ポケモン廃人、知らん地方に転移した。【完結】   作:タク@DMP

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今度こそ記念すべき100話!!


第100話:反撃の狼煙

 ※※※

 

 

 

 ──2年前。

 

 

 

(うーん、迷っちまったッスねえ。誰か道が分かる人がいれば良いんスけど)

 

 

 

 新任キャプテンのノオトは、同じ旧家二社のひぐれのおやしろに挨拶に向かうため、その拠点の一つに訪れていた。

 しかし、内部は文字通り忍者屋敷。部屋の数も多く、迷い道も多く、初めて入ったこともあってか、彼はヒメノともはぐれてしまっていた。

 そんな折、彼の目に入ったのは──和装に身を包んだ、金髪の少女だった。

 

(お、可愛いおねーちゃん発見♪)

 

「すんませーん! ちょっと良いッスかー?」

「ぴぃっ!?」

 

 少女は驚き、すぐさま逃げようとするが、足を滑らせてしまい、転んでしまう。

 

「ちょっ、何で逃げるんスか!」

「ぴ、ぴぃぃ……!」

 

 すぐさま彼女は柱の陰に隠れてしまう。

 

「お、お構いなくっ!」

「待つッスよ! オレっち、ちょおっと道を聞きたいだけで」

「っ……その、お顔は、もしかして新しいイッコンのキャプテンでござるか……?」

「そうそう! 集合場所がよく分からねーっつーか、この建物、似たような部屋と似たような道が多すぎるんスよ。なんか変に入り組んでるし」

「え!? えーと、それは、えーと……あ! ……此処に抜け道があって」

 

 少女は足元の床板を開いた。その先は滑り台になっている。完全にからくり屋敷か何かであった。ノオトは困惑したものの一先ず飲み込むことにする。突っ込んでいてはきりがない。

 

「ま、まあ良いか。辿り着くなら何でも……」

「……こんな抜け道があちこちにあるでござる」

「ありがとーッス! それにしてもお姉さん、なかなか綺麗ッスね。忍者なんスか?」

「ぴぃっ!? え、えと、一応、忍者でござるよ……」

「そーッスか。オレっちはノオト。いずれ、最強のキャプテンになる男ッス!」

「……」

「お姉さんの名前は?」

「ふぇ!? な、ななな何で聞くでござるか?」

「そりゃあもう、こんなに可愛いお姉さんとは仲良くなりたいからに決まってるじゃねえッスか」

「可愛くなんてないでござる!!」

「そうッスか? こんなきれーな人なかなか居ねーッスから」

 

 ルカリオが勝手に飛び出し、ノオトを抜け道の方まで引っ張っていく。「さっさと行くぞ」と言わんばかりに。

 

「名前だけでも──教えてほしいんスけど──」

「え、えとえとえと──ゴマノハ! ゴマノハでござる!」

「おーし分かったッス、今度お茶でもいだだだだだ──」

 

 ルカリオに耳を引っ張られながら抜け道の奥に消えていくノオト。それを眺めながら、ゴマノハは座り込んでしまった。

 

「あ、あれが、次のイッコンのキャプテンの片割れでござるかぁ……とんでもない陽キャでござる……」

 

(で、でも、可愛いって……綺麗って……いやいやいや、何思いあがってるでござるか──!?)

 

 ぷしゅう、と顔が湯気を立てて赤くなっていく。

 ゴマノハは忍。故に人の悪意やウソには人一倍敏感だった。

 ナンパをしてきたエロガキのはずなのに、裏を全く感じない彼の言葉が、心地よかった。

 

 

 

「……ズルいでござるよ……何なのでござるか、あの子は……」

 

 

 

 ※※※

 

 

 

「げほっ、ごほっ……あっぐ……此処は……」

 

 

 

