ポケモン廃人、知らん地方に転移した。【完結】 作:タク@DMP
(2月11日)
「ウラミィィィィィィィーッッッ!!」
甲高く叫んだ”魔物”はメグルに飛び掛かり、地面に押し倒した。
更に口を開けて”パワージェム”を放ち、オトシドリを吹き飛ばす。
「オトシドリ!? 戻って休んでて!!」
引っ込めると、大口を開けた”魔物”がメグルの頭を齧ろうとしている。
最悪とも言える状況にアルカはすぐさまボールを繰り出す。
しかし、投げ付ける対象を見てしまった瞬間、悪寒が彼女を襲った。
無理もない。”魔物”が背負っている祟り岩は、これまで現れたヤミラミの比ではない大きさであり、ご丁寧にしめ縄まで巻かれている。
アケノヤイバやヨイノマガンみたいな突然変異種ではない。”魔物”自体は今までに何度も捕まってるので、結局の所何処までいっても”魔物”は大きなヤミラミでしかないのである。
しかし、問題は腹の中に取り込んだ大量の宝石と、背中に背負われた巨大な祟り岩。この二つが相互に作用した結果、ヤミラミに尋常ではないオーラを纏わせた。
(祟り岩の力がこれまで以上に強い──テングの国の呪具みたいだけど……こっちの方がよっぽど気持ちが悪い……吐きそう……どれだけ多くの人間の恨みが籠ってるの!?)
胸を抑え、旅仲間のメグルの危機に身体を無理矢理動かしてボールを投げ──彼女は叫ぶ。
「──ナカヌチャン”でんじは”!!」
飛び出したナカヌチャンは大槌を握り締め、飛び出したヤミラミの頭目掛けて振り下ろす。
微弱な電気が流し込まれ麻痺した”魔物”は思わず仰け反り、メグルから離れる。
「あっぶねっ……助かった……!」
そう言ってメグルがヤミラミの拘束から逃れ、走ったその時。
【ヤミラミの じゅばくがん!!】
お返しと言わんばかりに”魔物”の岩の目が不気味に光り、アルカの両の目を捉える。
どくん、と彼女の左胸が脈打った。
頭に流れて来るのは、この島の風景。
そして、脳髄を反響するのは無数の恨み辛みだった。
──私は無実……無実なのに……!!
──おのれ、クワゾメの忍者め、許さんぞ……末代まで呪ってくれる……!!
──あいつめ、俺をハメやがった……!!
──俺ァ何にも悪い事ぁしてねえ! 女子供だって数える程しか殺してねぇよ! 薬と女売った金で商いやってただけじゃねえか! 俺は悪くねェ!
(頭にッ……声が……!!)
祟り岩にはひっかいたような傷が無数に付けられており、それが妖しく輝いている。それは、かつての咎人達が自らを投獄した者達を呪う為に刻んだ名前の数々であり、その呪力を以て”魔物”の意識を乗っ取り、そして強化しているのだ。根源となるのは、この流島で命を落とした咎人達の恨み。
”じゅばくがん”を受けたアルカは、虐待されていた頃を上回るほどの悪意の塊に心が曝され、既に立つことが出来ない程に疲弊しきっていた。
肌が普段から青白いのに、メグルでも気づく程に血の気が失せて真っ白になっていた。
そして、それを”魔物”が見逃すはずもなかった。祟り岩に意識が引きずられている”魔物”は、元よりポケモンに興味など無い。
かつて島流しに遭った者達が怨みを抱いている相手はいずれも人間なのだから。
人には人が苦しむ様を己の事のように見せるのが一番効く、と祟り岩の魔物は知っている。容赦なく呪眼の力を強めていく。
──嫌だぁぁぁぁ!! こっちに、こっち来るな!! ぶげっ──
──う、腕が、腕がねぇよ!! はっ、あっ、追いかけて来る──殺される──ッ!!
──畜生、俺が何でこんな、目に……あっ、ああ……!!
──重罪人は此処から落とす!? やめろ!! こんな所から落とされたら、俺死んじまうよ!! 助け──あああああああああ!!
