遠坂八重「死んだら永遠に休めます」総務の仕事ってほんと、大変そう・・・
企業の総務経理統括本部が舞台のミステリ小説。
職場には4S「整理・整頓・清掃・清潔の日」があって、週に一度は始業の30分前に来て職場の清掃をしなければならないという「ザ・昭和」な職場。働いているのはみんなちょっとドヨンとしたダメっぽい社員ばかり。唯一元気なのはちょっとギャルが入ったこれまたダメっぽい派遣の女性社員のみ。しかも上司が典型的な昭和のパワハラ野郎とくれば、最低の職場ということがわかる。
総務には会社の各所から問い合わせや、作業の催促などの電話、メール、チャットが次々と入ってくる。ちょっと離席するとパソコンのモニターには「至急処理を願う」系のいっぱいの付箋が貼られている。このセクション、よく言えば「会社のお母さん」つまりは「会社の何でも屋」「雑用係」であるということだ。
かつてのテレビドラマに「ショムニ」があったが、そんな格好いいはずもなく、ただ毎日に追われる大変な、しかし報われない仕事だ。
そんなある日、クソ上司から「失踪します」とのメールが送られてくる。「ダメ部下の指導に疲れた」から失踪するという。
だが、上司がいなくなっても会社は回っていく。むしろ快適なほどいい感じで仕事が捗っていく。まあ会社なんてそんなものだ。「自分がいないと会社が回らない」と思っている人も多いが、いなければいないなりに会社は回っていく。その人がいないと回らないような「属人性」の高い会社はきちんとした組織体ではないからだ。
そして次いで「私は殺されました。部下の誰かに」というメールが送られてくる。そして謎解きが始まる。
会社勤めしている作者ならではの「会社描写」がいい。会社というのは2:6:2の法則で、2割の優秀な人がいれば、2割のダメな人がいる。でもダメな人がいないと会社は回らない。ダメな2割を取り除いても、新たなダメな2割が生まれてまた同じ割合に戻っていく。そんなものだ。
派遣社員が優れているというのも良くあること。わざわざ派遣という勤務業態を選ぶ人もいる。そんな人に限って優秀だったりする。ドラマの「ハケンの品格」でもお馴染みの光景だ。実際に会社にはこんなこともあったりする。
作者は万城目学で知られるボイルドエックズ新人賞出身。目利きの村上達朗に見出された作家なので、どこかで大化けする可能性もありそう。
<2025年2月中旬発売予定>


コメント