 キリは咳き込んで起き上がる。頭と背中が痛い。みしみしとなっている。

 そこには、パーモットが立っており、それがノオトの手持ちであることを察する。

 自分が今まで意識を失っていたこと、そしてパーモットの技で自分が治療されたことを察した。

 そして──彼女は起き上がり、思わず顔を手で覆う。

 仮面が付いていないことに今になって気付いたのだ。

 それはノオトの手に握られている。想像以上に早い復活に、付け直す暇が無かったのである。

 

「せ、せ、拙者の仮面……!!」

「済まねえッス、キリさん……いや、ゴマノハさん」

「ぴっ、ぴいいいいーっっっ!?」

「いや、驚いてるのはオレっちの方なんスけどね」

 

 彼女はすぐさま仮面を被り、そして隠れられるところを探す為に辺りを見回すが何も無い。

 そもそも身体がまだ痛くてまともに動くことすらままならない。

 

「見た!? 見たでござるな!! 拙者の仮面の下ぁ!!」

「治療のためだったから仕方なかったんスよ!! 感電の恐れがあったから」

 

 こうして取り乱している姿を見ると、やはりキリ=ゴマノハだったのだ、と否が応でも実感させられる。

 

「でも、何で隠してたんスか。オレっち達は同じ旧家二社なんスよ? 最初っから素顔を隠すことなんて……」

「……みっともないから、でござるよ」

 

 彼女は自嘲してみせる。

 父が病死した後、すぐにキリはヨイノマガンにキャプテンとして指名された。

 しかし、生来持つ酷い人見知りはそう簡単に治るものではなかった。

 キャプテンならば必然的にチャレンジャーと関わる機会が増える。このままでは、試練の進行どころではない。

 故に彼女は仮面を被ることを選んだ。仮面を付ければ、直接相手と目を合わせないのでまともに人と話せるようになるためである。

 

「最初は偽名なんて使うつもりなかったでござるよ。ノオト殿と初めて会った時、たまたま仮面を付けてなかったから、拙者頭が真っ白になってしまって……」

「あー、顔合わせの時の」

「こんなのがおやしろのキャプテンだって思われたくなくって、ウソを吐いたのでござる。拙者はゴマノハで、キャプテンのキリとは別人だ、って。でも、その後も部下の忍者達から素顔で顔を合わせに行けって言われて……」

 

 それは、忍者達なりの親心のようなものだったのだろう。これから長きにわたって同盟を結ぶ相手に、仮面を付けたままでの付き合いはいずれ限界が来る。それはキリだって分かっていた。

 しかし、一度ゴマノハとして名乗ってしまった手前引っ込みがつかず、そしてウソを明かす機会もなく、今に至る。

 ノオトからすれば複雑だった。正体がキリだと知っていれば決してぶちまけなかったであろう本音を、ついついゴマノハには気を許して言ってしまっていたのを思い出す。

 

(でも、不思議と怒れねえのは何でなんスかね……)

 

「ごめんなさいっ、ウソを吐いていて……拙者、ノオト殿には……やっぱりノオト殿とは仲良くしてもらいたかったでござるよ……!」

「……バーカ、何でこんな事で嫌いになるんスか」

「え?」

 

 今更、嫌いになどなれなかった。

 悪意があって騙していたわけではないことなど、ノオトにも分かっていた。

 自分の弱さを分かっており、長い間悩まされ続けており、それを手っ取り早く解決できる手段があったとすれば?

 それに手を伸ばさないでいられる自信は、ノオトにはなかった。

 

「可愛いウソ一つくらいで、ちょっとシャイなくらいで、あんたの価値は変わらねーッスよ。むしろ、キリさんも苦労してるのが知れて良かった」

 

 ノオトは、キリに手を伸ばす。

 彼女はその手を少し躊躇した後に握り、起き上がった。

 

「体の具合はどうッスか?」

「すっかりよくなったでござる。それよりも戦況は──」

「分かんねえんスよ……爆風でインカムが吹き飛んじまって……」

「カバルドンは……遠くに見えるでござるな。戻らないと──!」

 

