HOME記事キャラクターモデル衝撃の新発見「ザヴァケファレ・リンポチェ」を「プラノサウルス アンキロサウルス」を基に骨格再現!パキケファロサウルス類の真の姿をご覧あれ【プラノサウルス復元プロジェクト】

衝撃の新発見「ザヴァケファレ・リンポチェ」を「プラノサウルス アンキロサウルス」を基に骨格再現!パキケファロサウルス類の真の姿をご覧あれ【プラノサウルス復元プロジェクト】

2025.12.20

プラノサウルス復元プロジェクト/ザヴァケファレ【BANDAI SPIRITS】●ウラベヒロト(アーミック)、G.Masukawa(GET AWAY TRIKE!) 月刊ホビージャパン2026年1月号(11月25日発売)

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■改造

骨格図

ザヴァケファレ骨格図

 パキケファロサウルス類の化石は「石頭」ばかりが発見されており、部分骨格と呼べるものはわずか数体しか発見されていない。これらの部分骨格の情報を結集しても、依然として手や尾の後半部の構造は不明であった。また、化石は白亜紀後期のものばかりで、そこに至る進化の様子はほとんどわかっていなかった。
 こうした状況をひっくり返したのが、岡山理科大学や福島県立博物館を含む国際グループによって記載・命名されたザヴァケファレである。ホロタイプは頭骨や手の骨、完全な尾、胃石(内臓に貯めこまれる石で、消化補助などに用いられる)を保存しており、しかも白亜紀前期の地層から産出したものであった。それまで知られていた最古のパキケファロサウルス類よりさらに1500万年以上古いにもかかわらず、ザヴァケファレには立派な「石頭」があり、パキケファロサウルス類が白亜紀前期までにドーム状の「石頭」を発達させていたことも判明した。
 今回は、パキケファロサウルス類の研究における「聖杯」となったザヴァケファレを製作する。近縁種がラインアップにまだないため、できるだけ形状の似ている種類をミキシングして作り込んでいく。

ウラベヒロト製作「ザヴァケファレ」製作途中頭部比較
ウラベヒロト製作「ザヴァケファレ」製作途中頭部挿げ替え

▲まずは頭骨から。角竜類はパキケファロサウルス類と近縁だが、トリケラトプスの流用はすっぱりあきらめる。熟慮の末、アンキロサウルスとテリジノサウルスの頭骨を利用することにした。アンキロサウルスは後頭部の棚状の張り出しの、テリジノサウルスはアゴの芯にする

ウラベヒロト製作「ザヴァケファレ」製作途中顎修正
▲パキケファロサウルス類のアゴは比較的貧弱なつくりなので、貧弱なアゴが特徴のテリジノサウルスはうってつけの素材だ。アンキロサウルスの頭骨を重ねて高さを出そう。ザヴァケファレの眼窩は大きいので、アンキロサウルスの上顎骨とテリジノの眼窩を切り開いて土台を作っておく
ウラベヒロト製作「ザヴァケファレ」製作途中頭部エポパテ盛り
▲骨格図や実物化石、岡山理科大学や福島県立博物館で期間限定展示されていたレプリカの写真を参考に、エポパテを盛って大まかな形状を作る。頸椎(パキケファロサウルスなどである程度発見されている)は、アンキロサウルスのパーツを使うと具合がよい
ウラベヒロト製作「ザヴァケファレ」製作途中牙削り込み
ウラベヒロト製作「ザヴァケファレ」製作途中牙

▲パキケファロサウルス類の口先には牙があるが、これが完全な状態で発見されたのもザヴァケファレが初。ティラノサウルスの歯をエッチングソーで切り出し、移植する。後頭部のトゲ状の突起はエポパテで造形する

ウラベヒロト製作「ザヴァケファレ」製作途中頭部調整
▲ザヴァケファレの鼻づらには小さなイボ状の突起が密集している。エポパテで作り込むのはサイズ的に厳しいので、シアノンを垂らして表現。縫合線も彫刻刀で彫り込もう。一通り作り終えたところで、眼底部の仕切り状の骨をプラ板で追加する
ウラベヒロト製作「ザヴァケファレ」製作途中胴椎
▲胴椎はザヴァケファレではほとんど見つかっていないものの、近縁種では保存のよいものが知られている。今回はサイズと形状がちょうどよかったティラノサウルスを使用。仙椎はアンキロサウルスのものを使うのがよさそうだ
ウラベヒロト製作「ザヴァケファレ」製作途中横突起
▲これまでの発見で、パキケファロサウルス類の胴体や腰、尾の前半部は左右幅が非常に広いことがわかっている。また、胴椎の横突起の角度も特徴的だ。横突起はひとつずつ切り分け、近縁種を参考にペンチで上方(背中側)に曲げておこう(模型はパワーだぜ)
ウラベヒロト製作「ザヴァケファレ」製作途中肋骨
▲肋骨の膨らみ・カーブは手で曲げて調整することにして(模型はパワーだぜ)、長さと太さのちょうどよいギガノトサウルスを使用することにした。骨盤はパラサウロロフスをベースに加工していく
ウラベヒロト製作「ザヴァケファレ」製作途中肋骨上面1
▲1本ずつ切り分けた肋骨を手で曲げ、強くカーブさせたものを胴椎に接着する。パラサウロロフスの骨盤をアンキロサウルスの骨盤に真鍮線で接続する。尻尾はアンキロサウルスのものを使用し、長い横突起の芯にするために真鍮線を植えこむ
ウラベヒロト製作「ザヴァケファレ」製作途中肋骨上面2
▲腸骨と仙椎をつなぐ真鍮線を芯に、エポパテで仙肋骨を造形する。腸骨の背面(上面)の形もパテで加工しておく。尾椎の横突起は真鍮線にシアノンを盛ったのち、ヤスリで形状を整える
ウラベヒロト製作「ザヴァケファレ」製作途中尾
▲特徴的な骨化腱は1本ずつ作り込めるサイズではないため、それらしく彫り込むことにした。尾の後半部にエポパテを盛り、金ヤスリでアウトラインを整えた後、彫刻刀でひたすらに彫っていく。血道弓は真鍮線を芯に、シアノンを盛って整形した
ウラベヒロト製作「ザヴァケファレ」製作途中後肢
▲後肢は大腿骨の形状が近しいティラノサウルスをベースに、スネをプラ板で延長してパテで形状を変更する。長い第I趾(親指)には、ギガノトサウルスの第IV趾(薬指)を使用した。接地性向上のため、各趾には針金を通して可動化させておく
ウラベヒロト製作「ザヴァケファレ」製作途中上腕加工前
ウラベヒロト製作「ザヴァケファレ」製作途中手先加工前

