大阪・関西万博で連日、にぎわいが報じられる中、海外パビリオンの建設に関わった業者への費用未払いは依然として先行きが見通せない。9月30日には当事者らが政府に改めて窮状を訴えた。閉幕後に予定される解体についても懸念が高まっている。期間は残り2週間。強調される「成功」の陰にあるものは。(森本智之、福岡範行)
◆マルタ館を施工、未払い額は1億2000万円
「開幕当初から未払い問題を訴えてきたが、解決しないまま、万博が終わろうとしている」。30日に衆議院第2議員会館で開かれた未払い問題の院内集会。マルタ館を施工した京都市の建設業の男性が訴えた。元請けの外資系企業から1億2000万円をいまだに支払ってもらっていないという。
アメリカ館の下請けに入った千葉県の内装業の男性も「テレビで来場者のたくさんの笑顔を見て、携われたことはうれしかった。ただ未払いで苦しんでいる多くの仲間がいる。万博の成功は未払いが解決してこそだと思います」と苦しい胸の内を吐露した。
◆吉村洋文知事は「民民の問題」と取り合わず
未払い問題をめぐっては複数の下請け業者らが5月、「被害者の会」を設立。資金繰りが綱渡りの状況が続き「連鎖倒産の可能性がある」として、府や日本国際博覧会協会(万博協会)に未払い金の一時的な立て替えなど救済を求めた。
ただ、万博協会副会長を務める大阪府の吉村洋文知事は問題発覚後の会見で「民民で処理されるべき問題」として応じず、その後、府は国や万博協会と連携して相談体制を強化すると発表したが、いまも立て替え払いは拒んでいる。
その一方で被害は広がっている。被害者の会発足時には6カ国のパビリオンの業者が参加したが、万博協会の9月の発表によると、協会や国に未払いを相談したのは11カ国のパビリオンの業者に上った。院内集会に出席した被害業者によると、契約には守秘義務を課せられ被害を口外できないケースもあり、実際の被害はもっと多い可能性があるという。
◆恩を仇で返されている
公的機関が救済に乗り出さない中、一部の業者は元請けなどを相手に訴訟に踏み出している。冒頭のマルタ館の業者もそうだ。一方で、ルーマニア館では、元請け企業の方が下請けに対し、工事の未払いがないことを求めて提訴していることが9月に明らかになるなど現場は混乱している。
そもそも未払い被害に遭った中小企業の多くは、吉村氏らの要請で工事に参加したという。開幕まで2年を切った2023年夏、万博の華といわれる海外パビリオンの工事が遅れていたことが懸案となり、大阪府や大阪市は中小の建設・設備業者にも協力を要請した。集会で、この問題を追うジャーナリストの西谷文和氏は「木造リング内側の外国パビリオンはゼネコンが受けず、吉村知事らが中小業者を回って頼んだ。恩を仇(あだ)で返されている」と批判した。
◆国に立て替え払いを頼んでも断られ
集会前、被害者らは経済産業省や国土交通省の担当者と面会し、国による立て替え払いを要請したが断られたという。「こちら特報部」の取材に、経産省の菅野将史・2025年国際博覧会協会国際室長は「国は契約当事者ではなく、企業同士の契約の話に介入する立場にはない」と話した。
集会の最後にマルタ館の工事を請け負った男性はこう話した。「私は今年一回も笑ったことがない。楽しい、うれしいと思ったことありません。なんとか最低限のお金を貸していただきたい。無理ならどうやって乗り越えていけばいいのか。教えてください」
◆「やって良かった」黒字見通しアピール
課題含みの万博だが、会場はにぎわい、一般来場者数は累計2200万人を突破した。吉村氏は9月28日、Xで「万博赤字になったら、どう責任とるんだ、お前が払え、さんざん詰められたよ」と振り返り、「やって良かった」と...
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