悲鳴が、恐怖が、絶望が、怒りが、そして──最期の光景が。
次々のアルカに襲い掛かる。それをまとめて叩き込まれた彼女は跪いて頭を垂れた。
「うぇぷ……!?」
もう声も出なかった。口をふさがなければ、胃の中のものが帰っていた可能性すらあった。
「アルカ!? おい、どうしたんだ!?」
「カヌヌ……!?」
メグルが駆け寄る。
ナカヌチャンが振り返り、心配そうな声を上げる。
何が起きたのか彼らには何も分からない。
だがそれを、アルカは手で制す。
「ッ……ナ、ナカヌチャン……ラスターカノンでトドメを……!」
それでも、アルカはナカヌチャンに指示を出そうと手を振り上げる。
こくり、と頷いたナカヌチャンは大槌にエネルギーを込めて、一気に解き放った。
眩い光が洞窟の中を照らした。
【ナカヌチャンの ラスターカノン!!】
想定外の一撃を受けたことで”魔物”は仰け反る。
岩とフェアリータイプを併せ持つこのヤミラミに、鋼技は4倍弱点。大ダメージは避けられず、岩盤に叩きつけられる。
しかし、その場で魔物は倒れず、メグル達を睨んでケタケタと笑ったかと思うと──そのまま逃げてしまうのだった。
「一先ずは終わったのか……おいアルカ、大丈夫か……!?」
「へーき、です……ノオト達を探しにいきましょう……!」
全く平気では無さそうな様子で彼女は言った。
立ち上がることも出来ない程に、彼女はやつれていた。
(普通じゃない……あのヤミラミ、絶対何かしやがったな……!)
「ダメだ、そんな状態で行かせられない!」
「……それなら、ボクを此処に置いて──」
「行ける訳ねえだろ! ダメったらダメだ!」
「でも、ノオトとゴマノハちゃんが……!」
がっ、とメグルは彼女の肩を掴む。
「──ちったぁ自分を大事にしろ、お前はッ!! お前が倒れたら、俺は──」
「ッ……」
びくり、と彼女は体を震わせ──目を逸らした。
洞窟に怒鳴り声が反響し、メグルは自分でも思っていなかった程に大きな声が出てしまったことに驚いていた。
「……ごめん」
「いえ……ボクこそ……」
彼女を洞窟の壁に寝かせる。
顔を見れば分かるほどに憔悴していた。
「……こんな事してる場合じゃないのに。ノオトを……助けなきゃいけないのに」
「もういい、じっとしてろ。落ち着くまで寝てていい」
「……ボクの所為で、ノオトが死んだら……」
「言っただろ。あいつがあれくらいで死ぬタマかよ。ゴマノハさんだって助けに行ったんだから。きっと大丈夫だ」
そう言ってあげるしか、メグルには出来ない。
今のアルカは、ノオトが落下したショックと祟り岩によって二重に精神に傷を負っている。
少しでも安心させて癒してやるしかない。それが無責任なものであると分かっていても。
「……今だけで良いから……ワガママ、聞いてくれないですか?」
「ダメだなんて言わねーに決まってんだろ」
「……そうですね」
彼女は自らの頭をメグルの胸に預ける。体温が直に伝わってきて、ばくばくとしていた心臓の音がだんだん落ち着いていく。
「本当は……とても怖かったんです。しばらく、このままで居てください……」
※※※
「ああああああーッ!! 落ちるゥゥゥーッ!?」
落下するノオト。
しかし、そこに更に勢いよく垂直に降下するゴマノハが横切り、彼の身体を右腕で掴む。
そして、左手の袖から鉤付きロープを吐き出すと突き出した岩の破片に引っ掛けるが、二人の体重と落下時の勢いも合わさって耐えられるはずもなく、あっさりと砕けてしまう。
(ッ……このままでは両方共ぺしゃんこ……それにしてもこの大穴、深いッ……!!)
