「トップ、そないに気に入りましたんか?」
「ええ、それは貴方もそうでしょう?」
「ウチの相棒を可愛く描いてくれた上にチリちゃんの事も綺麗に描いてくれよった。悪い所はなし、強いて言ったら敬語な事ですかね」
オモダカと話をするチリ、彼女もラビの事は気に入っている。自分の絵を良い感じに描いてくれただけではなくドオーも魅力的に描いてくれた事は好ましい。加えて彼が紹介したフライゴンとドリュウズも見ていて面白かったし自分も手持ちに入れるのを検討したいし、彼に先発向けの地面ポケモンを尋ねてみるのも面白いとさえ思っている。
「しかしトップ、えらいラビの事を勧誘してましたね。そないに惚れよった?まあええ男ではあったけど」
「ええ惚れましたね」
「えっマジで?」
「彼の有能さに、ですよ」
何だそっちか……と僅かに胸を躍らせた自分がバカみたいじゃないかと肩をガックリと落とすがオモダカは至極真面目な顔で言う。
「彼の提示した種族値、これを改めてジニア先生に調べて貰いましたが極めて正確且つ明確なデータとして研究にも使えるという見解が出ました。そして親交のある二人の博士、シンオウ地方のナナカマド博士にイッシュ地方のアララギ博士からも同様の意見、そして更に詳細なデータを求められたとの事です」
「どっちもポケモン研究の権威やないんすか」
ポケモンの進化の研究に関する権威のナナカマド博士、ポケモンの誕生とその起源がテーマのアララギ博士。その二人からも認められるデータ……それがラビの異常性とその能力を現している。
「これ程に優秀な存在です、何れパルデア地方の外からも勧誘が来るのは確実です。それよりも先に彼を囲いたいというのが素直な本音、彼はパルデア地方のポケモンリーグ、延いてはポケモントレーナーのレベルを引き上げる起爆剤になりうる」
そう言いながらもオモダカはある資料をチリへと差し出した、そこにはパルデア地方に点在する商店であるラッキーズの一部店舗で販売されているアイテムの詳細が掛かれていた。特性カプセルと名付けられたそれはポケモンの特性を変化させるものだという。
「残念ながらそれを用いても彼の言う夢特性にする事が出来ません、ですがドラパルトのクリアボディをすり抜けに変える事は可能だったという報告が上がっています」
「これってポケモンの身体に悪影響あるんやないんすか?」
「いえ、健康被害などはないそうです。ラビは此処でこのアイテムの購入経験もあるそうです」
だとすればラビはポケモンの特性の変化などまで考慮した上でポケモンを育成している事になる。普通そんな事はしない、そもそも特性の変更は一般的ではない。だが仮にしているとしたら彼の本気のパーティはどれ程までの力を秘めている事になるのか。
「気になりませんか、彼の本気のパーティ」
「そりゃトップ、聞くまでもあれへんやろ。あんなおもろい男の本性、暴きたくなるのが性やろ」
「同感です」
一人のポケモントレーナーとして本気の彼と戦ってみたくなってきた。今も行われている彼の配信、様々なポケモンを紹介しているが意図的に強力なポケモンとして知られている存在の紹介を何処か避けている印象がある。何方かと言えばマイナー寄りを主に紹介している。その奥に隠されているかもしれない真実、どれ程の物なのかが気になってしまう。
『今回ご紹介するのは此方、オニシズクモさんです』
『アワァ!!』
| ・うぉわぁ!!? ・ビックリした!?マジでビックリしたぁ!?! ・主の背後にバカでかいの居てマジでビックリした!? ・何のホラー映画だよ……。 |
|---|
今回も紹介するポケモンもオニシズクモ、メジャー所からまた一歩引いたような選択だ。さて、今回はどんな感じに紹介してくれるのかな?とオモダカは少し胸を躍らせながらチリと共に配信を見るのであった。
『ゴボボボボッ』
「溺れたぁ!?」
「これは、いやたしかオニシズクモは……」
「プハァッ!!ご心配なく、オニシズクモさんはとてもいい子ですから。見た目は強面な感じですけど面倒見のいい性格なんです」
| ・いやいやいや頭の水に囚われてる!! ・軽くおぼれてるじゃねえか!? ・ちょっとマジで大丈夫なのこれ⁉大事故じゃねえの!? ナンジャモ:何々これマジで大丈夫なの!?ボクこれ通報した方が良いの!!? ・ナンジャモまでいるのかよ!? ・いやこれマジでどうするべき!? |
|---|
これは早々に誤解を解かなければ……確かにオニシズクモは虫ポケモンの中でも特に蜘蛛らしいフォルムをしている上に高さは1.8mとかなりでかい。ホラー映画でメインを張れる位のインパクトはある。加えて……自分のオニシズクモは色違い、本来は青と緑の部分が赤と紫になっている事でかなり毒々しく禍々しい見た目となっているのでそのインパクトは余計にやばい。
「オニシズクモさんは見ての通り虫と水タイプの複合、この頭の水泡を使って戦うスタイルなんですが、弱っている仲間がいたら此処に仲間を入れて守ったり面倒を見るという習性があるんです。大切な物を此処にいれるという習性もある為に信頼を寄せたトレーナーにもこういう行動を取る事はよくあるんです、この子なりの愛情表現なんです。炎タイプが愛情表現として火炎放射吐くようなもんです」