 二人がそう言った時だった。

 カバルドンが、宙に浮かび上がったのである。

 その様に、2人は言葉を失った。何が起こっているのか全く分からない。

 そうしているうちに巨体は砂漠へと落とされていき──衝撃で砂嵐が巻き起こるのが遠目でも見えた。

 

「な、何事でござるか……!?」

「エスパーポケモンの念動力ッスかね……!?」

「作戦はどうなっている……!?」

 

 そうこうしている間に、今度はカバルドンの姿が消失する。

 嫌な予感がしたキリは振り返った。その先には、砂地に沈んだおやしろ。

 その上空に、カバルドンが浮かび上がっており──

 

「まさか──」

 

 駆けだそうとしたが、追いつくはずもなく。

 おやしろの上に、巨獣の身体は落とされる。

 

「そんな、バカな……拙者は……守れなかった……?」

 

 砂嵐が消えて、カバルドンの姿は消える。

 後に残っていたのは、無惨に潰れた木造の建物だけだった。

 

「ッ……ぐ、うう、ぐ……!!」

「何があったんスか、マジで……!!」

「ッ……被害の程を確認したいッ!! ノオト殿……来てくれるか……!?」

「お、応ッス……!」

 

 動揺は隠せていない。

 だが、それでも、慟哭すらせず、彼女はこの場で最善の行動をとり続けることを選ぶ。

 それがキャプテンとして、忍者を束ねる頭領としての責務だと信じて。 

 

(やっぱりキリさんは……立派なキャプテンッスよ……)

 

「ノオト殿」

「……?」

「この期に及んで虫が良い事を言っているのは分かる──でも、力を貸してほしいでござる……テング団を、追い出す為に……ッ!」

 

 そう言ったキリの声は──いつにもなく、哀しさが滲んでいた。

 

 

 

「おやしろが壊された今……奴らの手が他に伸びる前に、止めねばならない……!」

 

 

 

 ノオトの返事は勿論、決まっていた。

 

 

 

 ※※※

 

 

 

「──オオワザ”ならくおとし”!!」

「オオワザ”アップルゴースト”!!」

「薙ぎ払え”むげんほうよう”!!」

 

 

 

 ──テング団の攻勢は強まるばかり。

 彼らは町を襲い、略奪と破壊を繰り返す。

 これまでに見られていた、サンダースやシャワーズのオーライズのみならず、ヒャッキのヌシ級ポケモン達のオーライズまでもが見られるようになった。

 アルネによって、オーパーツの量産性が更に向上したのだろう、とアルカは言っていた。

 あまり鍛えられていないポケモンでも、オオワザを習得するだけでその脅威は格段に跳ね上がる。

 隙こそ多くなるが、放つだけで威力は絶大。破壊力も絶大。

 建物を破壊し、迫ってくるポケモンを吹き飛ばし、凍らせ、そして薙ぎ払っていく。天災の集まり、この世の地獄である。

 

「──町民の避難は、テング団達の妨害によって、なかなか進まない状態だ」

「何処にあんな戦力を隠し持っていたのやら……いや、今まで見せていなかっただけか」

「オーライズしたポケモンはいずれも、サイゴクのヌシポケモンや、これまで確認されたヒャッキのポケモンの特徴を併せ持つ……全くデータが無いわけじゃあない」

「問題は、いずれもオオワザを習得してる事だ! 精度も威力も劣悪だが、あの数で撃たれたら堪ったものじゃない!」

 

 それでも忍者達は飛び回り、オーライズしたポケモン達を倒し、テング団達を拘束していく。

 拮抗する両者。戦局は硬直していた。

 しかし──ひぐれのおやしろの潰滅の報せが来たタイミングでいきなりテング団達は引き下がっていくのだった。

 当初の敵の目的は達成されたのである。

 そして彼らの次の要求は、三羽烏・アルネの姉・アルカを差し出すことであった。

 拠点に集う忍者達、そしてメグル達の顔は暗かった。

 おやしろを守れなかったばかりか、今度は町を人質に取られたも同然だったからである。

 忍者達も敵の居場所の特定を急ぎ、策を立てる。

 しかし、彼らの表情にも陰りが見えていく。

 だが、そんな状況を黙って見ていられるアルカではなかった。

 