▲上腕骨はヴェロキラプトル(組立体験会Ver.)を使用。前腕にはステゴサウルスを使用し、手先はエッチングソーで切り分けた後、ペンチで逆Rに曲げて加工する

ウラベヒロト製作「ザヴァケファレ」製作途中肩甲骨
▲肩甲骨・烏口骨はティラノサウルスのものを流用。胸まわりの突起をパテで再現する。座骨は真鍮線で延長し、シアノンを盛る
ウラベヒロト製作「ザヴァケファレ」製作途中工作とパテ盛り完了
▲かなりの部分がパテでのスクラッチとなったが、趾を可動化したこともあってしっかりと二足で自立する。胸骨はパラサウロロフスのものを加工して取り付けた。全身のバランスを確認したら塗装に移ろう

■塗装

ウラベヒロト製作「ザヴァケファレ」塗装途中1
▲ザヴァケファレの化石はモンゴル・ゴビ砂漠で発見されたもので、ゴビ砂漠産の化石によくある「骨っぽい」色合いが特徴だ。薄いベージュ色を調色し、エアブラシで全体を塗装する
ウラベヒロト製作「ザヴァケファレ」塗装途中2
▲ブラウン系のエナメル塗料で全体をウォッシングし、先ほどのベース色でドライブラシ。スケール感が狂わないよう、様子を見ながらオレンジ系のパステルで調子を整える
ザヴァケファレウラベヒロト製作「ザヴァケファレ」完成
▲これで完成! さまざまなプラノサウルスのキットをミキシングすることで、パキケファロサウルス類の骨格の全容を初めて机の上に復元できた。パキケファロサウルス類の化石やそのレプリカを復元骨格として組み上げたものはいくつか存在するが、ザヴァケファレやその研究成果を反映したものはまだない。プラノサウルスを手に、骨格復元の深淵を覗いてみよう
ザヴァケファレ骨格図
▲パキケファロサウルス類は角竜類とともに周飾頭類と呼ばれるグループをなすと考えられている。角竜類の化石記録はジュラ紀後期までさかのぼれることから、遅くともジュラ紀後期にはパキケファロサウルス類も存在していたはずである。しかし、白亜紀後期以前のパキケファロサウルス類と断定できる化石はこれまで知られておらず、その初期進化の様子はほとんどわかっていなかった。フルンドッホ層*から産出したザヴァケファレは白亜紀前期の確実なパキケファロサウルス類としては初めての発見で、パキケファロサウルス類の進化を探るうえで極めて重要である。
 また、ザヴァケファレの発見はパキケファロサウルス類の骨格に関する知見を大きく深めるものでもあった。消化の補助に用いられる胃石まで保存していたザヴァケファレのホロタイプは、パキケファロサウルス類の形態や進化、生態を解き明かすうえで大きな役割を担っている。

*フルンドッホ層:フレンドゥフ層とも。主にモンゴル・ゴビ砂漠東部に露出する地層で、網状河川の流れる平野部の環境で堆積したと考えられている。ザヴァケファレの他、アルティリヌスやハルピミムスといった恐竜の化石も産出している。

Zavacephale rinpoche

ザヴァケファレ・リンポチェ
●パキケファロサウルス類●全長約1m●白亜紀前期(アプチアン~アルビアン) 約1億1500万~1億800万年前ごろ?●モンゴル

ウラベヒロト製作「ザヴァケファレ」

BANDAI SPIRITS プラスチックキット “プラノサウルス” アンキロサウルス使用

ザヴァケファレ

製作/ウラベヒロト(アーミック)
骨格図・解説/G. Masukawa(GET AWAY TRIKE!)

プラノサウルス アンキロサウルス
●発売元/BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン●1595円、発売中●約19cm●プラキット


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G. Masukawa

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