ドアノブで開くサウナの扉「聞いたことがない」 明確な規定はなく

吉村駿 藤田大道
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 東京・赤坂の個室サウナで30代の夫妻が死亡した。警視庁は、出入り口のドアノブが外れてサウナ室に閉じ込められたうえ、「命綱」だった非常用ボタンの電源が切られている状態だったとみている。設備の不備が重なったとみられ、複数の施工業者や業界関係者は、サウナの出入り口にドアノブをつけることは「聞いたことがない」と話す。

 事故が起きたサウナは、2022年7月、入浴施設を含む旅館業法に基づく許可を受けていた。翌23年4月には、みなと保健所が検査を実施。保健所によると「施設の変更」に伴うもので「設備上、大きな不備はなかった」という。

 厚生労働省総務省消防庁などによると、サウナに関しては、旅館業法のほか、消防法や自治体の火災予防条例で規定があるが、ドアノブに関するものはない。

 ただ、複数のサウナ施工業者に取材したところ、ラッチボルトがついたドアノブをサウナに使うことは「聞いたことがない」と答えた。

「社会的に認知されてきた状況だけに」

 東京都内で約30年前からサウナの内装に関わってきた60代の男性は「部屋から出たい時にすぐに出られるのが設計の基本だ」と話す。自身が関わった施工では、利用者が体調不良になった時、自ら外に出られるように、軽く押すだけで開くドアにしているという。

 ほかの複数の施工業者も同様だった。個室サウナに限った統計はないが、コロナ禍以降、都心を中心に個室サウナが増えているという見方も示した。

 あるサウナ業界関係者は「サウナ室のドアにドアノブを付けること自体、誰も考えたこともなかったのではないか」と話し、「近年ようやくサウナが社会的に認知されてきた状況だけに、とても残念」と語った。

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この記事を書いた人
吉村駿
東京社会部
専門・関心分野
事件・事故、スポーツ、生き物