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オフレコ破り報道 法的問題は #エキスパートトピ

元特捜部主任検事
写真:イメージマート

高市政権で安全保障政策を担当する官邸筋による核兵器保有発言が話題となっています。発言内容の是非に加え、オフレコを前提とした非公式取材の場で出た発言だったにもかかわらず、一部メディアがこれを報じたからです。こうしたオフレコ破り報道を巡る法的問題について、理解の参考となる記事をまとめました。

ココがポイント

非公式の取材の“オフレコ”だからこそ政権の空気感や取材対象者の本音を知ることができる
出典:FNNプライムオンライン 2023/2/13(月)

「取材源の秘匿」、(中略)「記者の証言拒絶権」と同次元のものであり、その約束には破られてはならない道義的責任がある
出典:日本新聞協会 1996/2/14(水)

「オフレコ破り」の結果、国民に届く情報の質・量は低下し、「知る権利」は阻害されかねない
出典:読売新聞オンライン 2023/2/10(金)

「オフレコだから大丈夫」「匿名のコメントだから問題ない」という甘い認識は、今の時代には通用しなくなりつつあります
出典:東洋経済オンライン 2023/2/18(土)

エキスパートの補足・見解

オフレコを取材対象者と記者との間の一種の契約とみると、オフレコ破りで社会的地位の喪失や経済的損失といった損害が生じた場合、記者らに賠償を請求することが考えられます。民法の信義誠実原則や名誉毀損、プライバシー侵害などが根拠となります。

もっとも、取材対象者は自ら名乗り出て約束の内容などを立証しなければなりませんし、表現の自由や知る権利との兼ね合いもあります。裁判になれば、その報道の公益性や公共性、真実性、相当性、正当性のほか、発言内容と取材対象者の社会的地位との対比などが考慮されることになるわけで、ハードルはかなり高いでしょう。

2023年にも当時の首相秘書官が非公式取材の場で性的少数者らを差別するオフレコ発言をして報じられ、更迭される事態に発展しましたが、記者らの法的責任は問われませんでした。

結局、こうしたオフレコ破りは法規制にはなじまず、もっぱら報道倫理の問題に帰着すると思われます。一時的に重要な情報が国民に伝えられたとしても、取材対象者との信頼関係が崩壊して取材拒否に至るし、ほかの情報源も萎縮して口を閉ざす結果となり、かえって国民の知るべき情報が出てこなくなるおそれがあるというわけです。(了)

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ありがとうございます。
元特捜部主任検事

ベスト エキスパート受賞

2025

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

元特捜部主任検事の被疑者ノート

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月3回程度(不定期)

15年間の現職中、特捜部に所属すること9年。重要供述を引き出す「割り屋」として数々の著名事件で関係者の取調べを担当し、捜査を取りまとめる主任検事を務めた。のみならず、逆に自ら取調べを受け、訴追され、服役し、証人として証言するといった特異な経験もした。証拠改ざん事件による電撃逮捕から5年。当時連日記載していた日誌に基づき、捜査や刑事裁判、拘置所や刑務所の裏の裏を独自の視点でリアルに示す。

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