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あなたの為のオーケストラ 其の十三

高濃度な「作者の性癖どストライク作品」を読んだことで古戦場の屍から蘇生しました。衝動的全巻購入……!

人あるところに技あり、技は受け継がれ、いつしかそれは流派と呼ばれるようになる……即ち、俺の道場破りの旅は新大陸でセカンドシーズンになったわけだ。


道場破りは多分スキル習得とかそこら辺のパラメータは鍛えられているんだろうけど、経験値的には旨味皆無の無味なのが頂けない。まぁキルしてないからな……それはそれとして、新大陸にも人類は存在する。ちょっとガチめのケモナー向けだったりちょっとサイズがイかれてたりちょっと関節が虫のそれだったりするが一応分類的には人類種らしい彼等も、クソ原始的とはいえ文明というものを持っている。


そして【ライブラリ】もとい攻略サイトや掲示板の情報から、それぞれの種族にも流派が存在することは分かっている!!


「さぁキリキリ吐けアラバ! 魚人族神秘の流派をなァ!!」


「相変わらず不意打ちで過程を飛ばしてくるな友よ……流派、流派? 魚人鉄術(マーマーンアーツ)の事か?」


「伸び伸びとした名前だなオイ……ちなみにそれ徒手空拳?」


「馬鹿を言え、水の中にて武器を振る術だ」


「はい解散」


いや気になるけど、気になるけど今の俺には不要の技術なんだよなぁ。

聞くだけ聞いて!? みたいな顔で俺を見るアラバであったが、お前には夢女子プレイヤーの相手をするというお仕事が残ってるんだぞ頑張れ。

なんとなくだが嫌な予感がしつつあるのだが、次に向かうのは一族全員で前線拠点までやってきたので普通に住み着いてしまった巨人族(ギガント)だ。


竜災の被害で前線拠点近辺の森が軒並み焼失したのでガタイがあるとはいえ人数的には村単位でしかないため、生産職の聖地と化しつつある前線拠点では急ピッチで巨人族の居住区が作られたのだとか。

まぁなにせ子供ですら下手なプレイヤーよりフィジカルに恵まれている、作業効率とか色々凄いらしいね。巨人族といえばモラ・ベガルタの……なんか妹? の方と面識がある、案外あっさりと巨人族の流派について知ることができるんじゃないか?








「誰だお前は!!」


「えぇ…………」


思いっきり剣突きつけられてるぅ……巨人族って武器に対する思い入れが強いから(実際は相当雑に扱っているとはいえ)傑剣への憧刃(デュクスラム)傑剣への憧焉終刃(エスカ=ヴァラッハ)を帯剣してるだけで一目置かれる感じで相対できるのに何故ここにきてこんな敵意全開で……


「サンラクサン、サンラクサン。アタシは別行動ばっかだったからよく覚えてないですわ……でも、もしかしなくても女の子になってた時に会ってたんじゃないですわ?」


「………あー」


そういえばそうだったかも。そりゃ道理で警戒されるわけだわ、アラドヴァルを出しても性別ごと違うやつが知り合いの武器を持ってたわけで、普通に考えたら「サンラク♀からサンラク♂がアラドヴァルを簒奪してやってきた」風にしか見えんわな……


「あー……五秒待て」


「よし、待つ! そして六秒後に斬ってやろう!!」


「ハァイ」


「サンラク!? 驚いた、一体どんな手品なんだ?!」


あー、この素直すぎる反応は秋津茜にも通じるものがあるなぁ……おうおう巨女スキー達が威嚇してやがる。残念だったな巨人族の好感度を稼ぎたいなら戦乱の時の方が効率がいいぞ、あと武器を使い続けとけ。えーと、名前名前……


「竜災大戦以来か、元気してた?」


「うむ、姉さん共々壮健だったぞ! してアラドヴァルのサンラクよ、お前も元気だったか!!」


「うんうん、ちょー元気だったよ」


元気でオルケストラにボコられたりしてたよ。


「そうだ、以前お前の話を姉さんに話したら是非とも会いたいと言っていてな!」


「姉って……確かここに来た巨人族の長だっけ?」


「うむ!」


いやうむ! じゃないよ、それ完全に屋上とか校舎裏とかのパターンじゃない? いや、だが、しかし、武闘派集団の長と繋がりを得るってのはデカいアドバンテージだし……流派……でもどう考えても武器ありきの流派なオチしか見えないし……うーむ、うーむ……


「よし分かった、会う」


「そうか! ならば案内しよう!」


なんかこれいきなり本筋から脱線してない?