使えるものは何でも使うつもりでゴマノハは視界に入るもの全てを瞬時に観察していく。
そして、すぐさま彼女は空中で一緒に落下するボールを見つけた。
ゴマノハはメテノを出していないので、あの中に入っているのはルカリオしかいない。
「ノオト殿、拙者に掴まっておくでござるよッ!!」
「そんな事言われても──!?」
「良いから!!」
「あーもうっ、ヤケッス!!」
ぎゅうっ、とノオトはゴマノハにしがみついた。
そして彼女は右手の袖から鉤付きロープを吐き出す。
(当たれッ──!!)
ノオトも一瞬のうちに彼女の意図を理解したのか目を開く。
鉤の先端は勢いよく伸び、ボールのボタンを正確に押し、中からルカリオが飛び出して来る。
「ノオト殿、今でござるッ!!」
「──ルカリオ、サイコキネシスでオレっち達の身体を止めるッス!!」
ルカリオはすぐさま崖登りに適した掌と脚で壁に貼り付くと、目を発光させ、ゴマノハとノオトの身体を念動力で静止させる。
ふわり、と二人の身体は浮き、そのまま壁の足場になりそうな場所まで動いていくのだった。
二人は壁に手と足を引っ掛け、漸く落ち着くことができた。
既に床下が見える位置まで落ちていたようである。そして──穴の向こうは遠く、暗く、メグル達の姿は見えない。
「ッ……何とか助かったッス……サンキューッス、ゴマノハさん。命の恩人ッス」
「ふふっ、忍者でござ……る……から」
二人の目が合った。
まだ、ノオトはゴマノハの身体にしがみついたままだ。
だからお互いの顔がとても近い。それに気付いたのか、ゴマノハの顔は首の下から真っ赤になっていく。
「ぴっ……!」
「……ゴマノハさん?」
「え、えとっ、そろそろ腕、離して貰ってもぉ……!?」
「あっ、わりぃッス」
何の気もなしにノオトは壁に手を引っ掛けて彼女の身体から離れる。
こうしてゴマノハの心臓は守られた。
(べ、別の意味で死ぬかと思ったでござる……キョドって変に思われてたらどうしよう!)
「にしても、こっから崖登りか……メグルさんたち大丈夫かなあ」
(そしてノオト殿は何とも思っていないのでござるか!? 無駄にドキドキしているのは拙者だけ!? 酷いでござるよ!)
「あータンマ。やっぱ無理っぽいッスね、崖登り」
ケタタタタ、と笑い声が響き渡る。
岩肌が音を立てて動き出し、ヤミラミ達が姿を現した。
倒せるのは倒せる。だがそれはそれとして近付きたくなさが先行した。
奴らの放った岩が頭に当たったらどうなるか想像出来ないノオトではない。
「……あいつら近付いたら100パー岩投げてくるッスよ」
「最の悪でござるな……オトシドリとどっこいどっこいでござる」
二人はやむを得ず下層へ飛び降りた。
そこは、人の手が入ったように綺麗だった。
「──坑道でござるな。昔、此処でメガストーンの採掘が行われたことがあったでござるよ」
「ああ、確か……事故で監督が死んで、プロジェクト自体がオシャカになったっていう」
「……先々代のクワゾメのキャプテンが推し進めていたのでござる」
坑道が崩れた上に、当時の監督が落石で死亡し、計画は立ち消えとなったのだと言う。
サイゴクの霊脈が島の下にも通っていることが判明したのは、事故が起こった数年後のことだった。
それ以来、流島では人の手が加えられるような開発は行われていない。
「サイゴクの霊脈は……一体何なのでござろうな、ノオト殿」
「何と言われても、サイゴクの自然の根幹を成す大事なものっしょ? 山の神様の不思議な力ッス」
「拙者達は小さい頃から霊脈を不可侵のものとし、その境界を守るものとして教えられるでござる。でも、本当は霊脈自体が我々を脅かすものということは──」
「──だとしても、オレっち達にできることなんて何もねぇっしょ」
極めてドライにノオトは言った。
年少者ではあるが、何処か諦めたような乾いた一面を彼は時折見せる。
