「大学時代にやっておけばよかったこと」って何? 「旅行」や「恋愛」を抑えて、1位になったことは

2025/09/09

■特集:大学の「コスパ」を考える

「大学時代にもっとこんなことに時間を使えばよかった」と多くの社会人が思うことは何でしょうか。人材派遣サービス会社が、社会人438人を対象に「学生時代にやっておけばよかったことに関する意識調査」を行った結果を紹介します。その中の一つに、「資格取得」があるようです。今は資格取得のためのサポートを積極的に行う大学が数多くあります。けっして安くはない学費を払っているのですから、こうした情報を得て、時間とお金を上手に活用しましょう。(写真=Getty Images)

「資格を取得しておけばよかった」

大学は教育と研究の機関ですが、資格取得など、社会に出てからすぐに使える知識や技能を身につけられる場でもあります。人材派遣サービスを提供しているR&Gが、2024年12月~25年1月に、社会人438人を対象にインターネットで行った「学生時代にやっておけばよかったことに関する意識調査」によると、「旅行」(9.4%=6位)や「たくさん遊ぶ」(4.6%=10位)などを抑えて1位になったのは、「勉強」の32.9%。次いで「資格取得」が26.0%で2位に入りました。

(グラフ=R&G提供)

実際に在学中に資格を取った学生からは「頑張って学生時代に資格を取ってよかった」という声が多く聞かれます。

神戸学院大学現代社会学部社会防災学科4年の平川歌帆(うたほ)さんは、防災士の資格を取りました。この資格を取得するには、所定の講習を受講してから試験を受ける必要がありますが、認定大学で特定の単位を取得すれば、講座の受講が免除されます。高校時代から防災を学んできた平川さんは、自分がやってきたことに自信を持ちたいと、大学のカリキュラムを活用して3年次に防災士の試験に合格しました。

「卒業後に独学で防災士の資格を取ろうとした友人から、『時間もお金もかかって大変』と聞いたので、大学で単位を取りつつ、興味のあることを学べる点はメリットだと思います

大学のカリキュラムを利用

25年春に昭和女子大学国際学部英語コミュニケーション学科*1 を卒業した城生祐里(じょうのう・ゆうり)さんも、大学のカリキュラムを利用して、「登録日本語教員」という国家資格の試験に合格しました。登録日本語教員になるには、基礎試験と応用試験に合格したうえで実践研修を受けるルートと、文部科学大臣が認定する大学などの機関で養成課程を修了した後に応用試験に合格し、実践研修を受けるルートの2つがあります。この養成課程では25単位以上*2 を取得する必要があります。


*1 改組のため2025年4月より「国際教養学科」と「国際日本学科」の2学科に再編されています。

*2 城生さんは、登録日本語教員の資格取得に係る経過措置期間により26単位取得で、基礎試験と実践研修が免除されました。

日本語教員養成課程は日本語日本文学科で開設されています。日本語日本文学科の学生には専門科目になりますが、国際学部の城生さんは、所属学科の専門科目に加え、日本語教員養成課程の単位も取得しなければなりませんでした。しかし、「同じ学費なのだから、たくさん単位を取ったほうがいい」という「もったいない精神」と、母から言われた「食べ放題だったら元を取ろうと頑張るのに、なぜ授業ではやらないの」という言葉に背中を押されて、挑戦しました。

「英語コミュニケーション学科と日本語教員養成課程の学習の両立には苦労したものの、卒業論文のテーマと資格試験の学習内容には関連があり、どちらも深く学べたと思います」と城生さんは振り返ります。

資格が「学びの道しるべ」に

独立行政法人 国際交流基金で働く赤木佑衣(ゆい)さんは、青山学院大学総合文化政策学部に在学中に、「文化交流創成コーディネーター」という日本国際文化学会が創設した民間資格を取得しました。

資格取得のために青山学院大学で文化に関わる所定の科目を5つほど履修し、学会主催の短期集中セミナーを受講したり、それに順ずる学習活動を経たりすることで、資格を取得することができました。卒業後は大学で学んだことを生かせる団体への就職を果たしました。文化交流創成コーディネーターは、その資格がなければ現場で働けないわけではありませんが、赤木さんは資格を取ってよかったと言います。

