元教頭「自殺を公表するよう勧めた」 海星いじめ自殺訴訟、遺族と学校側の主張対立 長崎地裁

長崎新聞 2025/12/16 [12:00] 公開

2017年に自殺した長崎市の私立海星高2年の男子生徒=当時(16)=の遺族が学校側に損害賠償を求めた訴訟の証人尋問が15日、長崎地裁(松永晋介裁判長)であり、当時教頭だった男性は遺族に「自殺を公表するよう勧めた」と証言した。遺族側は突然死扱いなどとして自殺を隠蔽(いんぺい)するよう提案されたと訴えており、主張が大きく食い違っている。

 この問題で学校関係者が公の場で発言するのは初めて。生徒が亡くなった2日後の17年4月22日、元教頭は葬儀場で遺族に「空席のままだと他の生徒に影響が出る」ため自殺を公表すべきだと勧めたが、「公表されたくないとの返答だった」と証言。突然死や転校の言葉を持ち出したのは「昔はできたんでしょうけど今の時代は難しい」との意味だったと述べた。

 いじめの有無については「本人がいじめと感じたら今の法律ではそうなる」と一定認めつつ、自殺との因果関係は「受け入れがたい」と改めて否定した。

 訴状によると、生徒は中高一貫の海星中3年だった15年以降、複数の同級生からおなかの音をからかわれるなどのいじめを受け、学校側がいじめを把握し阻止する安全配慮義務を怠ったと主張している。学校が設置した第三者委員会が18年に「いじめが主たる要因」と結論づける報告書を作成したが、学校側は因果関係を否定。遺族は22年11月に提訴した。