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シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜  作者: 硬梨菜
竜よ、龍よ! われらが駆けるは憧れの果て
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龍よ、龍よ! 其の十一

交差ののち。



ジークヴルムが黄金の体躯をその場で旋回させ、突撃の加速を散らして滞空しつつも停止する。


サンラクは蒼耀月を抜刀分離……「金照」を振り抜き「冥輝」を腰だめにした姿勢のまま動かない。


『───驚いた』


竜災の真っ只中、ただ一画驚く程に静かな戦場で、ジークヴルムの声だけが響く。


『我が狂騒(Jazzy)領域(-Zone)は貴様らの内なるマナを狂わせる技能(スキル)殺しの領域。目を奪われ、足が衰えて尚……斬ったか(・・・・)!! この我を!!!』


「…………クソが、スキル封印は予想してた、が……差し込み発動は、ダメだろうがよ………っ!!!」


瞬間、サンラクの左目から右腰までが爆ぜ、全く同じタイミングでジークヴルムの左角と、左翼が弾けた。


『なんたる力! 掠ってこれ(・・)か!!』


「完全に、出落ちぃ……っ!!」


サンラクが膝をつく様子を、金照が切っ先でなぞった(・・・・)顔の左半分と左翼が「結晶化」したジークヴルムはそれでも尚笑う。

こんなに嬉しいことはないと言わんばかりに、よくもやってくれたなと言わんばかりに。


『我が重力圏は英傑をこそ讃える! サンラクよ、狼傷の戦士よ!! 末期(まつご)に遺す言葉、この我が許そう!!』


「HPゼロで死なないのはそういうことかい、だったら………」


膝をつき、左半分を切り裂かれ損失した正眼の鳥面の下、ダメージエフェクトで埋め尽くされた目で何かを探し……そして、ゆっくりと人差し指を向ける。


その先に在るは体勢を整え空へと退避したノワルリンドと、その背に乗る秋津茜。


「───お前「達」が、主役だ……」


『見事であった!!』


サンラクの身体から漏れ出していたダメージエフェクトが消える。その身体から力が欠落し、地に顔を叩きつける直前、全身が砕け消えた。


『おぉ、人よ。開拓者よ。よくぞ輝いた、よくぞ立ち向かった! お前達はどうだ? 輝きを見せろ、立ち向かえ! 我すら超えれずして、始源の覚醒に立ち向かえるものか!!!』


動けない、魔法の無効化のみならずスキルの無効化すらしてのけた黄金の龍王に「次は自分が相手をしよう」と言える者は、この場にはいない。

勝ち目がない、というのもある。だがそれ以上に「あれ以上」を示すだけの自信がない。


『……まぁいい』


興が削がれたと言わんばかりに動けぬプレイヤー達から目を逸らしたジークヴルムは、獰猛な笑みを浮かべてノワルリンドと秋津茜を見据える。


『であるならば、主役とやらの輝き……見せてもらおうか』


顔の左半分と翼を蝕んでいた水晶が砕け散り、殆ど無傷の黄金が露わになる。

再び漆黒と黄金の戦いが再開される。
















費用対効果が釣り合わない結果になってしまったが、まぁいい。


「……よし」


聖杯使用、性別を変えて服を着て……


「ねぇそこのあなた!」


「お、俺!?」


「ほら、ちょっと前に悪名を轟かせてたアーサー・ペンシルゴンが暴れてるって聞いたんだけどぉ……場所、知ってたりしない?」


「え、あ、えと、ブロッケントリードのところ? にいるって聞いたような……」


「サンキュー!」


ぱちこーん! と鉛筆直伝のウィンクを贈りつつ、スカルアヅチから飛び出した俺はさてどうしたものかと思案する。

とりあえず一番悪目立ちするペンシルゴンは居場所を突き止めたが、オイカッツォやルストをこの大混戦の中から見つけ出すのはちと骨だぞ……


「んー………」


あ、そうか。


「発想を逆にすればいいのか」


卵だって逆立ちさせてやるってな。

となれば一番目立てそうなのは……んー、ブライレイニェゴかな。


「実質レイド戦だしな、コソコソしててもしゃーないか」


だったらいっそ、派手に暴れてやろうじゃないの。

くくく、超大規模アップデートされたニューサンラクの力、存分にな……!


