天地を呑む鯨
真理書、掲示板、ブロッコリーもといブロットリ君に何があったのかなどなどいろいろ書きたいこと書かなきゃいけないことが山積みだけどなんかもう面倒くさくなったので先に七章始めっか! というスーパーインテリジェンス脳みその判断
こう、完成したら「間章:極彩世界」に追加してく感じで……
「…………ふが」
懐かしい夢を見た、γ鯖とμ鯖の激突……どっちが勝ったか? 正解は「横から突っ込んできた巨大アルマジロに二人とも潰された」だ。
「うぅ、頭痛い……」
徹夜なんて日常茶飯事だが今回みたいなパターンは滅多にないぞ……一時間の仮眠でも症状が和らがない、これは本格的に七時間くらい爆睡しないとダメなやつだが、生憎当方は青々と茂る春のお年頃。
正直サボりたい、無性にサボりたい。だがここで下手に仮病を使ったとして、だ。何故体調が悪いのかが親にバレた場合………最悪、俺の部屋からVRシステムが消える、そして市場に流れる。
まぁあくまでも最悪のパターンだが……10%の確率で死ぬ乱数とか絶対引きたくねぇ、命中率90%の攻撃が外れる確率とイコールなんだぞ? 個人的見解だが成功率85%〜90%の乱数は実数値-30%くらいの補正が入ってる気がする。つまりクソだ。
「おはよう母さん」
「おはよう楽郎、徹夜したのかしら? 朝ごはんはトースターで焼いてるわよー」
トースター? ウチにそんなのあったっけ……ああ、買ったのかな? だが妙だな、小麦が焼けてるにしては妙に生臭い……
チーン! (勢いよく飛び出すパンとホッケ)
「お父さんが買ってきたのよ、魚対応のトースター。サンマまでは焼けるわよこれ」
「???、?????」
ちょっと待って、今日に限って朝っぱらから脳細胞に結構な負担をかけるのは勘弁して。
パンにホッケ? ホッケパン? え、魚の開きをパンで閉じるの? 箸? パンを? 箸で?
「おごごごごご……」
「お米、切らしちゃってるのよ。じゃあお母さん冬に備えて色々準備しないといけないから……」
コーカサスオオカブトの幼虫にお熱なウチの母は我が家で最も電気代を食ってる人物だ……二位は俺だろうけど。
……
…………
………………
「……ぉぁょぅごぁぃまふ」
「斎賀さん、やはり昨日の反動で……」
「今日は……多分……居眠り…………」
「斎賀さん? 斎賀さーん!?」
なお、二人して寝不足の状態で一緒に登校してきたということでまた捕まった。やましい事はしてねーよ!
あと案の定二人とも居眠りしていたことが帰り道で発覚した。
………………
…………
……
えーと、電話番号入れて……
『───もしもし?』
「カッツォ君は生物学上存在しないはずの第三の穴があるってマジ?」
『心を抉る下ネタやめてくれない?』
魚臣受けスレはディープスローターのアホで耐性を得た俺ですら無傷ではいられない魔窟、深夜二時以降のスレは六割増しでネチョくなる……欲望で。
『まぁいいや、例のイベントの件だけど正式に日程が決まったでしょ?』
「ご丁寧にお前んとこのプロゲーミングチームからメール来ましたね」
『地図も一緒に送った親切設計だよ』
調べたらテレビ局だったんスけど、君は俺をどうしたいんだね? ん? 歌って踊れと? いやゲームして欲しいのか。
「ていうか結局何をするんだよ」
『え? あー……なんだろう、俺もあんまり詳しくは聞いてないんだけど、ゲームをするのは確定だよ。噂のマスクマンの素顔を暴くとかそういうのは無い』
「……? そうか」
俺みたいなやつはともかく、出演が決まってる奴が内容を知らないなんてことがあるのかと首を傾げるも、前に聞いた話じゃGGCの時に実況をやってたアイドルの人の番組らしいし、サプライズ的なものなんだろうと納得する。
「サプライズ的な?」
『ん、あーそうそう、サプライズっていうか当日まで何をプレイするかは分かりませんってやつね』
「成る程な。で、これ具体的にどこに行けばいいんだよ」
『だからテレビユーガッタの……あーごめんごめん! 違うか、どこのスタジオとかは携帯端末に送ったコードを入り口で見せればナビゲーションが出るよ』
「ふーん……」
まぁ一週間くらい時間はあるし、どうせやるならちょっとは勉強するか……?
