週刊エンジョイポケモン放送局   作:魔女っ子アルト姫

13 / 435
エンジョイ:日照りキュウコン

「ねぇねぇいいでしょ!?バトルしようよ!!」

「参りましたね……私も用事があってテーブルシティに来ているだけでして……」

「お願いっこの通り!!」

 

両手を合わせて懇願してくる褐色肌の少女、テーブルシティに住んでいる人々はまた始まったと言わんばかりに笑っていたり自分に対しての同情の視線を向けてきているのが分かる。少女がおっさんへと頭を下げている事で生まれそうな誤解がないのは助かるが……これはこれで嬉しくない。

 

「貴方の配信いつも楽しみに見てるの、それで何匹もポケモンを育てたの!!だからそれを見て欲しいの!!だから、ね、お願いします!!」

「困りましたね……あのお嬢さん、見ず知らずの男にそんな事をしてはいけませんよ」

「あっそうか自己紹介もしてなかったんだっけ!?私はネモ、オレンジアカデミーで生徒会長をやってます!!ほら、これで見ず知らずじゃなくなった!!」

「いやそういう問題では……はぁっエンジョイポケモン放送局のラビです」

「うん知ってる!!」

 

オレンジアカデミーで生徒会長を務めながらも最年少でパルデアポケモンリーグチャンピオンへと上り詰めた天才少女、ネモ。見た目から分かる通りの美少女且つ親はスマホロトム会社の役員という、れっきとしたお嬢様なのだがそれ以上の特徴なのが生粋のバトルジャンキーである事。兎に角ポケモンバトルが大好きで勝っても負けてもお祭り騒ぎという言葉が良く似合う女の子。

 

「ネモさん、でしたか。私の配信を見て下さってるのは嬉しい限りです」

「毎回本当に面白くて夢中になってみてるよ!!お向かいさんの友達と一緒になってみてるよ!!それでね、良くバトルするんだけどその時に紹介してたポケモンを育成してみて出したりもしてるよ!!それで勝ったり負けたり最高!!」

 

兎に角バトルの時の語り口の目の輝きっぷりが半端ない、どれだけバトルが好きなのかと思うが同時に勝利だけに固執する事もなく敗北も喜んで受け入れている姿勢が最近のトレーナーには中々見る事が出来ない資質に思える。本当にバトルに真摯に向き合っているのが分かる。

 

「そうですか、では―――「おや、もしやそこにいらっしゃるのは……」んっ?」

「あれ、ハッサク先生だ。こんにちわ~」

「はいこんにちわネモさん」

 

バトルの姿勢から少しぐらいなら付き合ってあげても良いかな?と思い始めた頃、騒ぎを目を向けたのか、此方に気付いてハッサクが声を掛けて来てくれた。

 

「やはりラビさんでしたか、本日は如何致しましたか?」

「所用でテーブルシティに来たんですが、折角ですのでご挨拶しようと思ってアカデミーをお伺いしようと思った所でネモさんにお会いして配信の感想を聞かせて貰っていたんです」

「それはそれは……もしや小生のお話についてのご返答を頂けるのでしょうか?」

「実は前向きに考えてまして、彼方よりはハッサクさんの提案の方が私向きかと思いまして」

「おおっそれは素晴らしい!!小生もご提案した甲斐がありましたぞ!!」

 

二人の会話に入る事もなく、かと言って騒ぐ事も無く静かに黙っているネモだったがハッサクの提案という言葉を聞いて興味を惹かれて知りたいなぁと言いたげな視線が向けられたのでハッサクは笑いながら答える。

 

「実はラビさんにはバトル学の講師としてアカデミーで教鞭をとって貰えないかというお話をさせて貰っていたのです」

「ええっ!?それじゃあアカデミーでラビさんとバトル出来るって事なの!?」

「まだ決まった訳ではありませんけど、前向きに考えてます」

 

まだ話を貰っただけの段階なのでこれから煮詰めないといけない部分も多い、だがそれだけでもネモにとっては十分すぎる話だった。

 

「それじゃあ私、ラビさんと授業でバトルしたい!!だから今は我慢します、そしたら授業でバトルする時はもっと楽しい筈ですもん!!」

「ハハハッその意気ですぞネモさん、その時の為にラビさんの配信を見直して研究してみるのも楽しいかもしれませんぞ」

「はいそうします!!こうしちゃいられないや、私もう行きますね~!!」

 

頭を下げて駆け出していくネモ、アカデミーへと向かう階段へと果敢と走り出していくのだが……先程の勢いはどこへやら、階段の中腹に差し掛かる前に息を荒げて休憩し始める姿に二人は肩を竦めるのであった。

 

「ハッサクさん、私は前向きに考えてるだけですよ。あれじゃあ決定してますと言ってるような物じゃないですか」

「申し訳ありません、しかしネモさんを説得するにはああいった言い方をするのが一番でして。それ程に彼女はバトルが大好きなのです」

「ええ、伝わってきましたよ。あんな風にバトルが大好きな子は中々いませんね」

「小生もそう思いますぞ、さあさあそれではアカデミーへとご案内しましょう。まずはクラベル校長にご紹介しましょうか?」

「いえ、私としてはハッサクさんにお返事を渡す事が出来たのでもう目的は果たしてますので」

「そう言わずに」

 

 

「本日ご紹介するのは此方」

「コォン」

「キュウコンさんで―――キュウコンさん、尻尾下げてください前が見えません」

 

・キュウコンだ~!!

