「ブルル、ルルルドー」
「どれどれ……う~ん美化しすぎですよ、幾らチリさんが美人さんだからといって誇張し過ぎは逆にモデルさんへの失礼に当たります。モデルさんにこうしないと魅力がないよ、というような物なんですよ?」
「ブル!?ブルゥ……ドーブル!!」
「はい、ではもう一回ですね。すいませんもう少しお願いします」
「座ってるだけやから気長でええよ」
ラビの本職はイラストレーター、そうなったのもこのパルデア地方で偶然自分の絵を見た人が大きな評価をしてくれたから。その人物こそが恩人であるボウルタウンのジムリーダー兼芸術家であるコルサだった。コルサの勧めもあって現在は各地の旅を終えてからは各地で撮った写真など絵にしたり会社の広告用ポスターなどに活かしている。
「ブルル!!」
「うんいい感じですね、チリさんご覧になってください」
「どれどれ……おおっ随分美人さんに描いてくれたな~」
今回オモダカからの依頼はポケモンリーグの宣伝で使うイラストの制作であり、それには四天王が駆り出されることになったらしくラビは彼らの絵を描く事になった。そして今は仕事の仲間であるドーブルと共に四天王のチリのイラストを描いていた。
「此方のボールを構えた際のバージョンと座りながらドオーさんを見て微笑む2パターンにしてみました。座ってる方はドオーさんを勝手にメープルさんが加えてしまったのでご要望とは違う事になってしまいましたが」
「いやいやいや、チリちゃんの相棒を可愛く描いてくれはった。ドオーの所だけ切り抜いて待ち受けにしてもええかも」
と言っても4人別々のイラストを描かなければいけないので如何せん時間がかかる、なので長めに期間を貰ってじっくりとやる事を許可をオモダカに貰おうとしたのだが
『ゆっくりで問題ありません、コルサからも絵を急ぐのは無粋だと言われてますので』
コルサもフォローはしてくれていたのか……と素直に感謝を述べるのだが妙にオモダカからの視線が鋭いのが気になる。これは仕事を通じて何かを考えているのでは……と思いを馳せていると少女が此方を見てきた。
「次はポピーちゃんを描いてほしいのです!!」
「そうですね、ハッサクさんとアオキさんさえ宜しければそうしますが」
二人から了解を取ろうとするのだが、何故かアオキの姿はすでになかった。オモダカから自分は最終日に描くと指定されていたらしいのでなら自分は顔合わせはしたからもういいだろうから何処かに行ったとの事。
「はぁ……何やっとるんや……なんか悪いな、あいそ悪くて堪忍な」
「小生からもお詫びを……アオキは特に難しいと思いますが後回しにするような……」
「いえいえ大丈夫です、素直な事を言えばアオキさんはもうご本人居なくても描けますし題材も決めてます」
「なんやて!?」
四天王の共通認識として一番描きづらいのがアオキだったらしい、本人がそこまで乗り気ではないだろう上にそこまで協力的ではないというのが理由だったのだが……どんな絵にするかは既に決めている。と言っても某グルメ作品リスペクトだが。
「コルさんが貴方の事をよく言っておりましたが、その腕前に偽りなしですな。彼が芸術美術関連で嘘など言わないのは知っておりますが……ラビさん、小生アカデミーでは美術を担当しておりますがその時に生徒達へ絵を教えてみませんか?」
「それはそれで楽しそうですね、考えておきます」
「おおっ良い返事を期待しておりますぞ!!」
と楽しげに話しているが、チリは既にいかないんだろうなぁ……という事を察している。
「お兄さんは配信をしてますよね?」
「おや、バレてましたか。ええ、週間エンジョイポケモン放送局をしております」
「ポピーのポケモンちゃんはみーんなカッチカチなのです、だからそんなポケモンちゃんを紹介してほしいです!!」
「こらこら無理言っちゃあかんで」
カチカチなポケモン、ポピーは少女ながら四天王の一角を務める程のトレーナー。そして彼女が使うのは鋼タイプ。そうなると絞る事は出来るのだが……
「そう、ですねそうしましょう。それじゃあ折角ですから次回はポピーさんとハッサクさんに関連という程でもないですけど繋がりがあるポケモンにしますね」
「わ~い楽しみです!!」
「ムムムッ小生にもですか、一体何のポケモンでしょうか……?」
「お~いチリちゃんを一人仲間はずれにせんといて~」
「分かってますよ、それでは次の機会にもチリさんとポピーさん、という事で如何でしょう」
「せやったらよし、一瞬アオキさんと一緒にされるかと思うたから安心したわ」
まあ地面ノーマルもいるにはいるのだが……あれはあれでどえらくガチなポケモンでもある、いうなればマリルリ的なポケモンだ。ポピーとチリの場合は鋼と地面なので紹介ポケモンは割といる、というか何だったら関連させるだけなら他にもいる。
「それでは本日はこれで失礼致します」
「気い付けて帰りや~」
チリに見送られて帰宅の途に就く事になった、コルサからの紹介だったから受けてしまったが思った以上に大変な仕事だ。ポケモンリーグの威厳やらにも関係するので全く手を抜く事が出来ない。ドーブルのメープルも気合を入れていた為かボールの中でグッスリだ、自分も家に帰ったらすぐに寝る事にしよう……と思ったらスマホロトムが飛び出してきた。
『ロトトトトトッ!!!コルさんから着信ロト!!』
「繋いでくれ、もしもしラビです」
『私だ、今日の仕事は如何だった?』
「正直疲れました……コルさんの紹介だから受けましたが、正直行きたくないです。オモダカさんからの視線が妙に痛いです』
『うむ。如何やら貴様はトップに目を付けられたらしいな』
やっぱりそうなのか……と思わず肩を落とす。という事はゆっくりやってくれというのも勧誘のチャンスを増やす為の策略……これは思った以上に大変な仕事になる。
『私としては貴様がジムリーダーになってもやっていけると確信している、いざそうなったとしても全力で支援する事は保証しよう』
「そう言って頂けるのは嬉しいんですけど、私はそんな器じゃありませんよ。唯の趣味人です」
『トップには私からも言っておく、貴様は身体を休めておけ』
そんな労いの言葉をかけてコルサは通話を切った。これからも勧誘が続くとなると少し気が重いが……まあ配信のネタも取れたしそこは良しとしよう。
「まあ、何とかするか……」