「人間、どうしようもねーことなんて沢山あるんスよ。霊脈があろうが無かろうが、自然が本気で牙を剥けば人もポケモンも簡単に死ぬんス」
「あっ……それは……」
先代が”祟り”で死んだノオトには、そのような無常観が備わっていた。どんなに栄えようが、自然や超常現象の前では全ての生き物は無力なのである。
故に、そこを心配している暇があるならば、先ずは己を見つめ直して鍛えるべき、と彼は考える。
「どうしようもねーことより、どうにかできそうな目の前のことに全力でぶつかるモンなんスよキャプテンは」
「……ノオト殿らしいでござるな」
「ま、その女の子に助けられたのはオレっちッスけどね……はぁーあ、不覚ッス」
これでは格好がつかない、とノオトは溜息を吐いた。
「アレは仕方ないでござるよ……一歩間違えたら、落っこちてたのは拙者だったでござる」
「穴がいっぱい空いてるッスね……メグルさんたちまで落ちてきたらどうするんスかね」
この道は、入り口が潰れたことで入れなくなっていた大坑道だ。
しかし、壁には穴が開いており、洞窟のあちこちから繋がっていることは想像に容易かった。
仕方が無いので、進みながら二人は上に戻れそうな道を探すことにしたのだった。
「ゴマノハさん、他にポケモン居ねーんスか」
「実は他のポケモンは忍者達に取り上げられてしまって……」
「はぁーっ!? おやしろの忍者達はゴマノハさんをキャプテンにでもするつもりッスか!?」
これでもノオトは、キリが相手でなければおやしろの忍者たちは楽々と蹴散らせる自信があったし、事実彼と有象無象ではそれだけの実力差がある。
「そ、その代わり、キャプテンの育てたメテノが居るでござるからぁ……」
「ぜってー抗議してやるッス、後で。無茶苦茶ッスよ」
「……あははは……あんまり拙者の事で怒らないでほしいでござる……忍者の世界に甘さは無用! ……でもやっぱりちょっと恨んでるでござる」
「よーし、そうと決まったら、帰ったら忍者共にガツンと一発言ってやるッスよ! 大体、こういうイレギュラーがあるから──」
おやしろへ文句を言う事を胸に曲がり角を進んだその時だった。
不自然に石ころが目の前に転がっている。
侵入者を察知したそれらは、次々に闇の小人へと姿を変えていく。
「……ノオト殿、これって」
「……まさか」
ぴきぴき、と音を立てて天井、そして床からヤミラミ達が現れる。
1匹や2匹ではない。数十匹単位の群れが、ノオトとゴマノハを取り囲んでいた。
この瞬間になるまで、ルカリオでさえも存在を感知することが出来なかった。
洞窟は完全に彼らのテリトリーだ。
「拙者達、最初から誘い込まれていたでござるか!? 此処まで知能が高かったでござるか、ヤミラミは……!?」
「……悪いことは続くモンッスね……!」
「──おや、どうやらそうでもないようだぞ?」
その時だった。目の前に紫色の海が現れ、ヤミラミ達をヘドロの海に飲み込んで、次々に倒れ伏せさせていく。
しばらくするとヘドロの海は跡形もなく消え去り、後に残ったのは倒れたヤミラミ達であった。
そして、昏倒したヤミラミの1匹を声の主が腕を掴んで拾い上げる。
ノオトは身構え、ゴマノハも殺気立った。
怒り顔の仮面をつけた忍者──ドクグモだ。
「……曲者でござるか。クワゾメの者ではないでござるな」
「何、そう怖い顔をするな。貴様も知っているだろう? この島のヤミラミはパワーストーンを好んで食す。多くは消化され、成分だけが体表に浮き出る……」
そう言ってドクグモはヤミラミの腹に浮かび上がっている石の1つを掌で掴んだ。
ヤミラミが消化しきれない程の力を持つパワーストーンはこうしてそのまま体表に出てしまうのである。
こうして半ば異物であり、半ば体内の器官となった宝石は、外からの力で引き抜こうと思えば簡単に引き抜けてしまうのである。
「メガストーンとポケモンは惹かれ合う。運が良かったな、小童。これは……貴様の求めるルカリオのメガストーンのようだぞ」
