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シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜  作者: 硬梨菜
竜よ、龍よ! われらが駆けるは憧れの果て
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総評を胸に抱き吠えろ大統領


妥協、という言葉がある。

本来のノルマへの到達を諦め、とりあえず満足できるラインで作業を終了することを指す。実際の意味としては二者の意見が食い違った時云々という意味らしいが、何かを作る場合は理想と現実がそれに相当する。


本当は空を三次元機動で飛翔して全身からミサイルをぶっ放すロボゲーが作りたいのに縦横上下に直線にしか動けず米粒みたいなレーザー(笑)しか出せないドットゲーみたいな完成品が流通に乗ることがある。


そんなまさかと思うこともあった、だが文字通り「凸凹」挙動のロボゲーを発掘した経験がある身としてはやはりクソゲーという沼はその深淵を宇宙空間と接続しているのではと思えてならない。


では逆に、だ。仮に制作側が考える全ての要望を過不足なく詰め込んだゲームは果たして神ゲーたり得るのか。

少なくともシャンフロは成功例だろう、粗があったとしてもそれ以上の満足度を叩き出せるのならそれは名作の部類になる。

では風雲プレジ伝は? ……奴は言うなれば、素材の段階で組み合わせを間違えてしまった料理なのだ。あと調味料の分量もミスってる。






「世界ヨ……闇ニ、闇ニ沈ミ消エヨ……!!」


「あぁ、お前は滅ぼす派? その手のラスボスは五人目だ」


魔神帝キョムルス、何やら壮大な背景設定があるようだがそんなものはエンドロールを見た後に調べればいい。

こちとらまさかの性能据え置きボスラッシュ+αを乗り越えてここに立ってるんだ、合体四天王とか聞いてねーぞクソが。


今このラスダン「魔神城アヴィスーマ」の周囲では大統領たる俺が万全の状態で戦えるよう()合衆国となった大陸全ての力を結集した合衆軍が決死の足止めを行なっている。

軍勢の経験値稼ぎが上手いクエストを見つけるまで大変だった……よりにもよって隠しクエストにしやがって。





……妥協は決して諦めではない。何もかもを特盛りにしたって胃がもたれるだけなんだ、何もかもを詰め込めばそれ相応のデメリットも出てくるというもの。

風雲プレジ伝というゲームをプレイして、総評から言えば……「素材は及第点、調理法も合格点、調理器具もまぁまぁ。ただし寿司とパフェをカレーの調理法で混ぜても美味しくなるとは限らない」と言ったところか。


風雲プレジ伝は戦略ストラテジー、無双系アクション、国づくり系シミュレーション、そして若干のハクスラが一本のゲームに詰め込まれた作品だ。

プレイヤーは大統領と呼ばれる存在となって時に軍勢を指揮し、時に前線に立ち、時に諸国を相手取って交渉の席に立つ。


逆に言えば、プレイヤーは武器を振り回して敵を薙ぎ倒しながら軍勢に指示を出し、気候や周辺環境を考えながら国を広げ、善意コマンドが効くとはいえ交渉に頭を悩ませなければならない。

シャンフロは言うなれば満漢全席、選り取り見取りの料理の中から好きなものを選ぶことができる。一皿を完食する義務もなく、途中で別の皿に箸を伸ばしてもいいだろう。

だがこちらは一皿全部盛りと言うべきだろうか、少なくともカレーの中から煮えたイクラやイチゴが出てくるような料理が大衆に受けるとは考え難い。


さらに言えば難易度もこのゲームの残念さを際立たせている。

ゲームを作るにあたり、難易度の調整は永遠の課題と言っていい。初エンカウントが魔王では勝てるはずもなく、初期装備がラスダンクラスでは戦闘のカタルシスは偏ったものになる。

難易度は登り坂的に上がっていくのが基本だが、このゲームは複数の要素それぞれに難易度がある。そしてそれらは他の要素で代用できない、プレイヤー一人がどれだけ強くなっても、軍勢のレベルが低いと問答無用でゲームオーバーになってしまう。国力が低いままだと他国との同盟が結べない。だから全ての要素を高水準で要求する。

しかもストーリー中盤の帝国侵攻以前と以降で難易度が別ゲーレベルに跳ね上がるため、レベリング作業を強いられるのが単純につらい。


高い難易度と達成感は切っても切れない関係性を持つが、いきなり引き上げればいいというものではないのだ。




ただ……そう、ただ。諸々の理由からクソゲーに部類される事になったとしても、このゲームにはただ一つ評価されるべき点がある。


「大統領に不可能はない、そして大統領とはユナイテッドの盟主! バンメシ合衆国の食卓は十人十色をこそ尊ぶ、闇一色の味気ない未来なんて願い下げなんだよ!!」


それはストーリーだ、恐らくだが風雲プレジ伝という作品は、プロローグからエピローグまでのストーリー全編を大前提とした上でシステム周りが妥協無しで構築されている。

だから国家元首としての苦労で多忙であるし、人類の敵として現れたデーモンのせいで難易度が跳ね上がる。


・ユナイテッドは負けない!


