知り合いはさいつよ決闘代理人   作:秘境と聖杯ダンジョン

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クロリンデさんのssが少ないから書いた。


本編
知り合いはさいつよ決闘代理人


フォンテーヌ邸は毎日賑やかだ。人々の暮らしの音。子供たちのはしゃぐ声。果物屋さんのセールス。マシナリーの駆動音。その中で一際街中に響く声。

 

「もう(あったま)きた!裁判だ裁判!訴えてやるからなテメェ!」

「あぁ!?上等だボケ!」

 

本当、賑やかだよね。

些細なトラブルで喧嘩して、すぐ裁判だなんだと、いちいち駆り出される警察隊員や共律官さんが可哀想に思える。

聞けば彼らは権利関係で揉めているようで、どちらが土地の権利を持っているだとか、契約が違うとか、そういう感じで揉めているらしい。

そうこうしているうちにほら、言い争いをしている二人の間に割って入る共律官さん。ほんと、ご苦労さまです。

仲裁が入ったにも関わらず、喧嘩する二人はどんどんヒートアップ。自分が正しいそっちが悪いと互いに大声で主張しあい、また周りはそれを娯楽として楽しんでいる。

そしてそれに挟まれている共律官さんもいい加減匙を投げ、二人に向かってこう言うのだ。

 

「はぁ……いいでしょう。告訴するのは誰もに与えられた権利。止めはしません。どうぞお好きにしてください。最高審判官に審判して貰えば、どちらの言い分が正しいかは明らかになるでしょう。そして、もしその審判に不服があるならば、代理決闘するのも良いでしょう。ただ──ここ最近の代理決闘はクロリンデさんが務めていることをお忘れなく」

 

ピタリ、と。言い争う声が止まる。さっきまで裁判だなんだ言ってた二人の顔は引き攣ってはいるものの笑顔を浮かべ、肩を組み、先程までのことを謝罪しあっていた。

 

そんな様子を、向かいのカフェ・リュテスでモーニングを楽しみながら傍聴していた僕は、相席していた女性に話題を振った。

 

「流石のネームバリューですね、処刑人さん」

「君までそういう風に言うのはやめてくれ」

 

持参のマイカップでコーヒーを飲んでいるのは、先ほど共律官さんが名前を出したクロリンデさん。彼もまさか当のクロリンデさんがすぐ向かいのカフェにいるとは思わなかっただろう。

 

「関係ない者ならともかく、君にそう言われると……なんと言えばいいだろうか……悲しい」

「これは失礼、クロリンデさん。マドレーヌでも?」

「ではいただこう」

 

通常四つのところ、常連特典で五つ貰ったマドレーヌを一つクロリンデさんにあげた。

なぜ一般人である僕と決闘代理人であるクロリンデさんがモーニングで同席しているのかというと、偶然同じタイミングで店に入ったからというだけで特に理由は無い。知り合いだし、相席を拒む理由もなかったからご相伴に預かっただけだよ。

 

「ん、美味しかった。では、私は仕事があるので失礼する」

「あ、はい。お気をつけて」

「ああ。君もほどほどにな」

「わかってます」

 

そう言って、クロリンデさんはパレ・メルモニアの方へ向かって歩いていった。程なくしてウェイターが空になった食器を下げる。残ったのは僕とコーヒーのみ。飲み終えたら僕も向かうとしよう。

 