「んなバカな──」
「……いや、合ってるでござるよ。この島でメガストーンを探す一番手っ取り早い方法は、メガストーンを食べたヤミラミを探すことでござる」
ドクグモは丸い宝石をノオトに向かって投げ、彼はそれを受け取った。
思わず目を凝らしてみるが、彼に宝石の真贋は分からない。
ゴマノハはそれをひったくるように手に取ったが、ブービートラップのような類は見つからず、そしてメガストーン自体も本物であることを確認した。
「……ルカリオナイト……ルカリオ専用のメガストーンでござるよ」
「ッ……偶然にしちゃ出来過ぎてねえッスか!?」
「偶然ではない。これもまた、サイゴクの霊脈とやらの力なのだろうな。力は持つべき者の手に渡る……ということらしい。違うか? クワゾメの忍者」
「……ッ」
彼女は頷く。肯定するしかなかった。ゴマノハもまた、そうやって教えられた。
メガストーンとポケモンが引き合う現象など、他の地方では見られない。
しかし、霊脈の通るこのサイゴクでは、この理屈が罷り通る。地脈には霊気が満ち溢れ、石には意志が宿るという。否、石だけではない。全ての万物には何らかの意思が宿る。それが、サイゴクに伝わる教えだ。
「……こんな事で霊脈の力を実感したくなかったッスね──これをオレっちに渡してどういうつもりッスか」
「何、此処で争うのは得策ではない。互いに道に迷った身ではないか」
「ハァ?」
「これで手打ちにしようというのだ。一旦、協力しないか?」
「……ハッ、大方そっちも迷ったんスね。情けねえとは思わねえッスか?」
(迷った? とてもそうには見えない。この忍者、ヤミラミだらけの洞窟で服に傷一つ見えないでござる……ッ! 何より、ヤミラミ達の感知を掻い潜って隠れていたのはどういったカラクリ……!?)
ゴマノハは、ドクグモの底知れなさに恐怖した。ヤミラミを一掃したモルフォンの実力もさることながら、この男自身も相当の手練れであることが立ち振る舞いだけでも理解できた。
「──冗談じゃねーッスよ。このメガストーンは返すッス。オメーから受ける施しなんてねぇッス!!」
「ほう。ではどうするのだ?」
ノオトはメガストーンを投げ返し、代わりにボールを目の前に放る。
ルカリオが飛び出し、臨戦態勢に入った。
「──テング団に与するようなヤツ、放っておくわけねえだろが! 此処で森の借りを返すッスよ! そして、メガストーンは勝ってオレっち達が手に入れる!」
「ガルルルッ!!」
「ファ! ファ! ファ! 敵から受け取ったメガストーンなど使えぬか。この島での生活で潰れて軟弱にはなっておらんかったようだな」
「たりめーっしょ。此処からは出る。メガストーンも手に入れる。そんで、あんたもブッ叩く!!」
「ノオト殿……」
「心配無用ッス! 一度負けた相手に負けるような、ヤワな特訓してねーッス!」
「……威勢の良い小童であるな! しかし……」
ドクグモはモルフォンを引っ込め、代わりのボールを目の前に投げ込む。
飛び出したのは、四足歩行の蛙のような姿をしたポケモンだった。その背中には巨大な花が絢爛と咲き誇っている。
自然とそれは重厚な威厳を香らせ、ノオトとルカリオの前に君臨する。
そのポケモンの頭部にはプロテクターが装着されており、そこに煌めく丸い宝石が埋め込まれている。
(メガストーン……! あの忍者、メガシンカの使い手でござるか!?)
「フシギバナ……ッ!? ちっ、面倒なポケモンッスね……!」
「──威勢ばかりで中身が伴っていなければ花は咲かぬよ!」
【フシギバナ たねポケモン タイプ:草/毒】
フシギバナが咆哮すると共に、ドクグモはクナイを取り出し、そこに埋め込まれた宝石に触れる。
キーストーンとメガストーン・フシギバナイトが反応し、遺伝子の力を超越した進化、そして生命の真価を此処に生み出す。
「──フシギバナ、メガシンカ──ッ!!」