・お狐様だ!!

・ありがたやぁありがたやぁ!!

・毛並みすげぇ、そして尻尾もふりてぇ……

・そして平然と膝の上に座るキュウコン。

 

「キュウコンさんはキュウコン千年、カメックス万年ということわざもある程に親しまれているのですが実際にかなりの長寿なポケモンさんです。赤い瞳で相手の心を自在に操ったり、9人の聖なる力を持った仙人が合体してキュウコンが生まれたという逸話が残っている程です。一般ポケモンというカテゴリでありながら伝説を数多く持っているポケモンさんです。キュウコンさんの特徴でもありますこの九本の尻尾には神通力が蓄えられていると言われ、ふざけて掴んだりすると1000年もの間祟られるとも言われる程の力があります。これほどの力や長生きである事から各地にはキュウコンさんを祀り神格化している程でキュウコン神社などもあります」

 

・やっぱ長生きなのか

・数代に渡って家の当主を支えたって話もある位だしな

・神様扱いもされる位凄いポケモンなのか……

・ウインディも神格化されたりしてるよな。

・そんな神様扱いされてるとは思えない程に膝の上でくつろいでらっしゃるwww

・しっかし見事な毛並みだなぁ……アローラキュウコンも美しいなぁ……♪

 

「アローラキュウコンさん?ああそうか、言い忘れてましたがこちらはアローラキュウコンさんではありませんよ。アローラキュウコンさんは此方です、出てきてください」

「キュゥン!!」

 

・あれアローラキュウコンが二匹!?

・今まで同じポケモン複数出した事とかあったっけ?

・いや無い筈……というか見比べると毛色が違う……

・ホントだ、青くて雪っぽいのに比べてこっちは銀色……えっマジ!?

・ちょっとまてぇい!!

・色違いキュウコンか!?

 

「はい、今膝の上でくつろいでらっしゃるのが色違いの原種キュウコンさんです。そして今私の隣に座って喉を撫でているのがアローラキュウコンさんです。色違いのキュウコンさんはこのようにアローラキュウコンさんと見紛う程に幻想的な銀色をしているんです、元の金色の毛並みも素晴らしいですが私は此方も大好きです―――あのキュウコンさん前が見えません」

「コンッ♪」

 

・はぁ~……なんて羨ましい……

・それどっちの意味?色違い?それともキュウコンの尻尾に顔が埋まってること?

・どっちもに決まってんだろうがぁ!!

・ううっキュウコン、尻尾、顔を埋めたい……

 

「アローラキュウコンさんについて何れ紹介予定ですのでお待ちくださいね。キュウコンさんはとても頭が良い上に何処か執念深い一面もあります。ですのでもしも野生のキュウコンさんと会った時は慌てたりせず、深呼吸をしてから敬意を持って接してあげてください。下手をしたら並の人間以上に話が通じたりもします。私のキュウコンさんも執念深いです、よく尻尾で顔を覆ってきたりします。ほらっこんな風に、キュウコンさん自慢の尻尾なのは分かってますから、ちゃんと撫でてあげますから、はいはいアローラキュウコンさんも撫でてあげますよ」

 

・なんかホント懐かれてるなぁ。

・いっそのこと羨ましい位にはポケモンとの距離が近い。

・キュウコンさんもホントリラックスしてるしな。

・両手にハナとはこの事か……

・いやオスの可能性はあるだろ。

・何か問題でも?

 

「さて、キュウコンさんの特性は貰い火なのですが私のキュウコンさんは夢特性です。ズバリその特性は日照り。一旦フィールドに出ると天候を日差しが強い状態へと変えて自らの炎タイプの技を増強する事が出来ます、この辺りはコータスさんも有名ですね」

 

・出たよ天候操作系。

・普通に考えたら天候変えるとか神の領域だよな。

・そりゃ神格化もされるか。

・コータスは?

・ほら、コータスさんは……ほら、機関車の化身?

 

「この日照りを活用して本来は弱点である水や岩、地面タイプにも強く出ることが出来ます。日照りによってソーラービームの溜め時間をほぼ無しで発射したりも可能です。他にもエスパーやゴーストといったタイプの技もこなせる程に多芸なのです。が矢張り日照りからの炎技の大火力こそが最大の武器でしょう。そして此処から日差しが強い事で発動できる特性を持つポケモンに繋げていく事でパーティに貢献する事も出来ます」

 

・晴れパだとマジで中核になれるな

・お美しいだけではないとは……

・モデルさんでも持ってる人いるけど、激強だな……。

・しっかし夢特性には中々出会えないから巡り合わせだなぁ……

・そんな夢と色違いをWで持ってる主は何なん?

 

「その辺りは……キュウコンさんに魅入られてるのかもしれませんね」

「コンッ!!」

「キュンッ!!」

「だそうです」

 

そんなキュウコン紹介配信を終えるのだが、ラビはキュウコンのブラッシングや相手をするのに時間を費やすのであった。そしてキュウコンの尻尾の中で眠りにつくのだが……

 

「……やべぇ案件来た」

 

メイクアップアーティストにして現役モデル、ジムリーダーを務めるリップからコラボの打診が来て良かった気分が完全にぶっ飛んだ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。