| ・そ、そういうもんなのか? ・よ、よく見ればオニシズクモ甘えてる……のか? ・確かに頭擦りつけてるし…… ・だけど、流石にびっくりしたぞ…… |
|---|
「ご心配おかけしました、オニシズクモさん少し離れてください。そうそうそんな感じで、有難う御座いますゴボボボボッ!!プハァッ!!もうワザとやってますよね貴方!?」
「アワワッ♪」
| ・あっこれ完全にじゃれてますわ ・構ってくれてると思って喜んでる感じするな。 ・図体でかいのにやってる事がなんか子供みたいだな。 ・最初は吃驚したけどなんかかわいく見えてきた。 |
|---|
「全く……さて、オニシズクモさんなんですが以前紹介しましたワナイダーさんと近い運用もしようと思えば出来るんですがオニシズクモさんの場合はサポート力を削って火力と耐性を確保した感じのポケモンさんです。その秘密は特性の水泡にあります、そうですさっき私が沈んでた頭のガボボボボッ……いい加減にしないとマジで怒りますよ!?」
「♪」
| ・茶目っ気ありすぎだろこいつwww ・どんだけ好きなんだよwww ・もうさっきまでのホラーインパクトが上書きされたわwww ・虫嫌いなのに可愛く見えてきた。 |
|---|
「ええっと、オニシズクモさんの水泡ですが実は複数の効果を内包した珍しい特性なんです。炎タイプの技で受けるダメージを半減させる、火傷状態にならない、そして水タイプの技の威力が上がるという三種類の効果を内包しているんです」
| ・ハァッ!? ・おい虫ポケモンが持っていい特性じゃねえぞ!? ・虫水だから炎が普通に通るかと思ったら結局半減かよ!? ・火傷にもならねぇ上に水が高火力化だと!? ・一瞬でまたホラーインパクトになったわ!? |
|---|
「オニシズクモさんは水タイプ且つ物理技では高火力のアクアブレイクを使えるのですがその威力がマジでシャレにならなくなります。この威力を減らす為に有効な鬼火などで火傷させたくても水泡でそれが通らないんです。逆に言えば水タイプのみが威力が高いとも言えるのですが、水タイプはタイプ相性の観点では非常に優秀で通りがいいのでそこまで気になりません。例え半減でも威力が上がってますから気にせずにゴリ押し出来る点もありますが」
| ・ひえええっ……。 ・水の半減は、えっと……草と水とドラゴンか? ・三つだけだな、それ以外には普通に通るから…… ・えっこわ。マジでこわ!? ・逆に水が効きにくい奴には虫タイプ技で攻撃するってのも手か……。 ・というか今更だけど主のオニシズクモ、色違いじゃね? |
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「はい、私のオニシズクモさんは色違いです。昔アローラ地方を旅している時にゲットしました。元々の色合いも水辺にマッチしていて好きですけど此方の方がより蜘蛛らしさが出ていて私は好きですねぇガボボボッ!!?本当に好い加減にしなさいって何回言わせるんですか!?天丼が許されるのは三回までって事を知らないんですか!?」
| ・天丼過ぎるwww ・マジで懐いてらっしゃるwwww ・恐ろし気な見た目からは裏腹に凄い好き好きな子だwww ・遊んで欲しいのかもな、ちょっと欲しいかも。 ・いやぁ~……懐いてくれるのは嬉しいが毎回溺れかけるのは……。 |
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「ええい、兎に角オニシズクモさんは強面ですが可愛げもある良いポケモンです。注意こそ必要ですが信頼関係を確りと築ければ貴方を包み込んでくれる強固な泡のバリアとして機能してくれるでしょう。おっとっもう包まれませんよ!!戻ってくださいオニシズクモさん!!あっこら避けるんじゃない!!?待ちなさい、戻ってください、戻りなさい、戻って、戻れ、戻れって言ってんでしょうがぁぁぁ!!!戻らんかいぃぃぃ!!!」
| ナンジャモ:あああっラビ氏が壊れたぁ!? ・久しぶりに見たわ主の敬語崩壊wwww ・というかオニシズクモさんの回避スキルパネェwww ・あんな巨体なのに小回り効きすぎwww ・的確にボールのビーム当たる部位をズラして回避してるwww ・いやこれバトルでも相当強いだろこいつ ・面白れぇwwww |
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この後5分に渡ってオニシズクモとラビの格闘は続いたのだった。そしてこの部分の切り抜きがPOKETUBEにも投稿された結果、トレンド1位を獲得する事にもなった。
「……最悪だ……如何しよう」
「アワワッ♪」
「遊べて楽しかったみたいな声出すんじゃないよ全く……」
ドクター真木ィ!!が脳裏を過ったので。