカルから、採用・使用の見返りとして講演料名目で継続的に金銭提供を受けていたとされる。こうした一連の事件は、医療機器選定における構造的問題の存在を示している。

主要医学会の理事8割以上に製薬から7億円超

 医療ガバナンス研究所は、「製薬マネーデータベース『YEN FOR DOCS』」を運営し、製薬企業が公開する医師や大学への支払い情報を体系的に集計している。これにより、医師や大学ごとの検索が可能となり、メディアや研究者、さらには警察を含む第三者による検証体制が強化された。

 データベースの整備と並行して、医療ガバナンス研究所の理事である尾崎章彦医師を中心に、この領域の学術研究を推し進めてきた。製薬企業から医師に渡る金については多くの論文を発表している。19年2月には、主要医学会の理事が製薬企業から講演料などの名目で、個人的にどの程度の金を受け取っているか調査した結果を「米国医師会誌(JAMA)内科版」に報告した(※)。

 この研究で、理事を対象としたのは、彼らの多くが大学教授であり、医局や関連病院の処方行動に影響するだけでなく、ガイドライン作成を通じて国内の医師全体の診療に強い影響力を持つためである。

 結果は衝撃的だった。主要医学会405人の理事のうち、…

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かみ・まさひろ 1993年東京大医学部卒。99年同大大学院修了。医学博士。虎の門病院、国立がんセンター、同大医科学研究所をへて、2016年より現職。医療ガバナンス研究に従事。現場からの医療改革推進協議会事務局長。

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