「……バカみたいに伸びてる……」
ナンジャモとのコラボ配信から数日が経って自分のチャンネルを確認してみるとそこには登録者数が爆伸び、シビルドン登りしている光景があった。4000程度だったのがたった数日で3万にまで膨れ上がっているのである。これが人気配信者の力か……と思う一方で一体この数字が何処まで維持されるのかという思考もある。
「まあ兎も角、俺は俺のペースで配信をするだけさ」
そう思って今日も今日とて配信の準備をする。
「は~い皆さん今日もポケモン育ててますか?まだまだな貴方もこれからの貴方も、此処をきっかけに一歩踏み出して行きましょう。ナビゲーターは私、エンジョイポケモン放送局のラビがお送りします」
| ・待ってたぜ~ ・ナンジャモのチャンネルから来ました!! ・初見です!! ・初見です!! ・ナンジャモとのバトルで感激しました!! ・ライチュウ可愛かった!! ・コメントがスゲェ勢いで伸びてる!? |
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「初見さんいらっしゃいゆっくりして行ってくださいね、流石ナンジャモさんの影響力はすさまじいですね……」
| ・いやいやいやいや、ナンジャモに勝っといて何言ってんだよ ・結局ランターン、イルカマンとママンボウで結局ランターンしか瀕死になってないじゃん。 ・普通にラビ氏のバトルセンスがエグい。 ・というか電気タイプジムリーダーに水タイプで勝つて ・貯水ドオーとモトトカゲ薦めたとは思えんパーティだったな。 |
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「あの選出はコラボのお話を頂いた時にバトルも可能であればするという事だったので用意しました。私は兎に角ナンジャモさんに有利なポケモンをお勧めしましたが、やり方次第では相性が悪いポケモンでも戦えるという事の証明にもなったでしょう?」
前回は対ナンジャモのポケモンにしたので今回は真逆。例え水タイプのポケモンでも電気タイプに勝てるという証明をした。トレーナーなら好きなポケモンで勝てるように努力する、好きな言葉の筆頭である。
「さて本日の取り上げるポケモンは此方、ママンボウさんです」
「マ~ボゥ」
| ・お~ママンボウ ・この前の配信でも大活躍してた奴がいきなりか。 ・イルカマンが10万ボルトで大ダメージ受けてたのサポートしてたな。 ・綺麗で好き。 ・そういう意味でも人気。 |
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「はい、ママンボウさんの強さは前回のナンジャモさんとのバトルでも分かってくれたかもしれませんが此処ではもうちょっと踏み込んだ紹介をしようと思います。ママンボウさんの凄さはその体力お化けな所。私個人の調べですが、体力という一点においては他に比類ないといっても言い過ぎでない程のタフネスさです。残念ながら防御面はそこまで高いとは言えませんが、ママンボウさんだからこそできるコンボもあるのです」
| ・それがあのコンボか。 ・イルカマンがほぼ全回復してたもんな。 ・でも結局あれってどういう仕組みなん? ・実用的ではあるっぽいけど |
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「はい、あの時イルカマンさんをサポートしたのは願い事とクイックターンという技にあります。願い事というのは発動してから少ししたらフィールドに出ているポケモンの体力を回復させることが出来るんです。しかも回復するのは願い事を使ったポケモンに依存する形になるのでママンボウさんが使うと凄い回復量を得られます」
| ・えっマジで?願い事で場に出てるポケモンの体力に比例すんの!? ・知らんかった……。 ・って事は、体力自慢のママンボウが使うと大回復技に変わるのか…… ・そこからクイックターンを使うのか!? |
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「はい、そしてクイックターンは相手に攻撃した後に即座にポケモンはボールへと戻るので即座に交代を行う事が出来ます。この二つの技を併用する事でイルカマンさんの体力を回復させたんです。更にイルカマンさんは一度フィールドに出てから一度引っ込め、もう一度繰り出す事でマイティフォルムへとフォルムチェンジして真価を発揮します。イルカマンさんの戦術は速攻に弱いともされますが、これによってある程度カバーする事が出来ます。更に」
| ・まだあんの!? ・イルカマンの特性発揮と体力回復でフルパワーイルカマンで終わりじゃねえの!? ・まだあるの!? |
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「ママンボウさんには再生力という特性があります、これは交代した時に体力が回復するという物です。流石に回復量は願い事程ではありませんがこれでママンボウさんは自力で回復する手段を備えているというのはかなりの強みなんです」
| ・つっよっ ・なにその反則みてぇなコンボ ・という事は自己再生を持ってないポケモンでも回復できる ・そのママンボウも何だったら願い事で自分の体力で回復できる ・確かにこのコンボはナンジャモも負けるわ。 |
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「イルカマンさんに限らなくてもブレイブバードやフレアドライブ、捨て身タックルといった反動技とされる自分もダメージを受けてしまう技を主力に据えているポケモンの補助にもママンボウさんは活躍する事が出来ます。体力が元々低いポケモンならママンボウさん一人で完全回復させてしまう事も可能ですのでこの辺りのコンボはご自分で見つけてみて下さい」
敢えて此処ではこの願い事の最大の悪用法、無限頑丈編は言及しないでおく。此処ではポケモンが一撃でやられるなんて事はそれこそレベル差があり過ぎる事位しかないので頑丈のタスキ効果は余り生きていないのもある。専ら一撃必殺対策と言ってもいい。
そして配信を終えると夕食に良い時間帯になって来ていた、そういえばお腹も減ってきた……折角だから今日は外食にしようと思ってとある食堂へと赴いて辛子むすびとゴーヤチャンプルを注文すると隣にとある人が座った。
「お隣失礼します」
「いえ、お気になさらず」
その人と特段会話をする事もなく、唯々自分の食事に互いに集中した。そして食べ終えると同じタイミングで食堂から出た。
「……上司がお話ししたい、と言っていました」
「ご連絡をいただければ調整はします、そのお話の答えがYESかNOかは分かりませんが」
「分かりました」
短い言葉のやり取りを終えて帰路についた。そんな背中を見送った男は少しだけ残念そうな声を出した。
「……残業、ですかね」