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シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜  作者: 硬梨菜
竜よ、龍よ! われらが駆けるは憧れの果て
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龍よ、龍よ! 其の十五

「とりあえずこの件に関して一発殴る権利を所望する!」


「ルストを見つけろ、譲渡する」


「分かった、来る? 行く?」


「来てくれると助かる」


五秒で情報を交換、【昇滝】を纏う謎の人物が穿った包囲網の穴から抜け出しつつオイカッツォは駆け出す。


「えーと、確かあの二人は竜血鬼のフラグがあるんだっけ……?」


そしてもう一人はブロッケントリードの相手をしている……と、見せかけて(・・・・・)ロクでもない作戦を実行中だ。

魔王がばら撒いた種はすでに発芽せんとしている。その片棒を担ぐ主犯格たるオイカッツォは計画自体は以前から持ち上がっていたが様々な理由で後回しにされていた計画実行のために凸凹コンビの姿を探す。


「って見つかるわけないでしょこれ!!」


今現在、戦場と化した前線拠点に同時接続で何人いると思っているのか。少なくとも石を投げて偶然モルドの頭にぶつかる可能性よりかは高いだろうが……


「いや、竜血鬼の近くにいるのか……いやどこだよ……」


しばし考え、とりあえず最初に目に付いたプレイヤーに聞けば良いだろうと振り返り……


『ぬぐぉぉあ! クソがっ! この俺様が、死んで良いはずがないぃ!!』


「えっちょ」


全身からダメージエフェクトをまき散らし、強者としての威圧をかなぐり捨てた赤色の異形(ドラゴン)がなりふり構わない様子でこちらへと突っ込んできていた。


「なぁぁあ!!?」


『なぁぁあ!!?』


奇しくもブライレイニェゴと同じ悲鳴をあげながら、オイカッツォは全力で真横へとジャンプする。

しかしそんな機敏なアクションを望むべくもないブライレイニェゴに突っ込んできたドゥーレッドハウルの巨体が直撃し、背中から無尽蔵に生産され続ける小竜を決して少なくない数踏み潰しながら白い巨体が横転する。


『そ、そうだ! 俺様が死んで良いはずがねぇ、テメーが代わりに死ね!!』


『貴様ァ……!!』


どうやら、追い詰められたドゥーレッドハウルがブライレイニェゴを身代わりにしようとしたらしい。

来た方を振り向けば、自身が来た方向へとブライレイニェゴを盾にするドゥーレッドハウルの姿。


「……あ、オイカッツォさん」


「サイガ-0さん……あーなるほど」


呼びかけられた声に振り向き、ドゥーレッドハウルが追い詰められた理由に合点が行く。

あいも変わらずプレイヤーというよりそういうエネミーと言われた方が納得しそうな鎧姿に、明らかにただならぬ気配を漂わせる大剣を持つサイガ-0だけではなく、その背後には【黒剣】のメンバーや他にも現時点での最先端なのだろう装備を身に纏うプレイヤーの数々がドゥーレッドハウルにトドメを刺さんと白竜の戦闘領域へと踏み込んで来ていた。


(赤竜が一番削られてる感じか……緑竜はペンシルゴンが遅延(・・)させてるはずだし、赤はここで仕留めるつもりなのか?)


いや、とオイカッツォはその考えを否定する。

今現在最もヘイトを集めているドゥーレッドハウルをここで切るのはまだ早い、だがこればっかりは外道の策でもどうにもならない面もある。


「拠点バフ……厄介な」


そもそも、ドゥーレッドハウルに攻撃が集中した最大の理由はスカルアヅチがプレイヤー全体に熱耐性を付与したためだ。

良くも悪くもプレイヤー側の自由意志に任され切ったこの決戦フェーズは「色竜を全て倒す」「ジークヴルムを撃破する」の選択肢以外は何も用意されていない。故にスカルアヅチという拠点……言うなればプレイヤー達の象徴が示したターゲットに従うプレイヤーが多いのだ。


そして、スカルアヅチの城主は反ノワルリンド派の頭領……いや棟梁とでも言うべき人物、もしスカルアヅチの次なるターゲットがノワルリンドになれば。


「まずい……まずいよこれ……」


ウェザエモンの時とは違う、それぞれが別の場所に散らかっているために現状声の届く範囲外に言葉を伝える手段のないシャンフロでは「(ブレイン)」たるペンシルゴンの言葉を伝達する術が著しく制限される。


