龍よ、龍よ! 其の八
ただ一人の生き残りが何度も世界を救ってきたカービィというエモさで死
灯火の星というワードでシンプルに死
逆から読んで「星の火灯」という意見を見て身体が四散五裂して死
このエモさは伝えねばならないので早め更新です。あとワートリ再開めでたいっすね
『ぬぐぉあ!』
『くどいわ!』
それはさながら、素晴らしい絵画を眺めている最中に視界へ入り込んだ蝿を叩き落とすかのような雑さで。
黄金の尻尾に叩き据えられ、体勢を崩したノワルリンドであったが、落下中になんとか姿勢制御を取り戻す事で地面に叩きつけられる事は回避する。
『おのれぇ……!!』
気に食わない、全身でそう主張するノワルリンドであったが、このまま愚直に突っ込んだところで迎撃され続けることに変わりはない。
ならばどうすれば奴を虫観察などという下らない事から引き剥がすことができるのか。その答えを黒竜は既に持ち合わせていた。
ノワルリンドは再度上昇するのではなく、一旦下に降りる事で目当ての虫を見つけ出す。
『秋津茜ェ!』
「あ、ノワルリンドさん!」
『来い!』
言葉短く、しかし秋津茜はそれに異を唱えることなく応える。狐面の少女が軽い足取りでノワルリンドの背中へと飛び乗ると、黒竜の翼が魔力と風を掴んで浮かび上がる。
「みなさーん! ちょっと行ってきまーす!」
プレイヤーを色竜が乗せて飛ぶ。赤、緑、白と同じく討伐対象であり敵対存在であるはずのノワルリンドに乗って飛んでいく秋津茜に周囲のプレイヤーが呆気にとられる中、黒竜は何度目とも分からぬ相対を果たす。
『いい加減……む、貴様……』
『ふはははは! 己自ら傷を刻んだ虫には敏感なようだなジークヴルム!!』
「お久しぶりです!えーと、顔を傷物にされた借りを返しにきました!」
『ほう、ほう! 人よ、貴様ノワルリンドと手を組むか! いや、いいや、良いぞ! 面白い。ノワルリンドめ、ちと遊んでやろう!』
『ほざけ!!』
人を背に乗せた黒竜が黄金の龍王へと突撃を敢行する。それを容易く回避するジークヴルムであったが、次の瞬間には己の肩にしがみついた秋津茜へと視線を向ける。
『ぬ……成る程、その短剣……いや、奴の意思ではなかろう』
「え? はい、これは兎花【桜】です! えーと、お覚悟!!」
『天を駆け我が元へ辿り着きし人よ、貴様の輝きを見せるが良い!!』
「【刃隠心得「鎖縛帷子」】!!」
ばしん、と秋津茜がジークヴルムの肩を叩いた瞬間、黄金の全身に鎖が這うかのようなエフェクトが走る。
それはさながら鎖帷子のようではあるが、この魔法は着用者を守るのではなく縛る。
『ほう……我を縛り、撃つか。なれど貴様も共に死するぞ?』
なるほど確かに、今まさにブレスを吐かんとするノワルリンドの息吹がジークヴルムへと命中すれば秋津茜は間違いなく巻き添えで死ぬことになるだろう。そして開拓者の死をトリガーに龍法律は適用される。
しかし、狐面の忍者は何を言っているんだとけろりとした様子で一言。
「死んでも、またここまで登ってくればいいだけですから!!」
『死ねぇっ!!!』
放たれる黒い息吹、ブラックドラゴンブレスは敵を侵食し、砕く。
確実に殺すという想いを存分に込めた夜闇の中でなお黒い火炎放射がジークヴルムへと殺到する。
『ク、ククククク……クハハハハ!!』
だが、あるいは何か別の要因であったのかは分からない。少なくとも一つだけ言えるのは、黄金の龍王が誇る「神滅」の数々は何も龍法律だけでは無いのだ。
『良い! 実に良い! ならば見せようぞ!! 我が「輝ける龍王」を!!』
次の瞬間、ジークヴルムが広げた龍翼に複雑怪奇な光の模様が走る。
そして、その黄金の身体全体が光源となるかのように輝き始め……
『ぬぅぅぅうおあ!!!』
「うぇえ!?」
『何だとぉっ!?』
次の瞬間、全身をさらに輝かせたジークヴルムの体躯を縛り上げていたエフェクトが木っ端微塵に砕け散り、突き出された握り拳がノワルリンドが放った黒い火炎を一撃の元に「破砕」した。
『馬鹿なっ!!』
『我が龍体輝きし時、マナの具現その悉くが砕け散ると知れ!!』
「わ、わ、わぁ!?」
戦いとして成立した以上、その最中に呆けると言うことは「一発殴ってください」と同義である。
光輝の黄金が漆黒へと距離を詰め、ノワルリンドが動き出すよりも早く、その横っ面へとジークヴルムの拳が叩き込まれた。