・我々はお前に勝つ!


・世界はお前らには渡さない!


定型文さんもノリノリだ、物語後半で聖遺物に関わる女神の意思そのものが主人公を導いていたと発覚したので冗談抜きに「左下枠(女神様)」というキャラクターであったと発覚したりした。

ギャグ選択肢が終盤から見かけなくなったのはちと寂しいが、ここで無理に茶化されても萎えるだけだ。


そしてこれは、ラスボスに向けて言った言葉じゃない。未だ囚われ、奇跡の聖遺物「統一旗」の力を使わされている秘書ことライスちゃんにこそ向けた言葉だ。


・だから……


・だから……


・だから……


選択肢が選択肢として機能していない、だがこれは次に繋げるための下準備。奇をてらう必要はない。


「だから……」


瞬間、世界がフリーズしたかのように静止する。俺の前に一枚のウィンドウが表示され、そこに文字の羅列が紡がれていく。


・どうか呼びかけて


・貴方を信じた一番初めの国民を


・取り戻すために!



任せろ女神様。

ウィンドウを砕くように払いのけ、動き出した世界に言葉を響かせる。


「大統領の執務席はそんなところじゃないだろライスちゃん! 戻って来い!!」


「っ……はいっ!!」


串刺し焼き魚の旗が光を放つ、ライスちゃんを捕らえていた影が光に消し飛ばされ、統一旗を掴んだライスちゃんがこちらへと駆けてくる。


大統領(プレジデント)!!」


「おかえりライスちゃん。さぁーて? 魔神帝くぅん……降伏するなら今のうちだぜ?」


「オノレ、オノレェェエ……!!」


統一旗がプレイヤー陣営に戻ってきたことで、その効果が俺と俺の勢力に属する全てへと齎されていく。

大統領は国民の信じる心によって立ち上がり、国民は大統領の導きによって前へと進む。

女神の加護は今や最高潮、これまでは限定的にしか使えなかった効果すらもが解禁され、光の中から黄金の刺繍で神々しいデザインに変わった統一旗がその真なる力、バンメシ合衆国に属する全ての国民の総戦力を数値化したステータスバフ付与を発動。

光で表現された莫大な強化がプレイヤーへと付与され、身に纏う黄金のオーラが闇を祓う。


「その名も究極(ウルティメット)大統領(プレジデント)モード……大統領(オレ)は人として、魔神(お前)を討つ!!」



総評結論!!

発売直後に製作会社が倒産しなけりゃ難易度調整アップデートで最終的に名作になれたんじゃないのかこれーっ!!!


落第点のゲームバランスに頬を張られ、百点満点のストーリーに背中を押されたプレイヤーは今、ラストバトルに挑む───!!


・風雲プレジ伝の世界観

元々世界には神々が住んでいたが魔神が現れたことで最終戦争勃発、神々のほぼ全てが滅びるも最後に残った女神が魔神の封印に成功する。しかし女神の肉体は封印の代償で滅び、女神は精神だけの存在となって長い眠りにつく。


女神が目覚めた時には人類種が広く栄えており、女神もまたそれを見守っていたが魔神族が度々復活するため物理的干渉の出来ない女神は代わりに人の中から力ある者を選び魔神の封印をしてもらう事にする。

しかし個人の力では限界があり、何度目かの魔神対戦では封印には成功するものの記録が焼失し、文明そのものが後退するレベルの存在を人類が被ったこともあった。


そこで女神は自身の力のカケラたるアイテムを世界各地に落とし、魔神と戦う個人ではなく魔神と戦う人類を導く者を選び出す事にした。

これが聖遺物であり、物語開始時点での主人公である。主人公だけに見えるセリフ枠や大統領ビームの正体は心臓型の聖遺物「以心伝心」の効果によるもの。語ると長いが要するに血中に神秘的ナノマシンを流して受信機にしたり奇跡の行使に使っている。しれっと人体改造するけどいい女神なんです本当なんです


主人公(プレイヤー操作前)は物語開始直前に「自身は大統領になりたい」という夢を除く全ての記憶を代償にこの聖遺物を受け入れている。メタ的に言えば物語開始時点だから、であるが主人公にプロローグ以前の記憶がないのはこのため。





まぁ要するにこのゲームの何がクソかと言えば「ひたすら面倒な作業を義務化させたこと」「難易度設定ガバガバ」だからで、知る人ぞ知る名作扱いなのは「ストーリーだけは百点満点のため」ってことです


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― 新着の感想 ―
新 ヒ ロ イ ン 誕 生 ! ! いや普通にライスちゃんのくだり泣きましたね!
後書きのプレジ伝について、誤字っぽいのがありました。 レベルの存在を →レベルの被害を
[一言] なるほど…風雲プレジ伝は「スクウェアにとってのファイナルファンタジー」になり得なかったゲームなんやなぁ… ストーリーは普通に面白そうだからやってみたいなぁ。 ラスボス戦は「ブレワイやティアキ…
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