「どうする? どれを狙う(・・・・・)?」


その時だった。




ひゅるるる………パァンッ




「!!」


戦場という場面において、驚くほどに場違いな花火。それはいやに耳に残る音を立てながら昇り、爆ぜ……白色の花(・・・・)を咲かせた。


「白!!」


瞬間、戦場が動いた。


「白」


「白だ」


「あれが「合図」でいいんだよな?」


「ブライレイニェゴだ!」


「ブライレイニェゴを狙え!!」


どこからともなく、誰ともなく。数千ものプレイヤー達がひしめく中で声が上がる。



白色だ、


白竜だ、


ブライレイニェゴを狙え、



ただ一人の言葉ならば戦場の雑音と流されるそれ。しかし、数十人(・・・)の声がねずみ算の如く情報を広げていけば、真偽と根拠を抜きにして「そういうものなんだろう」とプレイヤー達は動き出す。


「サンラク!」


「えっ、今話しかける!?」


「外道からのオーダーだ! ブライレイニェゴ重点!!」


「ちょっ、ちょちょちょ……ええい(たか)るな! 散れ!」


モノクロの大剣を振り回し、執念深く自身に取り付いていた小竜を片手で地面に叩きつけながらサンラクが叫ぶ。


「TKO!!」


「TPOな? ノックアウトされたのその小竜だし」


「どっちでもいいわ! で!? 「合図」が来たってこたぁ……いいんだな(・・・・・)!?」


「あぁ、流れを巻き込めサンラク!!」





ペンシルゴンが立てた作戦の第一段階は単純明快。

プレイヤー達の中に「そういうの」が好きな協力者を潜ませ、何れかの竜が追い詰められたタイミングで別の竜へと攻撃を逸れさせる。

無論全てのプレイヤーがそれに従うなどとはサンラクもオイカッツォも、立案したペンシルゴンも思っていない。だが百人の中から二十人が離脱するだけでも作業効率は20%下がるのだ。


そしてその合図こそが先程の花火だ。タフネスに特化したブロッケントリードはどちらにせよ時間を稼いでくれる、ノワルリンドは上手い具合に空中戦でヘイトが向かわず、であればドゥーレッドハウルとブライレイニェゴの二体を使って注意(時間)削ぐ(稼ぐ)


そして花火が上がった時点で約二名(・・・)を除いて全員が集合する。捜索の任務を免れたオイカッツォは自身にバフを付与しながらも再び白竜へと向き直る。


「周りのプレイヤーの妨害になるくらい派手に暴れろ、なんて無茶言ってくれるよ」


「第三形態を見せる時が来た、ということだ」


「え? 姿変わるの? 完全変態じゃん……」


グッと上に立てられた中指と下に向けられた親指が交差した。


「あ、あの……サンラクさん」


「おおレイ氏、そしてサイガ姉」


「合図は確認した、奴からは「ウチのが派手に目立つからさ! それに便乗しちゃって!」と聞いているが……どうするつもりだ?」


「フッ……見せてやるよ、DPSの極限って奴をな……!!」


モノクロの大剣を地に刺し、インベントリアを操作したサンラクの手に何か赤い物体が現れる。

それは異形で異質、哺乳類にも爬虫類にも見える、しかして既存の生物のどれにも当てはまらない特徴も備えた……奇妙な赤い頭蓋。


「それは?」


「レイドモンスターの撃破報酬」


「成る程………いや成る程じゃない! なんだと!?」


「話は後だ、集中集中!!」

時間も腕も足りない



「工作員ロールプレイ」スキーな協力者達は主にゼニス・ゲバラの伝手

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― 新着の感想 ―
工作員プレイ楽しそうー!こういうのができるのは連絡手段が制限される完全VRじゃないと無理だもんなぁ…。本当に、こういうゲームがやりたかった
[一言] サクラ担当工作員達、ものっそいニヤッてそう
[一言] サンラクとカッツォの仲の良さ(煽り合い)やっぱり好きだなぁ
感想一覧
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