……


…………


………………



「はぁー、此奴が噂の!!」


「まぁ当たり前じゃがちっこいのう!!」


「こりゃなんだ、爪楊枝か?」


「馬鹿を言え、この者と比べれば剣であると分かるだろう」


「名剣なのは分かるぞ!」


「うーむ、よく馴染んでおる。良き鍛え手と良き使い手に巡り合ったようじゃ」


さっきからエムルさんが痙攣するマフラー状態から元に戻らないんでガン見するのは勘弁して欲しいのだが……くそう、ただでさえ女モードは小柄になるってのに、周りにいるのがどいつもこいつも三メートル超の巨人ばかりってどういう事なんだ!

物理的圧迫感が凄い、空気圧に押し込められてる気分だ。巨人族も普通の人類と変わらず年齢が大きい程巨大なようで、巨人族監修の元に建てられた「大使館(便宜上の呼称が定着した)」ですらガンガンと頭をぶつける巨大な者もいるくらいだ。


「………よく来てくれた、アラドヴァルのサンラク」


と、巨人族達の喧騒全てを切って捨てるかのような声がまっすぐに響いた。

視線を向ければそこにはモラ・ベガルタ妹ことフィオネそっくりな、しかし目力といい立ち振る舞いといい随分と大人びているというか威圧感のある女巨人が俺を見下ろしていた。


「我が名は無双の双剣(モラ・ベガルタ)のディルナディア……妹が世話になったようだな」


「成り行きで背中を預かっただけさ」


「お前の事はさまざまな戦士達より話を聞いた。七つの最強種を狩る者、海鳴りの射手、狼傷の戦士、アラドヴァルを佩く者………」


巨人族達の視線に熱が篭る。言わんとしていることが理解できたが故に、観念した俺はインベントリアからアラドヴァル・リビルドを取り出す。


「おお!!」


「なんと美しい……」


「ドルダナの槍、まさか残っておろうとは……」


「だがあまりに小さくはないか?」


「元より槍を折った剣であるし妥当ではないか?」


「否、これは鍛え直されておるな……だがしかし、アラドヴァルの在りようを損なわぬ名匠の技じゃわい」


「鍛治鎚のバルガンゼルス翁が言うならば間違いないか!」


「しかしこの黒々とした刃……まさか、アムルシディアンか?」


「なんと! 覇槍の穂先か!!」


「静まれッッ!!!」


轟音が騒音の全てをねじ伏せる。裂帛の一喝にて全てを黙らせたモラ・ベガルタ姉……ディルナディアが鋭い視線を俺と、アラドヴァル・リビルドへと向ける。


「ドルダナの槍……アラドヴァルの行方は英雄ドルダナと共に長く失われていた。アラドヴァルのサンラクよ、その槍を手に入れた経緯を教えてほしい」


「教えを請う目じゃねーな」


その目は……疑念か? 成る程、どこに行ったかも知れないレア武器をちっこい人間が我が物顔で持っているんだ。どうやって手に入れたのか、返答次第じゃ「返却(強奪)」もあり得そうだ………ふっ、馬鹿め。ロールプレイヤーは多かれ少なかれ吟遊のケがあるんだよ、喰らえ超脚色!!


「地を這う大蛇を知っているか」


「何……?」


「山を砕き、丘陵を均し、命を憎悪する蛇の名を知っているか」


ヴァッシュからも太鼓判を押されてるんだ、勝ち確を更に脚色してやるぜ。聞き惚れな巨人族!!


「その名は……ゴルドゥニーネ。今こそ語ろう、ドルダナ最期の戦いを」

なお九割脚色

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― 新着の感想 ―
1割の事実に9割分肉付けしてるだけだからセーフ
[一言] 9割脚色ってそれは創作って言うのでは…?
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