『良かろう、英傑の片鱗を見せし者どもよ! ならばこの我が立ち塞がらずしてどうするか!! 我は山、我は壁、我は門……人よ、我を踏み越え未来へと進め!!』
轟、と大気をも吹き飛ばすかのような高らかな宣言に空が震える。
口の端からダメージエフェクトを漏らしながらも、すんでのところで幾度目かも分からぬ崩れた体勢を立て直したノワルリンドの背中に秋津茜が着地する。
「ノワルリンドさん! 大丈夫ですか!?」
『ぐぬぅ……我が息吹を打ち砕くなど、そんな馬鹿な……』
「さっき、ティーパック花丸? みたいな事を言ってました……きっと、あのピカーッ、て光るのに何か秘密があるんじゃないですか!?」
『小癪な……っ、ええい、振り落とされても拾わんぞ!!』
これまでの迎撃にのみ注意を割いていた状況とは違う、明確にノワルリンド達を仕留めにかかるジークヴルムの積極的な急襲に黒竜が翼をはためかせる。
『くっ……邪魔だ!!』
『おごぁ!?』
『退けい!』
『んぎぃ!?』
中途半端に飛翔していたドゥーレッドハウルがノワルリンドに弾き飛ばされ、続いてジークヴルムに叩き落とされもしたが、追われる竜の背中にしがみつく秋津茜はそれどころではない。
「さ、流石に、乗馬経験はぁあぁあぁあぁ!!?」
言うなれば、自分の筋力だけでジェットコースターにしがみついているかのような、四方八方から身体を捕まれ引っ張られているかのような遠心力の連鎖に流石の秋津茜も悲鳴を上げる。
「……あれ?」
生物的な空中ドッグファイトの最中、秋津茜はふと気がついた。
「あのお城………」
今、動いた?
「笑みリー! なんとか体裁は整えたよー!!」
「何か使えなくなったのはありますか?」
「カウンター系は天守閣が半壊した時に一緒に壊れちゃった、それ以外は念の為に作っといた予備でそれっぽく直したけど……」
「ノーガードの殴り合いって事ですね」
上等だ、と笑みリアは笑う。元より無傷の勝利は望んでいない、崩れたならまた作り直せばいい。そう、ノワルリンドの素材も使って。
「いやーしかし、家具職人と大工がこんな形で役立つとはねぇ」
「そっちはともかく、こちらは大工というより所有者が、ですけどね……」
職業「家具職人」。存在理由があまりに意味不明であるが故にフレーバーの一つとしてあまり考察の手が加わっていなかったそれは、同様の理由を持つ「大工」と共に活用する事で一つの答えを提示した。
大工系列最上位職業「大棟梁」。
家具職人系最上位職業「風水導師」。
設置系オブジェクトを作成し、様々な効果を発揮する「建設生産職」とでも言うべきこの二つのジョブと、数多のプレイヤーによって作り上げられたスカルアヅチは言うなればそこに在るだけで開拓者の悉くに加護をもたらす神秘の石像。
開拓するためではなく、開拓した「後」を守るための拠点。それ即ち城としての本来のありよう。
「敵対対象「赤竜ドゥーレッドハウル」、強化対象「全プレイヤー及びNPC」……発動効果「火炎耐性」……!」
「ひゅう! かっこいい!」
「起動せよ! スカルアヅチ!!」
莫大な量の竜骨で構築されたスカルアヅチが夜の前線拠点に輝く。
輝ける龍王
角二本を稼働させて発動する強化状態
全身から発せられる龍王のエネルギーがありとあらゆる魔法を無効化する
今五本あるので四本叩き折らない限り魔法は無効化されるぞ!
最上位職業「大棟梁」
一定以上の規模を持つ建築物を作る際の「代表者」として建築物を完成させる事で上位職業「棟梁」から就任可能。スカルアヅチ完成と同時に笑みリアは条件を満たしていた
フォー◯ナイトじみたことが出来るのは以前もどこかで説明した気がするが、その本質は「風水導師」と共に在ることで発揮される
最上位職業「風水導師」
家具職人が一定以上の評価を得た上で規定以上の建築物の内部をデザインすることで「家具職人」→「家具識者」のルートで就任可能。
「棟梁」以上のプレイヤーが作った建造物は言うなればリソースポイントをMPに見立てた巨大な魔法使いのようなものである。
そして莫大な素材リソースを持つ建築物が様々な能力を発動するための、言うなれば「発動可能な効果」を決定することが出来るのが「風水導師」である。
家具の質や配置などでいろいろ変わってくるので要するにメガマン6のナビカス
来たる災禍に備えよ開拓者、城とは侵略より守護を成す為にあり