 

 

「──ボクが、アルネの所に行けば町は助かるんですよね?」

 

 

 

 ははっ、と少し無理して笑ってみせるアルカ。

 すぐさま、彼女の肩を掴み、メグルは叫ぶ。

 

「ダメに決まってんだろ!?」

「だって、ボク一人のために町ひとつ犠牲になんてできませんよ!」

「……気持ちは分かる。しかし、要求を飲んだところで、町が壊れる時間が前後するだけやもしれんぞ」

 

 冷静にキョウは言った。

 葛藤する周囲の忍者達に釘を刺すように。「彼女一人犠牲にしても何も解決せんぞ?」と暗に言っているようだった。

 

「でも……アルネはボクの言う事なら聞くかもしれない。ボクが間を取り持って、サイゴクから手を引くように言えば……ッ!」

「上手くいくとは思えない。アルネはタマズサとズブズブなんだろ。あいつがお前とタマズサ、どっちの言う事を聞くかなんてわからねえだろ」

「だけど……ッ!」

「落ち着けアルカ。俺がお前をあいつらの所にはやらない! 此処にいる誰が反対しても、お前は渡さない!」

「でも、メガシンカは封じられて……アルネは更にパワーアップしてるんですよね……勝てるんですか……?」

「ッ……」

 

 メグルは息を詰まらせた。

 勝てる確証は何処にもなかった。

 ギガオーライズ・フェーズ2。最早、伝説のポケモンそのものに変化することができるようになったあのフーディンを止める術がメグルには思い浮かばない。 

 並大抵のポケモンでは念動力で浮かび上がらせられて動きを止められ、そして爆炎によって焼き払われるのみ。

 今のメグルの手持ちでは、対抗できるポケモンが居ないのである。

 強いて言うならばギガオーライズしたアブソルだが、フーディンはフェアリータイプを持つため、オーライズしようがしまいが相性不利には変わりない。

 フーディンのタイプはフェアリー・悪。

 一方で、ワカツミタマは伝承で妖気と炎を操るとされている、と資料にあったのでフェアリーと炎である、とメグルは睨む。

 

(敵の技範囲はフェアリー、悪、炎、そしてサブウェポンと思しきエスパー……この4つだ……! こいつらを同時に半減できるポケモンなんて居ないし、そもそも奴のスピードに追い付けない……!)

 

(強いて言うなら耐久力の高いヘイシャリが鍵だけど……! 正直不安だ。幾らしれいとうで強化しても、元々特殊耐久が低いヘイラッシャだぞ?)

 

(……勝てる保障なんて、何処にもない……ッ!)

 

 巨大質量を振り回すフーディンを見た後で、メグルは少なからず怖気づいていた。

 そればかりか今度は町が犠牲になる恐れすらある。

 

(勝てなきゃ……町が壊される……! いい加減な気持ちではいだなんて言えない……!)

 

 だが、それでも──だからと言って、目の前の彼女をテング団に差し出せるか? 答えはノーだった。

 メグルは思いっきり、アルカを抱きしめた。

 震える彼女を落ち着かせるように。絶対に大丈夫だ、と言い聞かせるように。

 

「うるせーうるせー……! 確証がなんだってんだ──俺が、お前を渡したくねえんだよ、あんなヤツに……ッ!!」

「ッ……でも」

「お前を傷つけて泣かせる奴らの所に、お前を渡したくねえんだよ……!!」

「でも、ボクの所為で──町が壊されたら……! おやしろまで壊れてるのに……!」

 

(悔しいよ。悔しい……ッ!!)

