暖簾にパンチしたら派手にカウンター食らった
設定考えてる時程のモチベーションを稼ぐのが難しく、しかし拙作において逃げられない展開なのでヒロインちゃんのためにも頑張って恋愛小説読んだりして予習したけどハードルが高い……蠍の設定考えるより時間かかったんですけど
件名:語彙力爆散
差出人:サンラク
宛先:武田インゲン
本文:風雲プレジ伝……いいっすね
件名:re:語彙力爆散
差出人:武田インゲン
宛先:サンラク
本文:いい……
それはそれとして、なるほど確かにゲームクリアしても棚に飾っておきたい出来栄えで御座ったな!
件名:re:re:語彙力爆散
差出人:サンラク
宛先:武田インゲン
本文:いや本当に、ジンバブエから送ってもらっちゃって武田氏には感謝しかないですわ
件名:re:re:re:語彙力爆散
差出人:武田インゲン
宛先:サンラク
本文:いやいや、この程度小銭に御座る。では拙者、これからオーストラリア行きの飛行機に乗るのでちと落ちるで御座るよ〜
件名:re:re:re:re:語彙力爆散
差出人:サンラク
宛先:武田インゲン
本文:武田氏! 飛行機に乗る前に落ちる発言はあまりに危険なフラグを招きかねないかと!!
「いやカッケェな本当……」
俺も言ってみたいわこういうセリフ、つーかしれっと南半球に飛んでるなこの人……クソ多忙そうなのに、一体どうやってゲームの時間を作ってるんだ……? 武田氏、やはり謎多き人よ。
さぁて、裏ボスの「女神の選士達」も撃破してトロコンしたし、これで気兼ねなくシャンフロに戻れるというものだ。GH:C? 中々評価いいじゃないらしいか、それならまた今度でいいか。
さーて、学校学校。
「え? 今週末に決戦フラグ立ったの?」
「あ……本当に、知らなかったんですね……」
「その口ぶりだと……あぁ、あいつらが言ったのか。まぁ確かに二日くらい完全にネットワークから隔離された時間を過ごしてたから」
クリア後も武田氏にメールしたり寝たりと忙しかったしな。フルダイブに深く潜っていると睡眠とゲームの関係性が変わってくる、簡潔に言えば「寝る時間すら惜しい」って奴だな。
一流のゲーマーは短時間で爆睡して瞬間的に脳細胞を回復する技能が求められる……ゲーム中は身体は休んでいても脳が稼働してるからな、あまりにも酷い脳波が計測されると二十四時間ログイン禁止処理が下されるからレッドゾーンを見極めてギリギリを攻めるのがマナーだ。
「え、つまりジークヴルム込みで色竜が全部前線拠点に?」
……いや、おかしくね? どれか一体とか、それぞれが順番に前線拠点を攻めるならまだ分かる、一斉に襲来する意味が無いだろう。
ボスラッシュだって順番に並ぶぞ、一斉にエンカウントするとか単なるクソゲーだ。いや、だがここの運営がそんなザルいストーリーを出してくるか……? 違うな、なんらかの理由があって本来の形が歪んだ、と考える方が自然か?
「蝶の羽ばたきで未来が変わるなら、なんらかの理由でルート分岐するのもあり得ないこともない、か……?」
「……えぇ、と?」
「あーいや、なんでもないよただの戯言。それよりも……ユニークモンスターに挑む前にヴァッシュに会いに行くと個別会話出るっぽいよ」
「そう、なんですか?」
思わせぶりなことばかり言うし、ワールドクエストが進むとより詳細な情報を話しそうな気配がある。
それにサンラクとサイガ-0、秋津茜……そこに至るまでの過程と今の立場はそれぞれが異なっている。
ヴァッシュの察し力はちょっと異常だ、ウィンプ関連が速攻でバレた辺り原理は分からないが実質的にこちらの行動ログが参照されてる感がある。
なにやら始源関連で何か抱えていそうなレイ氏、現在進行形で厄ネタの秋津茜、そして厄ネタ隠してるのがバレた俺……出来ることなら全員分の会話を回収したいところだが奴は今潜伏しながら前線拠点に向かってるらしいし……え、ノワルリンドって奴のログアウトログインに付き合ってんの?
「……なんか、俺の知らない間に色々進んでるな」
「他のプレイヤーも、色々と動きがあるようですし……」
そうか、じゃあ俺も決戦に備えて色々と動いた方がいいかな?
エムルが合流したことで別荘とティアプレーテン、前線拠点へは実質無制限でファストトラベルが可能だ。となればやはり重要な事はなにを持っていくか、ってところか?