店主さんに軽く挨拶して、フォンテーヌ邸を出た僕は北へ向かい草原の散策をはじめた。

僕は職業無しのフリーター。根無し草と言ってもいい。神の目も草元素だしね。

出身はスメールだけど、村での生活は何となく性にあわなかったんだ。狩りは好きだったんだけど、レンジャー活動とかはちょっとね。

神の目を貰ったのとほぼ同時に旅に出て、璃月モンドと回って、璃月経由でフォンテーヌ入りした。だって面倒でしょ、砂漠越え。

当時の稲妻は鎖国してたし、ナタはなんか戦争とかやってるってんで遠慮した結果フォンテーヌを選んだって感じで。

何となく居心地がいいから結構気に入ってるんだ。

仕事なら冒険者やればいいってよく言われるんだけど、冒険者一本でやるのはちょっと違うなって。偶に依頼受けたりはするけど、積極的にはしない。

イノシシとか野鳥とかを狩って日銭を稼げればそれで良し。

今日の結果は上々。イノシシの眉間に刺さった矢を抜いて軽く処理。僕が直ぐに頂く訳じゃないから、あとはお店の方々におまかせでいいかな。

そういえばクロリンデさんと知り合ったのも趣味の狩りの最中だったね。

彼女は狩った直後の新鮮な肉料理が好みらしい。人は見かけに寄らないものだ。

 

フォンテーヌは水の国と言うだけあって、海が広い。少し前に予言のあれこれで海面上昇とかあったけど、そこは割愛で。

海は広いが、それだけという訳じゃない。陸地だって素晴らしい。鬱蒼とした木々はほとんど無く、開けていて見通しがいい。標高の高い山もあるけど、璃月ほどではないし。

だから弓矢での狩りが楽で助かるね。

 

べ、別にアビディアの森の中でもアパーム叢林でもできるんだからね!

 

それに、フォンテーヌの科学技術の産物は凄いよね。そこら中を闊歩しているマシナリーとか、特巡隊の銃とか、他の国よりも進んだ技術がある。僕の弓の製作者でもある、からくり仕掛けの好きなあの仙人はこの国の技術を気に入りつつも対抗心を燃やしている。

 

「「「相手を間違えたな!」」」

 

そんな進んだ技術があるからか知らないけど、この土地にはこういう手合いが多い。璃月ほどじゃないにせよ、ここも多い。イヤになっちゃうよね。僕が金品を持ち歩いているとでも思っているのだろうか。思えば璃月でもよく絡まれたなぁ。

 

「相手の得物は弓だ、囲んで近づいちまえば怖くねぇ!」

「行くぞ野郎ども!」

 

そう思うのも仕方ない。僕の得物は金属製の大振りな弓。いくら元素力があると言っても、弓使いだもの、近接戦闘は辛い。

 

まぁ、それはこの弓が普通の弓だったらの話でしょ。

 

背負っていたイノシシを地面に置いて、と。

左手で持つ弓を右手に持ち替えながら、仕掛けを起動させる。素早くスナップを効かせると、遠心力により弓は片手用の曲剣へと転ずる。

これが僕の武器。仕掛け武器、弓剣。職人閑雲の傑作の一つ。

僕は弓矢で戦うことが苦手でね。これを使う前までは、狩りをする時は弓矢、ヒルチャールやスライムなんかと接敵してしまった時は片手剣に持ち替えて戦っていた。

狩りならともかく、攻撃してくる敵と戦いながら矢を番えて狙い撃つなんて、難しいだろ?ガンダルヴァー村のレンジャー長とか凄いよね。同じ草元素の弓使いとして尊敬しかない。あの人個人的には苦手だけど。

ただそうすると、荷物がね。持ち替えの手間もあったし、結局危険な目に遭うこともあったよ。

そしてふとある時、弓と剣の機能を同じ武器に組み込んでしまえばいいんじゃないかと思い至ったんだ。

 

元素力で武器を構成すればいいだろって?そんな難しいことできる訳ないだろ。

 

まぁ、そんなこんなで自分だけの武器作りに着手したはいいんだけど、思いの外難航してね。弦の強度とか構造とか、何をしても上手くいかなかったんだ。

そうやってあーでもないこーでもないと悩んでた時、璃月のある人から紹介してもらったのが閑雲先生。あの方のお陰でようやく僕の理想が形になった。それがこの弓剣という訳さ。

 

「お、覚えてろよー!」

「君たちもねー」

 

