#架空の法律 #機動刑事ジバン #対バイオロン法 特撮界隈ではトンデモ法として知られ、専門家の方からもツッコまれるこの法律を実在しそうな表現で書き直してみました。私も法律の専門家ではないので詰めの甘さはご容赦ください。

Feb 19, 2022 · 7:14 AM UTC

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内容の詳細について順番に条項ごとに解説していきますので、各項目に対するご意見・ご指摘はその項目でいただけるとありがたいです。 なお、作成にあたっては「あおぞら法律事務所」様のコラムを参考にさせていただきました。 aozora-law.info/blog/?p=1738
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なお、ここでは私が書いたものを私家版、放送されたものをTV 版とします。
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合成生命体による破壊活動の対策における特別措置に関する法律 法律名は内容を端的に表すもので、一般的にその略称がメディアなどで使用される(ちなみに「独占禁止法」の正式名は「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」です。)ことから、「対バイオロン法」から逆算して決めました。
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第1条 総則 TV版ではいきなり第1条から本文が始まってますが、一般的な法令では第1条は全体の概要を表す総則とか、設置の目的が書かれます。
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第2条 定義 この法律への指摘には「バイオロンは悪者なのでやっつける」という表現に対してその根拠が定かでない、というものがあります。それを考慮してここで「バイオロンは人間に危害を加える意思を持つものである」との前提を示しています。
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実在の暴力団対策法(番組後の平成3年制定)では暴力団を「団体の構成員が暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体」と定義しているので、「人間に対して危害を加える意思を持つもの」と明らかにしました。(続)
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バイオロンの発生を昭和55年としたのは、番組中で9歳のまゆみちゃんが赤ん坊の時にバイオロンに襲われたエピソードから逆算しました。(続)
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バイオロンの中でも毎回登場するいわゆる怪人には「バイオノイド」の名前があるため、第2号に書きました。第3号の非バイオロンについては第7条で説明します。(続)
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動物愛護法は、カミツキガメのような人間に危害を加える侵略的外来種であっても苦しめるような扱いを禁じているので、爆殺するバイオロンは自然の動物ではないことを規定しました。
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第3条 特任捜査官 登場時の名乗り「警視庁秘密捜査官警視正、機動刑事ジバン」を規定しています。法令で同じ文言が何度も登場する場合(以下、~という。)という記載で短縮形を示しますが、特任捜査官(5字)を機動刑事ジバン(7字)で示すことはないです。外連味を活かしたかったので…(続)
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因みに、警視正は大きな警察署の署長級で、ワイルド7の飛葉と同じです。所轄署の誰より上の階級を与えることで活動の自由度を確保しているのでしょう。 実働部隊であるジバンが警視正なので、ジバンが所属する秘密調査室が本庁の直轄部署であることがわかります。(続)
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この条文を読むと警視庁の警察官であること、普段は別の所属の警官であることが透けて見えます。(続)
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番組終了後の平成11年に情報公開法が制定されますが、当時にこの手続きがあったら情報公開請求されると「セントラルシティ署捜査課田村直人巡査長」の正体がばれてしまうのです。(続)
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そのための第3項ですが、情報を公開しないという野党反発必至な内容を力業で記述しています。もっとも現在の政府の対応を見るとこんな条文がなくても「警察の捜査に支障を及ぼすため一部の情報を非開示とする」とか言って黒塗りの文書を公開するのでしょうか。
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第4条 緊急逮捕の特例 TV版第1条の条文をもとにしたものとなります。そもそもTV版の「いかなる場合でも令状なしで人間を逮捕」するのは憲法違反なので、対バイオロンの活動時のみ緊急逮捕の権限を準用して認める、としました。(それでも問題があると思います)(続)
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番組的には、人間に擬態している場合に身柄を拘束する手段としての逮捕権限なのでしょう。この法律でバイオロンに協力する人間を処分する場合は、破壊活動防止法などのテロ関連法を準用するような運用があるのかもしれません。
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第5条 武器の使用及び処罰 私家版ではバイオロンは人間でも保護対象動物でもないので「犯人を処罰」とか「抹殺」でなく害獣扱いの「駆除」としました。オートデリンガーの使用が「合理的に必要な限度」かどうかはわかりません(>_<)(続)
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法令で必要なことは全て記載されるので条文に「補足」はありません。あるとしたら条文に書ききれない具体的な処分方法が「対バイオロン法施行令」に書かれていてそれを読むことになるのでしょうか。(施行令は第9条で解説します)(続)
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私家版の第3項はTV版第5条をそれらしく書いています。TV版の第2条と第5条は同じ処分について記述しているので、続けて記載されるべきだと考えます。(続)
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「条文の体をなしていない」と批判されるTV版第6条ですが、よく考えると私家版第5条で言いたいことで表現できてしまうのであえて書きませんでした。 TV版第6条の表現は法令では使用されず、裁判時の判例にみられる表現ですね。いかにも法律っぽい文書ですが、こういう使われ方はしません。
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第6条 指揮監督の特例 命令に拠らずに理念最優先で行動する規定はある意味理想ですが、組織において上司の命令を無視できる規定はあり得ませんね。特に警察の上下関係は自衛隊よりも厳しいという噂を聞いたことがあります。(続)
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私家版第3条の解説でも言いましたがジバンは所轄署の警察官より階級が高く、上官は本庁の部長級以上の人だけです。実質的に無理を言うような上官と言ったら警視庁最高位の警視総監あたりでしょうか。因みに秘密調査室責任者で直属の上官である柳田さんは警視長あたりかな?
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第7条 動物等の保護 TV版第9条は「悪意を持たないバイオロン」を守ろうとした第32回で使用されています。憶測ですが、この条文は当初の想定になく、担当した脚本家による後付けの条文ではないでしょうか。ここまでの「すべてのバイオロンは悪」というトーンが否定されています。(続)
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最初はなかった設定「保護されるべきバイオロン」が追加されており、その存在を守るため、後から第2条の定義に「非バイオロン」の項目を追加しています。(続)
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同じく後付けの設定で、途中から登場した宇宙生物であるクイーンコスモはバイオロンでなく、ジバンの活動が彼女に及ばない可能性があるため第2条の定義に「活動を助長する恐れのあるもの」を加えてあります。
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第8条 法律の失効 私家版オリジナルです。こんなやばい法律は、役目が終えたら速やかになくなった方がいいのですが、法律を廃止するためには国会の決議を得なければならないです。そのため、最終回後に自動的に停止するための項目を設定しました。(続)
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ウインスペクターやジャンパーソンが番組終了後のソルブレインやビーファイターにクロスオーバーに出演しているのに、ジバンが後番組に出ないのは活動の根拠となる法律がなくなったからかもしれません。
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第9条 委任 法令に記載されない具体的な事項(細かい例示とか書類の書式など)は施行令とか施行規則に書かれます。TV版第2条のように補足が必要な場合は施行令で示されます。(続)
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例えば、「合成生命体による破壊活動の対策における特別措置に関する法律施行令 第○条、法第5条第2項の駆除の方法は、同条第1項による武器を使用した殺処分とする。」とかになるでしょうか。
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附則 法令の最後にはこのように施行開始の日が書かれます。バイオロン対策は速やかに行われなければならないので国会で成立し、条文が告示されたら法律が機能します。
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