企業にも「哲学」は必要なのか?AI時代に急増する“企業内哲学者”の存在意義 ガバナンス・コンプライアンス時代に経営者が注目する理由
ビジネス特化型SNS「LinkedIn」において、肩書やスキルに「倫理」や「哲学」に関連するワードを含んでいる人が、この5年で6倍に急増している 。AIが進化を遂げ、予測不能な未来が訪れる中で、GoogleやAppleといった世界的大手企業が「哲学者」を正社員として雇用し始めるなど、2500年以上の歴史を持つ学問が今、ビジネスの最前線で注目を集めている 。 【映像】企業で役に立つ?哲学(イメージ) 「哲学では飯は食えない」と言われてきたのはもはや過去のことなのか 。ABEMA Primeでは、企業内哲学者として活動歴のある佐々木晃也氏、大阪大学大学院で哲学を研究する森脇透青氏を招き、企業が哲学者を雇用する意義について議論した 。
■企業内哲学者の仕事は「組織文化の解析とツッコミ」
6年前からコンサルティング会社で企業内哲学者を務めていた佐々木氏は、公認会計士が中心の組織で監査役という立場から関わっており 、自身の活動を次のように説明する。「基本的には人類学者がやることに近い。会社もそれぞれ独自のカルチャーを持っていて、暗黙に良いとされているもの、悪いとされているものが、振る舞いの価値評価にある。それを逐一、道徳的観点から突っ込むというよりは、それらが体系的にどう成り立っているのかを明らかにした上で、問い直す役割だ」 。 実社会のフィールドで活動することについて、「研究者という業績のゲームの中では経験されない、社会との直接的な戦いのような経験。誰か哲学者の理論を参照して説明することもあるが、基本的には目の前のその人たちに素手で、生で問いかけたり反論したりしなければならない場面がある」と、その実感を語った 。 これに対し、森脇氏は哲学の持つ「危うさ」を強調する。「哲学はソクラテスが『あいつはヤバい』と死刑にされたところから始まっています。ある意味、社会に対する反発から始まっていて、歴史の中では社会正義の役に立つこともあれば、敵になることも何度もあった。それがコンプライアンスやクリエイティビティーといった言葉に切り詰められてしまうのは惜しい気がする」と、安易な流行に警鐘を鳴らした 。