『ああそれと、君さぁ、あんなデカい船喚び出しといてどこに消えやがったんです? まさかもう船内に……』
「おかけになった電話番号は、現在ユニークな体験をしております………羨しかろう」
『くたばれ』
「出れないからダンジョンクリアが義務化されてんだよなぁ……」
◆
「おうアラバ、追いついてたか」
「む………おぉ、目覚めたか友よ。あの鯨の乙女殿が安全を保障したものだから俺も眠っていたぞ」
さいですか。
「あと俺の名は今やアラバではない」
「は?」
「魚人族の古い習わしでな、大海を司る大いなる神獣を見たものは名の前に「ル・」をつけるのだ。つまり……」
「ル・アラバか……喚びづらいな、ルアラバ、ルァラバ、ララバじゃだめ?」
「二秒で習わしを捻じ曲げるんじゃあない!!」
つってもさぁ、それって所謂「何々卿」とか「聖何々」みたいな尊称みたいなもんじゃねーの? それなら俺だってル・サンラクだってーの。
「略称、愛称、なんでもいいからアラバと呼び続けます」
「ぬぐぅ……」
「そんなことよか、勇魚から聞いてるんじゃねーのか? 俺たちゃあいつが数千年かけてコツコツ作り上げた迷宮を第一殻層だけとはいえ突破しなきゃ家にも帰れねーんだぞ。なぁ勇魚?」
『呼ばれて迅速参上「勇魚」ちゃんです! ことリヴァイアサン艦内であれば0.5秒以下での通信を実現いたしましょう!!』
「おぉ、鯨の乙女殿!」
「ムムム」
ネレイスがむすっとした顔をしてるぞ、魚人族が崇める神獣のAI、つまり神獣を操る者、要するに神的存在だとしても傍にいるキャラの好感度も考慮しないと。つーか爆ぜろこのやろう。
「流石にネタバレは聞かねえが質問だ、ここで一号が死んだらどうなる?」
『素晴らしい、もうそこまで識っているなんて……お答えしましょう、死亡します。再発生システムはあくまでも二号計画のみに実装されたものです。第一殻層から第三殻層まででしたら出現エネミーの情報も開示できますが如何致しますか?』
「頼むわ」
へぇ、適正レベルまで表示されるのか、親切設計だな。レベル30って事は……んー、新大陸で挑戦可能なダンジョンの割に難易度低め?
「いや、チュートリアルと考えるべきか……」
「サンラクよ、この超常の体験において普段通りを崩さぬとは、なんというか……凄いな」
おう、半日前にバカ強いドラゴンに喧嘩を売ってきた男だぞ俺は。あぁ、そういえば角を破壊した報酬が二つあるんだったっけ。「霊角の残影」とかいう……アクセサリーだしちょっと装備してみるか。
「………」
「………え、今俺どうなってる?」
『非物質性視覚異常が確認できますね、端的に言えば……角が生えてます』
マジで? 今俺鮭頭なんだけど、角生えてんの?
「具体的な効果は……へぇ、装備に特殊なバフを付与すると……」
本来はアクセサリー一つにつき武器一つらしいが……ふふん、いやー俺ってば角二本へし折ったからなぁ! 二刀流を強化できちゃいますなぁ!!
「よしアラバ、ちゃっちゃとクリアして帰ろうぜ」
「む、いやだからル・アラバなんだが……」
『えっ、もう少しゆっくりされてもいいんですよ?』
ごめんな勇魚、俺はどれだけ設備が整ってても自宅じゃないと落ち着かないタイプの人間でな。その点で言えば自宅からログインしてる俺は常時リラックス状態と言ってもいいが、外にエムルやサイナも待たせてるし───
「転送完了:契約者、案の定ピンピンしてますね」
「だぁぁーっ!!?」
クッソビビったわ! どっから出てきた!?
「補足説明:征服人形は高出力の通信補強施設があれば機体の大陸間転送も可能としています。そして当機は契約者の所有物としての認証コードを登録しています。それ故にレガシーモード発動中のリヴァイアサンに転移可能なのです。まさにインテリジェンス・裏技……っ!!」
『肯定します、既にエルマ型317号機の開拓者サンラクとの契約を確認しています。征服人形に関してはベヒーモスが本場ですが……えぇ、堅物の「象牙」の処よりも先にこのリヴァイアサンへときてくださったのですから! お任せください!! この「勇魚」、これより工廠を限定稼働して征服人形向けコンテンツの作成に取り掛かります!』
気のせいじゃなければこのAI、今から新しく報酬を作りますと言った気がするんだが…………いや、まさかとは思うがシャンフロ世界のAIキャラって基本的にバカしかいない……
「いや、流石にそれは……」
「契約者、インテリジェンスの欠乏症状が見られます。リハビリすべきでは?」
バカしかいねーのかも。
何? たかだか数行のヒロインちゃん描写を入れる意味なんて無いだろって?
塵も積もれば山となる、延々と「あれ付き合ってるんじゃね?」ムーブを周囲に見せつけてるのが伏線になるんやで。疑惑と不安が人を狂わせるって歴史が証明してるから……