通行人の眼鏡を奪いとったのは「器物損壊」? 被告の主張に裁判所は

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森下裕介
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 電動バイクで近づき、追い抜きざまに相手の眼鏡を奪い去る。そんな行為をした被告の男が、窃盗罪で起訴された。被告は裁判で行為を認めたが、「窃盗罪ではなく器物損壊罪だ」と主張した。どういうことか。裁判所が下した判断は。

 被告の起訴内容は2024年11月、東京都中野区の路上で、自転車に乗っていた男性の後ろから電動バイクで近づき、男性がかけていた眼鏡(時価2万円相当)をひったくったというものだった。

「盗む意思はなかった」 自宅には51本の眼鏡

 被告側は裁判で、事実関係を認めたものの「眼鏡を盗む意思はなかった。成立するのは窃盗罪ではなく、器物損壊罪だ」と主張した。

 刑法は窃盗罪について、最大「10年以下」の拘禁刑などと定める。一方、器物損壊罪は「3年以下」だ。

 被告は眼鏡に強い関心があるらしく、事件後には自宅から計51本の眼鏡が見つかった。ほとんどは自分で購入したり、知人からもらったりしたというが、今回の事件で奪った眼鏡もこのなかにあった。

 被告はなぜ、窃盗罪にあたらないと考えたのか。

眼鏡は「捨てた」? 事件の動機は…

 窃盗罪を定める刑法235条は、「他人の財物を窃取した者は窃盗の罪とする」としか書いていない。

 過去の裁判の積み重ねなどから、窃盗罪の成立には「他人の物を自分の物として扱ったり、盗んだ物の価値を利用したりする意思」が必要だと解釈されている。

 過去には、自動車内に監禁した被害者の携帯電話を取り上げ、川に捨てた行為が窃盗罪ではなく器物損壊罪にあたるとした裁判例がある。

 一方で、ユーチューバーがスーパーの店内で魚の切り身を食べた行為について、「視聴者の興味をひく面白い『絵』」という効用を受け取る意思があったと判断し、窃盗罪の成立を認めた例もある。

 被告は裁判で、今回の犯行の…

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この記事を書いた人
森下裕介
東京社会部|裁判担当
専門・関心分野
司法、刑事政策、人権