QWERTY配列と変則論理配列、またはバイフィンガルのすすめ
この記事はキーケットスタッフ Advent Calendar 2025 15日目の記事です。
昨日はamanukoさんの「キーケットスタッフに参加した結果、マクロパッドを設計した話」でした。
滅茶苦茶な短期間で完成させていてすごい。
15日目の今日の記事はQWERTYなどの論理配列とそのカスタマイズ、そして複数の論理配列を使うことについて紹介します。
QWERTY配列と変則論理配列とは
キーボードの配列には2種類あり、「物理配列」と「論理配列」にわけられます。row-staggeredやcol-staggered、一体型や左右分割型のようなキースイッチの物理的な配置を物理配列、それぞれのキースイッチを押したときにどの文字が入力されるかという対応づけの配置のことを論理配列といいます。
この世にあるキーボードは大体同じ論理配列になっていて、これがQWERTY配列というものです。
QWERTY配列の成立にも紆余曲折があり、それにはそれである種の合理性もあって今日の標準としての立場を確立しています。しかし、論理配列の定量的な分析が進むにつれて、QWERTY配列の非効率性も度々指摘されてきました。
そういった中で、QWERTY配列とは異なる、より効率的とされる「変則論理配列」が生まれてきました。
特に有名なのはDvorak配列で、左手のホームポジションに「AOEUI」という母音を集め、子音についても英語の中での出現頻度から配置を決めるなど定量的・合理的な配列をしています。
最近では論理配列のカスタマイズ環境がより整ってきたこともあり、僕の私の考えた最強の変則論理配列が続々と誕生しています。
モダンな論理配列の様子については大西拓磨さんと大岡俊彦が開催されているAlternative Typing Contestの様子をご覧ください。
バイフィンガルのすすめ
バイフィンガルはバイリンガルをもじった言葉で、単一の論理配列だけを使うのではなく2つ論理配列をどちらも使う人、という意味の言葉です。
私の発案ではなく1999年発行の増田忠志『2時間でマスター快適パソコン・キーボード』に記載されていたようで、最近ではm.teiさんがそれを参照して広めたと個人的には記憶しています。
理論的には3つならトリフィンガル、もっと一般的にはマルチフィンガルと言えそうですね。
変則論理配列を使うにあたってよく問題に挙げられるのが「QWERTY配列のキーボードが使えなくなってしまう」「他の人のキーボードがさわれない」「他の人が自分のキーボードをさわれない」といった互換性の問題です。
実際のところQWERTY配列のキーボードを触らないといけないシーンはどうしてもありますし、この理由で世界中で事実上の標準となってしまったQWERTY配列以外の変則論理配列が普及できずにいます。
そこでおすすめなのがQWERTY配列を完全に捨ててしまうのではなく、QWERTY配列と変則論理配列のどちらも使うバイフィンガルです。QWERTY配列も使えるようにしつつ、より効率化されたモダンな変則論理配列をメインに使うという対応の仕方です。
実際私はQWERTY配列も使える状態で、普段はEucalyn 改配列を使っています。自作キーボードを使う時はEucalyn 改配列、Macbook本体内蔵キーボードはQWERTY配列という感じでスイッチングしていますが、全く支障なくどちらの配列も使えています。
動画でも示している通り、QWERTY配列でもEucalyn 改配列でも打鍵ができています。
変則論理配列を学習し始めると、QWERTY配列と変則論理配列で運指が混乱する期間はたしかにあります。ですが、変則論理配列配列の学習が完全に完了して体に定着すると、自然とQWERTY配列も切り替えて打てるようになります。一定のリハビリ期間は必要ではありますが、ごく短期間です。
QWERTY配列の打鍵はだいたい体に染み付いているので、思ったよりもバイフィンガルは可能です。英語を学んだからといって日本語がいきなりできなくなるわけではないのと同じです。
「変則論理配列は魅力的だけどQWERTY配列が使えなくなっちゃうのは困るなぁ」という方も、ぜひQWERTY配列と変則論理配列のバイフィンガルを目指してみてください。
私の場合はEucalyn 改配列の習得に半年程度、Eucalyn 改配列が完全に習得されてQWERTY配列とのバイフィンガルになるまでに1年〜1年半程度かかりました。
ですが1年半ずっとQWERTY配列が使えなかったわけではなく、Eucalyn 改配列の学習中も、速度は少し落ちたもののQWERTY配列は使えていましたし、完全なバイフィンガルになるまでにはQWERTY配列に切り替えるときに数分から数秒時間が必要だった、というようなグラデーションの状態でした。
早い人はもっと早く習得・バイフィンガルになれるようです。また、QWERTY配列を利用しながら変則論理配列を徐々に習得する方もいるようです。このあたりは3つ目の論理配列を学習する際にはより上手にやってみたいですね。
変則論理配列はたいていホームポジションからの移動量が少なく、快適な打鍵ができることが多いです。QWERTY配列を失うわけではないので、あなたもぜひ変則論理配列にチャレンジして、QWERTY配列とのバイフィンガルになって、快適な打鍵生活をしてみませんか?
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この記事はHHKB Studio 雪モデルとEucalyn 改配列で書かれました。


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