っつーわけで、存分に目立つなら主役一人じゃ心もとない。


「エムル、サイナ。隠れんぼは終いだ、ここからは俺達のステージって奴さ」


ぴょこん、と俺の頭に隠れる事をやめたエムルが立ち、インベントリアでインテリジェンス爆睡していたサイナが召喚される。


「……一応聞くけど、何するつもりですわ?」


「派手に暴れて俺自身がランドマークになる」


「非常に野蛮としか言いようのない行動ですがインテリジェンスな動機に基づくため当機(ワタシ)も支持します」


それは何より、インテリジェンスにバイオレンス振るっていこうぜ。

さて、そんな事をしている内に戦闘領域に突入したみたいだな。アレが話に聞くミニ白竜……なるほど、異様に腹だけデカくて申し訳程度に生えてる角を見るとシルエットは完全に蟻だな。


「では早速、ニュー武器一号!」


イムロン対ビィラック、武器性能コンペティション出品作品が一つ……イムロン製ロングソード、その名も「勇輝の晶剣(グリッターグリット)」!!プレイヤー最高峰の鍛冶師が作っただけあって完成度は高い。


うん、完成度は高い。実際役に立たないって訳じゃないしイムロンがやりたい事をやりきったんだろうなー、というのは見れば分かる。


いやしかし、うーん……


「DXグリッターグリット、6980円で発売……みたいな……」


カラーリングか? 光沢か? いやそもそもデザインがそういうの(・・・・・)ってのはあるんだろうが、なんだこの、壮絶な「おもちゃっぽさ」は!


いや、分かる。素材がそもそも赤と碧っていう割と噛み合わないカラーだからな、どちらかをアクセントにするならともかくカラー比率半々でデザインに組み込むとどうしても……そう、なんというかクリスマスっぽい色になるのは分かる。


だがこう、デザイン! カラーリング! 光沢! なにもかもが調和してパーフェクトおもちゃなんだよこれ!



ただ、



「悪巧みできそうなのはこっちなんだよなぁ…………」


いや、ぶっちゃけよう。性能的な優劣で言えばビィラックの武器の方が優れている。

だが最近の奴は「まぁこいつなら使えるでしょ」みたいな尖った性能の武器ばかり作る傾向が見える! 極振りレベルのステータス要求して、それ以下だと自滅の可能性を持つ盾とかそれ盾としてどうなんだ!!


そう考えると「一定以下の体力(いつも通り)」「ゲージの蓄積(その内溜まる)」「MPの任意消費(これは目を瞑る)」の条件を満たすだけで扱えるこの剣の方が汎用性で遥かに勝っている。


「……っし、細かい事は気にしない方針で!」


いざ参ろうか、初手自刃!!

灼骨砕身で胴体と足の刻傷を一時的に無効化、刻傷自体の自壊までのリミットを加えれば……480秒、それが俺の「第一活動時間」だ。


「この日の為に用立てたニュー防具……」


帝晶双蠍の素材をふんだんに用いて作り上げた全身一式! 女性用帝晶双蠍装備、その名も「女帝至宝装(ツァリーツァ)シリーズ」!!


夜間であるが為にその姿を真紅一色に染めた姿は、頭がフルフェイスヘルムである事を除けばパーティーとかにいても違和感がなさそうな程に優美なものだ。

至る所がツァーベリル帝宝晶と帝晶双蠍の素材を用いているためか、宝石をドレスを纏った女性の形に削った彫刻のような全身はその輝きの美しさで女性らしさを演出しつつも、その実下手な刃を逆に折ってしまいそうな強固な護りの気配も漂わせている。


「この武器、男の時に使った方が良かったのかもしれないが……」


まぁそこはご愛嬌だ、じゃあ行こうか。この戦場のいたるところに散らばったクランメンバーに言葉ではなく行動と結果で叫ぶのだ。


俺は! ここにいる!!

この主人公、一体どこに向かおうとしているんだ……

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― 新着の感想 ―
死の恐怖!
なんで女性体になった時は防具を付けて男性体の時は半裸を貫くんですかね? もしかして無自覚に目覚めつつある?
スケェェェイス
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