某地方自治体から給食事業の問い合わせを受けた。内容は、とある施設の給食業務に参加しませんか?入札方式はプロポーザルです、というものだった。ちょっと調べてみたら内容が大ありだった。被害をこうむっているわけではないので、本文で固有名詞は謳わない。ただ、そういうやり方をしていると、良い方向には動かないよ、とだけは言っておきたい。
今件はこの夏にプロポーザル方式で業者選定を行っている。内容は、地方自治体が運営している施設の食事提供業務だ。これまでは運営母体の地方自治体が直接、食事提供業務、いわゆる給食を運営していた。もろもろの問題(これがネックになる)により施設自体の運営を地方自治体から独立行政法人に移行する計画で、それにあわせて給食も委託化に動いたのだ。夏の段階のプロポーザルには参加しなかった。既存事業で人員不足となっていて、余力がなかったのだ。検討もせず、話はそれきりで終わっていた。同業他社がやるだろうと思っていた。
ところが今月の頭にふたたび地方自治体の方から問い合わせがあった。前回(夏)の業者選定は、参加業者がゼロで成立しなかったと担当者は教えてくれた。「なんとか参加の方向性で検討をお願いします」といわれ、提供された施設の概要と資料を確認したら、準備期間が短いという問題はあるけれども、採算は十分に見込め、現スタッフの移籍さえ可能なら人員もなんとかなるからだ。
公的な施設で直接、国や自治体が給食を運営しているケースでは、民間では信じられない工程と予算をかけていることがある。そのほとんどが、給食の規模に見合わない労務体制の設定だ。僕の知っている案件では、民間なら正社員3人とパートスタッフで回せる現場を、正社員10名+パート数名を抱えているものもあった。それで「食堂運営コストを削らなけれなならない」と担当者が言い出すのだからどうにもならない。おそらく、民間とちがってシビアなコスト意識が欠落している。それと民間がどう運営しているのか研究不足なのだ。今回の話にもどすと、施設は正社員8〜9名+パートスタッフをかかえていた。せいぜい正社員3〜4名で回せる規模なので、予算的には余裕で運営できる。利益も見込める。
担当者は「いまのところ手をあげてくれる業者さんはいません」と訴えてきた。不思議だ。ヒトとカネに問題がないのなら、業者は手をあげるものだ。いやな予感がして、ネットで検索したら施設の運営自体に問題があり、自治体の改善のための介入もうまくいっていない。むしろ悪化させている。これでは手をあげられない。検索結果を見てくれ→検索結果 - Yahoo!検索 施設利用者への職員の虐待が頻発、施設利用者への脅迫、地方自治体が改善のために送り込んだアドバイザーによる施設職員へのパワハラ、つい先日も個別支援計画作成で不適切対応、また施設を出た利用者が家族に〇〇されるという事件まで起きているなどなど問題のオンパレードである。
なお、当たり前だが、給食の仕様書には委託化の要件しか記されていない。施設の状況についての説明はゼロ。わざわざ大炎上しているところに乗り込む業者などいるはずがなく、どの業者も適当な言い訳を見つけて参加を見送っているというのが実態だろう。当社も不参加を決めた。担当者から理由を求められたので、そもそも公募に対して応募しないという判断をくだしただけなので、理由を求められる筋合いはないのだけれども、「採算は取れるけど、条件が悪い」と回答した。条件とは施設自体の状況を意味している。担当者はよーく知っているはずだ。つかそういう大事なことを隠すなよ。わざわざ大炎上している施設を受託して大事な社員を危険な目に遭わせられますか、環境を整備してからプロポーザルを実施しましょうね、という意味である。給食事業はローリスクなのが唯一の長所だ。相当アホなことをやらない限り潰れない。そのかわりローリターンだけれどね。今回の施設はハイリスクすぎて給食事業の良さを打ち消している。やる意味がないのだ。
さらに驚いたのは不参加を表明した翌々日に担当者から連絡があって、仕様書に記載されている年間の事業予算を、年ベースで、具体的な数字はいえないけれども一千万以上上げられそうです、と金額の問題に落とし込んでいたこと。だから金の問題じゃないと言っているのに。問題の根本が分かっていない。給食事業でさえこの認識だから、施設全体の運営はより酷いことになっているだろう。報道を見るかぎりでは改善策もパワハラで終わっている。改善への道が見えない。ローリスクを愛する給食会社がわざわざそんな火中の栗型超強力爆弾を拾うわけがないのだ。(所要時間24分)