メイクアップアーティストにして現役モデルを兼任しているジムリーダーであるリップ、ハッコウシティでは彼女が手掛ける化粧品の広告を見る事が出来る。そんなリップからのコラボの打診……普通に考えれば色違いのキュウコンとアローラキュウコンの二匹での見栄えを狙っている、と思ったのだが……
「何で俺までやらにゃいかんのじゃ」
コラボの打診のメールにはキュウコンの事も確りと書かれていたが……何故か自分もモデルとして参加しないかという旨も書かれていた。
「ご丁寧にその理由まで……」
簡単に言えば中性的且つ童顔である自分はモデルとしてもやっていけると確信している、キュウコン達と最高の仕事をしないか?いい返事を期待しているという物だった。と言われてもラビ的には全く嬉しくなければ喜ばしくもない。
「キュウコン達だけならまだしもなんで俺がそんな事しなきゃあかんのじゃ。のぅキュウコン?」
「コン?」
「キュン?」
ワザとらしく年寄りめいた言葉を作りながらも毛繕いをしているキュウコン達に目をやる。二匹からはなぁに?と言わんばかりの視線が向けられた。
「なんかモデルやりませんか?ってお話が来たんだよ、二人と俺も一緒に。二人はやりたいか?」
「キュウ、キュウン」
「俺?やらんよ」
「コンッ」
「だよな」
ラビがやらないなら自分達もやらない、と言いたげに返事をした二人にそうするよなと思いながら身体を撫でる。二人からしても興味が沸かない上にラビだってやる気は皆無、ならばやる義理はない、一緒に昼寝をした方が有意義だと言わんばかりにキュウコンが尻尾でラビの手首を掴んだ。
「コラコラコラ、さっき一緒に寝て……」
「キュゥゥウンッ……」
「い、いや流石に眠くなくて―――おわぁっ!?」
「コォオンッ」
アローラキュウコンは懐に入り込みながらも涙目の上目遣いの瞳で見つめて来る、しかも悲しそうな声のおまけつき。なんてあざとい……あざといが自分は仕事を―――と思ったら身体が浮き上がった。キュウコンが神通力を使って自分をベッドにまで丁重に運び、隣に潜り込んで来た。しかも寝てくれないと離さないと言わんばかりに身体に尻尾を巻き付けて来る。
「ああもう分かった、分かったっての!!1時間だけだぞ?」
「コン!!」「キュン!!」
あからさまに嬉しそうな声を出しよってからに……可愛い二人だ、今夜のご飯は好物にしてやると誓いながらも瞳を閉じると不思議な程にストンと眠気が襲って来た。モフモフで艶々なキュウコン達の毛並みの安眠効果が流石と言わざるを得ない、起きたら断りのメールを打とうと誓いながらもキュウコン達と夢の世界へと旅立つのであった。
「本日紹介するのは此方です」
「ヤッテキマッシャー!!」
「クワガノンさんです」
| ・おおっクワガノン。 ・カッコいいよなぁ ・虫苦手だけどこの子は平気。 ・クワガタだからなぁ、子供でも好きな子多い ・にしても鳴き声面白れぇな |
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「クワガノンさん最大の特徴と言えば長く伸びた大顎が特徴的、まるでレールガンのようだという人もいると思いますが、腹部の発電器官で発生させた電気エネルギーを大顎に収束させる事で強力な電気ビームを発射可能という何ともロマン溢れるポケモンさんです。しかもクワガノンさんは所謂アクロバット飛行と呼ばれる軌道、錐もみ回転や急旋回も得意としており鳥ポケモンとのドッグファイトでも引けを取らず、隙を突いて電気ビームを発射して鳥ポケモンを撃破という事も成し遂げてしまうんです」
| ・流石クワガタだぜ!! ・俺達のロマンを背負う虫ポケモン、それがクワガノン!! ・エネルギー充填率100%へ!! ・全電気エネルギー、ツインブレードジョーへと伝達完了。 ・発射!! ・なにこの流れ。 |
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「更にクワガノンさんは進化前のデンヂムシさんを足で抱えるようにする事でデンヂムシさんから電力供給を受ける事も可能なんです、そして激しい空中戦になるとデンヂムシさんを離して機動力を上げるという戦闘機の落下式増槽のような事まで出来るのです、なんとロマンに溢れた虫ポケモンさんでしょうか、因みに色違いのクワガノンさんは黒い部分がメタリックカラーとなるので更に戦闘機味が増すんです」
| ・うおおおおっ!! ・ロマンの塊クワガノンさんんんんっ!!! ・ロボットアニメ的なロマンも感じるぜぇ!!! |
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「そしてクワガノンさんの特性は浮遊、テラスタルとの相性は言うまでもありませんね?そして驚くべき事にクワガノンさんの特攻の高さは凄いの一言に尽きます。なんとあの特攻お化けのシャンデラさんと同じ位にあるんです。この特攻から放たれる電気技や身代わりを貫通する音技、虫のさざめきは強力無比です」
| ・やっぱ浮遊持ちはテラスタルで更に化けるなぁ ・電気テラス威力増強も良いけど、折角の浮遊を活かす為に鋼とかにしても良いかもしれんな。 ・そんなバカパワーから飛んでくる電気or虫技とかマジで怖いな。 |
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「更に恐ろしいのがこれだけ御立派な顎を持っている為にあの一撃必殺技であるハサミギロチンを使えてしまう事です。他にもねばねばネットや電磁波、光の壁と言ったサポート技も確りと網羅する事が出来るのだから参ったもんです。一撃の威力をさらに追及する?それともサポートしながら持ち前のパワーで相手に圧力を掛けますか?お好きなクワガノンさんを育ててあげてください」
そして締めくくった配信、一先ずリップに向けて断りのメール作成に移り直ぐに送信した。それについては驚くべき早さで残念です、というメールが直ぐに帰ってきた。モデルデビューという事は何とか避けられたが、別の問題が早々に来てしまった。
『ラビさん大変なのです、バトル学を行う先生に問題が起きてしまったのです!!お願いです、代理として教鞭をとって頂けませんか!?』
「……えぇぇっ……」
一難去ってまた一難。そんな自分を励ますかのようにクワガノンはその自慢の顎でそっと、自分の肩を優しく叩いてくれた。