 

 メグルは歯を食いしばる。

 あれだけ修行をしても、あれだけ手持ちが強くなっても、まだ三羽烏には追い付けない。

 彼女をヒャッキの手先から守る、と強く強く決めたはずなのに。

 

(もっと、強くならねえと……いけなかったのに……ッ!! これじゃあ駄々こねて何も出来ねえガキと、何にも変わらねえじゃねえか……ッ!!)

 

 

 

「然り──テロリスト共の要求を飲めば、すながくれ忍軍の名折れ。永遠の恥でござろう」

 

 

 

 拠点の中に、ノイズ混じりの声が響き、皆振り返った。

 そこにはノオトに肩を貸してもらっているキリの姿があった。

 

「キリ様!? 無事でしたか!!」

「……済まないでござる。作戦は失敗だ。拙者達が敗北した所為で、おやしろは……破壊された」

 

 全員は沈痛な面持ちとなる。

 

「……被害のほどは?」

「内部は禁足地、幸いにして死者は居ませんが、周囲を固めていた者達が巻き込まれて重傷を……」

「そうか……良い。とにかく犠牲者を出すな。それを最優先にするでござるよ」

「ハッ!」

「……で、どうするんスか? 要求を飲んだところで、奴らが素直に手を引くとは限らない。かと言って要求を反故にすれば、町一個ぶっ壊される。人を避難しても、クワゾメの人口の何割が家を失うことになるやら……キャプテンの決断の時ッスよ」

 

 敢えてノオトはその質問をキリにぶつけてみせる。彼女の覚悟を問うために。

 彼女は、アルカの方に目を向ける。メグルは気色ばみ、身構えた。

 

「……ッまさか」

「安心せよ、メグル殿。例え他の何を犠牲にしても、民を犠牲にするのだけは下の下。忍にとって最も重要な、()()()()()を損なう行いでござる。皆もそうでござろう!?」

 

 キリの声が部屋中に木霊した。

 

「我らの責務を思い出せッ!! ()()()()()()()()()を守るため、耐え忍ぶことでござろうッ!! アルカ殿とて例外ではござらん!! 下を向いている場合ではないッ!!」

 

 喝破が忍達のけぶっていた志を思い出させる。

 ぐっ、と胸を押さえつけ──キリはメグルの方を向いた。

 

「──此処で奴らの要求を飲めば、更に奴らは付け上がるだろう。その為にも、此処で抗わねばならんでござる」

「……キリさん……ありがとうございます!」

「……」

 

 礼を言うメグル。しかし、アルカの顔は晴れない。負い目を感じるように目を伏せていた。

 

「良いの? ボク、余所者なのに……」

「拙者達と戦うことを選んだ時点で、アルカ殿は立派なサイゴクの民でござるよ。そしてメグル殿も同じでござる。ノオト殿、キョウ殿も──力を貸してほしい」

「ファ! ファ! ファ! だんだんと父親に似てきたな……無論、任された」

「でも、どうやってそのフーディンに勝つんスか? 話に聞いた限りは、相当の難敵ッスよ。しかもオレっち達、メガシンカも封じられちまってるし」

「策はある。それに加えて、フーディンは特殊攻撃を主体とするポケモン。そして念動力は悪タイプのバンギラスに通用しないでござる」

「だけど天候の取り合いに勝たないといけないよな。カバルドンが居るとなると、また雨を降らされる可能性があるし」

「何なら、にほんばれも使ってくる以上、ずっとこちらが優位を取ることはできないでござる」

「せめてヘイラッシャが岩タイプなら……すなあらしで特防アップできて、あいつの攻撃を受け切れるんだけど」

「そこは何も心配はいらない。むしろ、メグル殿だからこそ──賭けたいと思っているのだ」

 

 こうして、1時間後に向けて準備は着々と進んでいった。

 全ては三羽烏・アルネを撃破し、拘束するため。

 そして、これ以上のテング団の横暴を止めるためである。

 生まれは違えど、その目的は皆同じだった。

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