「ひと言で文化といっても、美術や映画、ファッションのほか、言語や習慣、伝統なども含まれていたりして概念が幅広いです。それが資格取得を目指したことで、自分にとってのテーマに対する向き合い方や足りないものが明確になりました。何から勉強したらいいのか迷子になりがちだった私にとっては、(資格は)道しるべのような存在でした

資格の勉強から見える仕事のリアル

1000以上の資格を持つ資格研究家の鈴木秀明さんが、さまざまな資格試験に挑戦する活動を始めたのは、東京大学在学中のことでした。資格に興味を持ったのは、当時所属していた東大生協学生委員会が発行する機関誌で「資格道」というコーナーを担当したことがきっかけでした。日商文書技能検定(ワープロ検定)2級を皮切りに毎月さまざまな資格・検定試験を受け、その勉強法や体験談の記事を執筆。もともとは編集や発信という活動が楽しくてやっていたことが、だんだん資格や学び自体の面白さを知り、資格取得にのめりこんでいきました。その後、大学院修了までに独学で約90の資格を取得しています。

大学卒業後もさまざまな資格を取得してきた経験を踏まえ、大学在学中に資格を取るメリットをこう話します。

大学卒業後、大手人材会社で働きましたが、社会人になると時間の余裕がなく、大学時代にもっと資格を取っておけばよかったと後悔することもありました。業界や職種によっては、入社後に業務関連資格の取得を推奨されることもありますし、仕事以外でも自分のプライベートや趣味に関わる資格を取る人もいますが、日々フルタイムで仕事をしながら勉強時間を確保することは容易ではありません。これに対して大学時代なら、大学の授業やプログラムを利用できたりもするし、自分の興味と絡めてさまざまな資格に挑戦したりする余裕もあります」

医師国家試験に代表されるように、特定の学部やカリキュラムを修了することで、試験の受験要件が満たせたり、取得のステップを短縮できたりするケースもあります。また、学生の資格取得を奨励するために、資格取得報奨金制度を設ける大学もあります。

例えば、追手門学院大学では、資格取得のための有料講座を開講しており、宅地建物取引士なら3万円、行政書士なら5万円など、指定の資格を取得すると奨励金が支給される制度があります。

神奈川大学でも同様の資格講座を開講しているほか、大阪大学や近畿大学、龍谷大学など関西の多くの大学や、東洋大学、富山大学などで導入しているのが、「大学生協(推奨)のWEB資格講座」です。人気の27の資格講座を年間1万円(税別、テキスト代別)で受け放題というものです。

「就職活動で志望する業界や企業がすでに決まっている人なら、その業界・企業で取得が推奨される資格を調べて、一足先に挑戦してみるのもおすすめです。商社なら貿易実務検定、金融業界ならファイナンシャルプランナーや証券外務員、IT業界なら基本情報技術者などに合格していると、就職活動のときにスキルの証明になるだけでなく、その業界を志望する熱意の証しとしてアピールすることができます

明確な志望先がない場合も、資格取得のための勉強が業界研究や自己分析にもつながるほか、簿記やビジネスマナーの検定など、社会人としての基礎知識を前もって身につけることも、実際に社会に出てから役に立ちます。

「実務経験がなくてもその業界の仕事や内情を垣間見ることができるのが資格です。社会人になってからの仕事を、資格の勉強を通してリアルにイメージすることもできるはずです。就活のミスマッチを防ぐ意味でも、大学生のうちに資格取得をするメリットは大いにあります」

コスパやタイパだけでなく、そのほかのメリットも大きい大学生の資格取得。社会人になってから後悔しないよう、「勉強」とセットで挑戦してみるのも手です。


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(文=福光 恵)

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【グラフ】「学生時代にやっておけばよかったこと」って何?

(グラフ=R&G提供)
(グラフ=R&G提供)

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