「……ん、もう学校か」
「あ………その、もう着いちゃい、ましたね」
会話に花が咲いていると時間が短く感じるなぁ。
と、
「ん?」
誰かこっちに来てる? 登校の時間帯に正門から外に出る理由もないだろうし……っていうか視線がまっすぐ俺たちを見てるし。
「誰だあれ……あれ斎賀さんの知り合い?」
「え? いえ、別に知り合いという、わけではない……んですけど、けど……」
妙に歯切れが悪いな? そんな風に首を傾げていると、こちらへと歩いて来ていた男の姿がはっきり詳細に見ることができる距離にまで向こうが近づいて来ていた。
なんというか、三十人くらいに「あなたの考えるイケメン」の情報を聞いてモンタージュ写真にしたみたいな奴だな。
ゲームばっかやってると当然美形美少女のキャラクターを多く目にする機会があるわけだが……それらになんとなく似ているようでそうでないような、初対面の相手にこんなことを考えるのも失礼だが……記憶に残りづらそうなイケメンだ。
顔を思い出そうとしても他のキャラが頭に浮かんで本人の顔がぼやけるタイプだ。
「やぁ、斎賀さん」
「ど、どうも……石動、さん」
「君の姿が見えたものだから、居ても立っても居られなくてね……」
あれこれ俺無視されてる? いや、初対面だしこんなもんか、いきなりこっちに話しかけて来たら逆に怖い。
ていうか顔面偏差値高っ、斎賀さんもガチ廃人という点を加味しても人間的に上位層なスペックだがこのいす……石動? 氏も大概スペックが高い。俺よりタッパあるし身長180超えてね?
「朝一番に聞く不躾だけれど、やっぱり考えてくれる気にはならない、かな……?」
「……そのお話は、前々からお断りしている、のですが」
「じゃ、俺先行ってるんで」
「そんな! 君程の優秀な人材が……」
あ。
瞬間、斎賀さんに伸ばされた石動氏の手首を俺の手が掴んで止める。
「………あ」
「……いきなり、何をするのかな?」
「動くな、死にたくなければな」
おっといけない、大統領ロールプレイしてたせいでちょっと威圧的になってしまった。まぁいい、事態は急を要する。
俺は石動氏の手首を抑えたまま、表情固くもう一方の手をゆっくりと慎重に石動氏の首へと伸ばす。
刺激を与えないように、敵意を見せないように……しかしそこにいるべきではないと優しく退去を促すように……………
「離してくれるか……なっ!」
「あっ」
石動氏の身体が強張り、俺の手を強引に振りほどく。いきなり動いたのがダメだったのか、それとも人間には感じ取れない細かな変化を「敵意」と認識したのか……果たして、自然界においてこれ以上ないくらいデンジャーな黄色と黒のストライプな奴は攻撃モードに移行、石動氏の首筋に武力を行使した。
「痛あっ!!?」
「その、蜂がいたから………」
明らかにミツバチやクマバチのような丸っこいそれとは異なるフォルムの蜂がブンブンと飛ぶのを追い払い、振り返るとそこには顔を青ざめさせた石動氏の姿が。
「ア、アナフィラキシーショッ、ショッ……痛い!」
「蜂に刺された経験は?」
「び、病院っ! いいから電話をっ!!」
「大袈裟すぎ。いいから、蜂に刺された経験は?」
「な、無い……!」
あ、じゃあ大丈夫だろ多分。
蜂の毒って大抵二回目以降がデッドゾーンらしいし、ちらっと見えた限りじゃキングオブデンジャラスことスズメバチじゃなくてアシナガバチっぽいし。どっちもどっちではあるがポイズンカクテルよかマシだろう。
「詳しい、ですね……?」
「え? あ、うん、まぁ……色々ありまして」
一時期ね、母がね、蜂の巣集めにハマってね……実際ボウリングの球よりデカいスズメバチの巣がウチにはあるし、家族総出で酔った勢いに身を任せて庭に養蜂設備の設置を企んだ母の野望を食い止めるために戦ったのはいい思い出……ではないか。
うちの母は瞬間火力が高すぎる、我が家で一番の危険人物だ。
「一応念のため保健室に行った方がいいかな、多分明日明後日には痛み引いてるだろうけど……泣きべそかくなよ普通に歩けるだろ」
「う、うぅう……!」
よたよたと去って行った石動氏を見送りつつ、俺は既に彼の顔が思い出しづらくなっている衝撃的な事実に気づく。
「なんていうか、面白い人だったな……誰か知らんけど」
「あの人……生徒会、副会長……ですよ?」
え、マジ? 生徒会とか会長の顔すら覚えてないわ。女だったっけ?
岩巻さんがこの場にいたらガッツポーズ案件
Q.なんで断ってるの?
A.ストーカーできないじゃん
恋愛モノ書くの難しすぎる……物語上の緩急をつけようとしても作者が心の中に飼ってるハッピーエンドヤクザが拒否反応を起こす……ちゅらい……もぅマヂ無理フィル貯めよ