宝盗団御一行をボコボコにすると、ありきたりな捨て台詞を吐いて逃げていく。君たちも僕にボコボコにされたことを覚えて帰ってね。

まったく。獲物の鮮度が落ちちゃうよ。

 

フォンテーヌ邸に戻ってきた僕は狩ってきたイノシシをお店に売り、対価を貰って帰宅したよ。

 

 


 

 

「聞いたよ。昨日仕事の途中で宝盗団と戦闘したらしいな」

「仕事じゃないよ。誰から?」

 

仕事じゃなくて、あくまで趣味を換金してるだけね。

フォンテーヌ邸から離れて、フォンテーヌ釣り協会理事のデラロッシュさんの隣でのんびり釣りに勤しんでいた僕の元に現れたのは知り合いのクロリンデさん。

フォンテーヌでも有数の有名人であるクロリンデさんが現れたが、デラロッシュさんは釣りに夢中で気がついていないらしい。

 

「店主から」

「口が軽いよねまったく」

 

今度お肉を持っていく時は割高にしてあげようかな。

 

「昼過ぎのこの時間に会うのは珍しいですね、クロリンデさん」

「今日はオフだったんだ」

「そうだったんですか」

「やる事が無く、街を散歩している時に聞いたんだ。それから君を探していた」

「おや、それはすみません」

 

今日は早朝からここに居たから、もしかしたら結構長いこと探し回っていたのかも。だとしたら申し訳ない。

 

「気にしなくていい。成果はどうだ?」

「それはどーも。ボウズです」

 

まったく釣れない。隣のバケツは虚しく、水面が風に揺れるのみ。

 

「そうか」

「はい。もういい時間になってきたんで、そろそろ帰ろうかなって思ってたとこです」

「この後、予定はあるか?」

「いえ、ありませんけど」

「なら少し着いて来てほしい。通りがかりに小耳に挟んだんだが、この付近に濁水幻霊が多数出現しているらしい。人が襲われる前に駆除しておきたい」

「それくらいなら全然、構わないですよ」

 

釣具をしまい、クロリンデさんに着いて行く。十数分歩くと、水辺に濁水幻霊が六匹ほど集まっている現場が見えた。

 

「じゃあいつも通り、僕が援護しますんで」

「ああ、頼むよ」

 

弓に草元素を溜めた矢を番え、濁水幻霊の群れのど真ん中に穿つ。

それと同時に、クロリンデさんがレイピアと銃を構え、電光石火の速度で群れへ突撃した。

 

結果から言えば、濁水幻霊の群れは一瞬で片付いた。というか、ぶっちゃけ僕だけでもクロリンデさんだけでも楽勝だったんじゃないかな。水元素生物の濁水幻霊に、草元素使いの僕と雷元素使いのクロリンデさん。相性が良すぎるよね。

 

「お疲れ様でーす」

「ああ、お疲れ様。君が一緒だと手早く終わって助かるよ」

「草元素の付着ならおまかせを、ってね」

「私と一緒に働くつもりはないか?」

「いや、決闘代理人ってペアで動くような仕事じゃないでしょ」

「ふふ、冗談だ。では帰ろうか」

「そうですね」

 

飛び散った濁水幻霊の水を瓶に回収して、冒険者協会に換金して貰ってから帰宅したよ。

 

何故か僕の家まで着いてきたクロリンデさんは夜ご飯をご馳走してから家に帰したよ。




主人公:周りからは基本「あ、クロリンデの」「あぁクロリンデさんの」みたいな感じで呼ばれてる。

クロリンデさん:ひょんな事で主人公と知り合った人。上の人の作る狩りたての獣肉を使った料理が美味しかった。

閑雲先生:留雲借風真君。なんか変な凡人が意味わからん機構の武器作ろうとしてて面白。妾に見せてみ?


弓剣:Bloodborneよりシモンの弓剣。これ以外のBloodborne要素はあまり無い。
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